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  1. 評価:5.000 5.0

    手を放さないこと

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    他サイトさんでも読んで、大好きなお話です。
    主人公二人の感情のやり取りが、年齢や環境の移り変わりとともに、とても繊細に描かれています。
    どこかノスタルジーを感じる絵柄も、作品に合っていると思います。

    特筆すべきは、高校生時の、思春期の世界の狭さ、形は曖昧で言葉にできないのに、もて余す程の感情の鮮やかさの表現です。

    主人公二人は、どちらも「いい子」ではありません。ズルいところもあれば、過ちも罪もおかすし、ずっと後になるまで、そのことに気づかないこともあります。
    とくに序盤は、イジメや非行の描写があり、人によっては抵抗を覚えるかもしれません。

    それでも読み進めていくと、どちらも親からの扱われ方が、そのまま外での振る舞いになっているのではないか、本人なりの自己防衛だったのかと思えてきました。

    高校時代、タイトルの「未成年」通りの、十代特有の不自由さと閉塞感から始まって、やっと手にした自由と若さと恋の成就を謳歌する大学生時代。そして、年齢を重ねてからは、今度は大人だからこその現実のしがらみに絡め取られて、青春時代に思い描いたようなキラキラした生活とは、いきません。

    長く手を繋いで人生を歩いていると、きっと相手の温もりが鬱陶しくなることもあれば、一人なら自由に歩けると思ってしまうこともあるのだろう。手を放せば簡単に赤の他人に戻ってしまうことを忘れて、どちらかが手を放して好き勝手歩けば、たとえ運命の二人でも壊れるのだろうと思います。

    高校時代の鮮烈な夏の日が遠くなっても、決して互いの手だけは放さなかった。だからこそ、寄り添ってのラストを迎えられたのではないか。
    高校時代の映画館で、互いに縋るように手を重ねるシーンがありますが、まさに、あの先にある答えがこれだったのだと思いました。

    高校2年生の眩しいほど鮮やかな夏の夕暮れの海、そこからの、落日をあらわすような辛い展開。ラスト、三十代になっての厳かで物寂しい冬の海は、それでも夜明けで、希望を感じます。
    「そばにいるから」という台詞を軸に対比になっているのではないかと思うと、いっそう尊いです。

    これからも、どうか互いの手だけは放さずにいてほしい。

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  2. 評価:5.000 5.0

    少しづつベールが剥がれていくような、お話

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    別のサイトでも読んでいた作品ですが、この度、めちゃコミックさまで完全版を読むことができて、とても嬉しいです。

    構成と心理描写がとてもよく練られていて、少しづつベールが剥がれて、真実が明らかになっていく……そんなお話です。
    最初は、血に飢えた恐ろしい皇帝の恐怖政治で、妃や皇族をはじめとする皇宮の人々は苦しみ、主人公もその状況に心を痛めている。
    ……ように見えるのですが、話が進んで皇帝の人となりや真意が見えてくるににつれ、リンクするように皇宮の真相も浮かび上がってきます。

    そして謎が解けるに従って主役二人の感情のやり取りも深まり、こちらもベールを一枚一枚剥ぐように、あらゆるしがらみを越えて、一番大切な気持ちに辿り着きます。

    もっと沢山の人に読んでほしいし、書籍化してほしい作品です。

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