5.0
知れば知るほど健気な二人
国内でも指折りの有力者のクロイソ家、その娘のマクシーは、気難しい父にぶたれないように小さな体を固くしながら言いつけを守るだけの少女でした。マクシーは国一番の騎士リフタンと結婚することになったのですが、父はリフタンにドラゴン退治を押し付けるために、要らない娘をあてがいました。父の策略を知り、それでも大切にしてくれるリフタンの優しさに、マクシーは、自分はそんな価値のある女性ではないのに…と居心地の悪さをおぼえます。実家にいた頃より素敵なドレスに宝石…まるで王女様のような装いに初めこそ躊躇しますが、あたたかくておいしい食事、最初は冷たかったけれど心優しい領民たち、何より巨躯の夫が優しく自分に触れて時々激しく求めてくれることにマクシーはここが自分の家なのだと実感するようです。マクシーは女主人として様々な仕事に取り組みますが、次第にリフタンの力になりたいとリフタンにお願いされたこと以外にも色んなことに挑戦していきます。しかし疲れきってベッドで休んでいるマクシーに対してリフタンはいい顔をしません。抱きたい欲もあるでしょうが、こき使うために結婚したのではないとマクシーの体を心配していたのです。父親にぶたれまいと身を固くして自分の意見など言わなかったマクシーが、リフタンの心配をはねのけてこうしたいと涙ながらに訴えます。自分がもっと重要な存在になればリフタンに捨てられないと、そうした自信がほしかったのです。もう十分すぎるほど愛されて、家臣や領民たちに慕われているのにね。
お互いのためにすれ違う様子はやきもきするけれど、一人の女の子が成長していく様、冷たい家臣がマクシーの懸命さに心を開いていく様子、何よりリフタンの大きな愛に心揺さぶられます。
ちなみになんですがわたしもそばかすがあってコンプレックスだったのですが、リフタンが、マクシーのそばかすを「砂糖をまぶしたようでうまそうだ」と言うシーンがあるんです。わたし、完全に恋に落ちました。コンプレックスの部分をそのままプラスに受け止めてくれるこんないい男を誕生させてくれてありがとうございます。おかげでこれから砂糖まぶした女として生きていきます。本当にありがとうございます。
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オークの樹の下