5.0
将棋がわからなくても
序盤の零くんは、あかりさん達の家をこたつと例えるくらい、それ以外では常に冷えびえとしていますが、お話が進むにつれ、色々な人と関わるようになり、元々持っていた思いやり深さが表にでるようになって、世界が暖かくなっていきます。
いかにも大人しく、ひ弱そうな男の子だったのに、生業に悩み、対局する相手や仲間の棋士達から心の機微を感じ取り、ひなちゃん達姉妹のために強くなっていく様は胸が熱くなります。一途な思いにも...(時々無意識にすごいヒーローにもなります)
将棋は全然知らないで読みましたが、奥深さや対局の流れは伝わります。そこで生き残るための厳しさも、プロとして生きる苦しさなんかも、どんな世界にも通じる刺さりどころだと思います。
最初は、幼くして家族を失くし、居場所をなくし、誰にも頼らず自分一人で生きようと決めた少年の、身を切るような孤独感から始まるので、とってもモノクロで静かな感じでスタートしますが、そこから姉妹に出会ってどんどん人で色彩られていくお話、繊細で優しい世界です。私の中ではいつも側に置いておきたいくらい大好きです。
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3月のライオン