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作品レビュー
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31 - 40件目/全92件

  1. 評価:4.000 4.0

    切れた糸

    おぞましい世界観は非常に丁寧に作り込まれていた。
    不穏でおどろおどろしい土着的な日本の「村」の舞台を、ダークファンタジーのフォーマットに綺麗に落とし込んでいると感じた。
    それだけに、終盤の失速と唐突な閉幕はひどく残念だ。
    伏線も回収されぬまま、いくつもの謎を残したまま。
    作品は途端に力を失い、地面に崩れ落ちてしまった。
    まるで、糸の切れた操り人形のように。

    • 13
  2. 評価:2.000 2.0

    ループの意義は

    ループもの、というよりは、よくある不倫漫画にループの設定を無理に持ち込んだ、という印象が強かった。
    穿った見方をすれば、「これじゃありきたりだから、ループものでいってみますか?」と編集者から提案でもあったんじゃないか、と思うような作品である。

    そんなとってつけたようなループ設定だから、当然、粗も多く、オーソドックスな「死ぬとループする」という設定に加えて、「死を回避できてもループする」という形なのだが、これがさっぱり機能していない。
    死んでもループ、寝て起きてもループ。
    何か、緊張感がない。
    何普通に寝てんだよ。

    他作品の推薦でアレだが、私が読んだ最高のループものは「サマータイムレンダ」である。
    ループものの傑作をお探しの方は、是非。

    • 13
  3. 評価:3.000 3.0

    ゴゴゴゴゴ…

    申し訳ないが、はっきり言って、面白くはなかった。
    登場人物たちの行動が不自然に過ぎて、「嗚呼、これは恋愛に疎い人が描いてるな」という性格の悪い感想が浮かんだ。
    だいたい、浮気の模様をSNSの裏アカウントに綴る既婚の男なんているか?
    まあ、そういう人間がこの世にいてはならないとは言わないが、私はこの時点でいっきに冷めた。

    星をひとつ足したのは、作者の意図とは全く別のところで、妙に笑えたからである。
    ところどころに、何か「ジョジョ」とか「HUNTER×HUNTER」とかの心理戦のシーンみたいな演出が入る。

    読んだ人は、ちょっと読み返してみてほしい。
    例えば、主人公が夫の浮気相手を突然に悟る場面。
    「私の女の勘が言っている」
    このシーンは、「HUNTER×HUNTER」でスクワラというキャラが散るシーンを彷彿とさせる。
    実際、この気づきは唐突極まりなく、主人公が念能力でも使っているとしか思えない。

    あるいは例えば、主人公が急に誘惑されるシーン。
    主人公の夫の浮気相手の夫が、
    「あなたを抱くというメリットがね」などと言っていきなり駆け引きを始めるわけだが、このあたり、背景に「ゴゴゴゴゴ…」という文字を入れたくならないだろうか。
    私はこれが面白くて、「この男ッ!妻の不倫相手の妻に関係を迫るタイプのスタンド使いッ!」とか妄想して遊んだ。
    それくらいしかすることがなかった。

    うーん、恋愛漫画のふりをした、バトル漫画のパロディ風ギャグ漫画にすればよかったんじゃあないか?

    • 12
  4. 評価:2.000 2.0

    未曾有の危機下で

    ある日突然、「正解のボタンを押せば何も起きないが、不正解のボタンを押せば全国民が死ぬ」というボタンを悪魔に渡された男の話。

    元ネタは多分、映画にもなった「運命のボタン」だろう。
    押せば100万ドルもらえるが、この世界のどこかであなたの知らない誰が死ぬ、というアレである。

    読み始めた頃は、どちらが正解なのかを知恵を絞って解き明かそうとするストーリーになるのかと思ったら、違った。
    国民投票が行われただけで、謎解き的なくだりは全くなく、主人公は結局、ヤマ勘で選んだだけである。
    話の落としどころとしては、悪魔の狙いが、危機下において人間の醜い本性を暴き出し、悪魔に変える、的なことだった、と。
    それはネタとしては悪くないのだけれど、それ以外の見どころが乏しすぎる。

    未曾有の危機下において、個人が、国家・社会が、世界が、どう動くのか。
    そのリアリティーを描くことは、容易ではない(何しろ未曾有なわけですから)。
    しかし、こういう大風呂敷を広げるなら、そこに挑まないと、というか、それ以外に焦点はないと言っても差し支えないストーリーだろう。
    その掘り下げ、広がり、あまりに稚拙で雑だ、という印象は拭えなかった。
    だいたい、白黒どっちのボタンにしますか、他に何の情報もないですけど、という状況で、国民投票って。
    そんな阿呆な。

    • 13
  5. 評価:4.000 4.0

    原作との相性

    この原作者とこの漫画家のコンビは、「昨日公園」と同じだが、相性はばっちりだと思った。
    原作小説の持つノスタルジックな雰囲気を、上手く再現できていると感じる。

    大人が振り返る子ども時代の痛みや悲しみを抒情的に綴っている点は「昨日公園」に通じるが、「昨日公園」がヒューマンな手触りだったのに対して、本作のテイストはホラー寄りである。
    子ども時代の「あれは何だったんだろう」的な追憶の恐怖表現はなかなか鮮やかで、このあたり、原作者の面目躍如かと思われる。
    もちろん、繰り返し、それを漫画のフォーマットに落とし込んだ作画も素晴らしい。

    ただし、オチの部分は、正直イマイチかと思う。
    過去の恐怖体験が現在を侵食する、というのは悪くないが、狂気の所在を主人公自身に回収するのは、サプライズこそあったものの、ちょっと強引に過ぎたような気もする。

    • 10
  6. 評価:5.000 5.0

    騙された私の負け

    第一話の冒頭は、ある男子生徒が女子生徒に、読者が目を背けたくなるほど悪質ないじめを行っている描写に始まる。
    よくあるいじめ→復讐系の漫画かと思いきや、これがまるっきりのミスリードで、途中から(というか序盤から)完全なギャグ漫画に変貌する。

    実は、いじめていた男の子(主人公)の方が、女の子(ヒロイン)に、いじめることを強要されており、いじめが生ぬるいと、後でヒロインから苛烈を極める暴力でもってお仕置きされる、という設定である。
    なぜ少女がそのような奇行に走るのか、明らかにならないままストーリーは進むのだが(一応、過去にいじめで友達を亡くしていて、それを救えなかった自分を罰しているのでは、と感じさせるような伏線は出てくるが、読んだところまででは何とも言えない。私は「文化祭編」まで読んだ)、その本筋はいったん置くにしても、実にいい拾い物をした、と思える漫画であった。

    いじめというセンシティブな題材を扱っているだけに、これをギャグにもっていくのは不謹慎と言えばまあそうなのだが、はっきり言って私は楽しくてしょうがなかった。
    肝心のギャグ部分が、単純にとても面白かったからだ。

    本作は様々な少年バトル漫画、スポーツ漫画、推理漫画、ホラー漫画、などのパロディに満ちていて、私が元ネタをわかったのはごく一部だと思うが、「少年漫画あるある」を逆手にとったその懐の深さと造形の深さ、センスの良さ、そして、少年漫画への愛情みたいなものには、ほとんど感動すら覚えた。

    何とかいじめをやめて平穏な学園生活に戻りたい主人公、主人公が自分以外をいじめることも主人公以外が自分をいじめることも許さない奇怪なヒロインを始め、新選組に憧れるまるで頼りにならない正義漢、黒板を片手で振り回す本物のいじめっ子、主人公を溺愛する万能サイコ美少女、タフな肉体を持つミュンヒハウゼン症候群少女、と脇を固めるキャラクターたちも可愛くて楽しい。

    そんなわけで、第一話だけ読んでやめない方がいい、と声を大にして言いたい漫画なのだが、最初だけ読んで離脱する読者がないよう、第一話からきっちりネタばらしをしてくる点は実に巧妙で、その大胆さには舌を巻く。
    第一話のサプライズの大きさ、という点では、私が読んだ漫画の中で歴代一位かもしれない。

    星五つはあげすぎな気もするが、これだけ見事に騙されると、もう、私の負けである。

    • 9
  7. 評価:5.000 5.0

    時代性と普遍性

    ネット配信を利用した愉快犯による劇場型の犯行、という極めて現代的な舞台装置だが、核のところにあったのは、時代性などとは無縁の、人間の普遍的な強さや美しさみたいなものだった。
    時代に乗っかって始まり、時代に左右されない核心にたどり着く。
    その返し技があまりに綺麗に決まりすぎていて、ちょっとムカつくほど感心した。

    • 12
  8. 評価:3.000 3.0

    狂気の説得力、性急な展開

    養護施設から裕福な家庭に引き取られた二人の少女をめぐるストーリー。

    ホラー映画のパターン的には、こういう話はだいたい「家にやって来る側」が恐怖の存在であることが多い。
    この漫画で言えば、少女が狂っているとか呪われているとかで、引き取った家の人々を恐怖に陥れる、と。
    しかし、この漫画は逆で、少女たちを引き取った夫婦の側がいかれている。
    その点は新鮮に感じられたが、どうにも気になることが、二つ。

    まず、夫婦の狂気にリアリティーを感じない。
    この夫婦の狂気は、簡単に言うと、養護施設から子どもを引き取り、幸福を味わわせた後で、「商売に失敗してやっぱり育てられない」と突っ放すときの、相手の絶望感がたまらないぜ、というものだ。
    私は、これに冷めてしまった。
    そんな狂気、あるかいな、と思ってしまったからだ。
    もちろん、狂気だから、私のような一般ピーポーの理解を超えているのは当然なのだが、作品の中で狂気を描く場合、「理解できないし、意味不明だし、あり得ないけど、あるかも」と思わせるような、一種のバランス感覚が大切であるように思う。
    本作の狂気は、その「あるかも」からあまりに逸脱しているように感じた。

    もうひとつは、展開がはやすぎること。
    二人の少女が裕福で親切そうな夫婦に引き取られ、二人が互いに仲良くなり、閉ざしていた心を開き、家族としてもいい感じになるが、夫婦が「仕事が破綻したから二人のうちどちらかは施設に戻さないと」と話しているのを聞いてしまい(これは二人の仲を裂くための夫婦の芝居で、実際には二人とも施設に送り返す気でいる)、二人は自分の方が残りたいという思いから仲違いするものの、今度は夫婦の真の目的を知り、再び団結して、何と夫婦を殺そうと決意する。
    ここまで、わずか「6話」である。

    はやくない?

    やたら引っ張れとは言わないが、もう少しじっくり丁寧にやってくれよ、という思いは拭えなかった。

    • 10
  9. 評価:4.000 4.0

    気合いの入ったバンパイア

    まず、吸血描写が実におぞましく、美しい。
    もちろん、画力の高さもあるが、吸血鬼の漫画である以上、絶対にオリジナリティーのあるハイクオリティーな吸血描写を描いてやるんだ、という気合いを感じた。
    その心意気やよし。

    最初は、吸血が性_交のメタファーになっているのかと思ったが、それにこだわった話でもなく、少年バトル漫画のような趣もあり、ただ、そのいずれもいささか中途半端な印象は受けた。

    しかし、作品の骨子は多少ブレながらも、「永遠に生きる存在」としての吸血鬼の悲哀を描く、という点は一貫していた。

    ジャンルとして「吸血鬼の漫画」ということで考えれば、それに求められるものは十分に満たした作品だったのではないかと思う。

    • 7
  10. 評価:3.000 3.0

    引っ張れる限界

    壮絶ないじめを受けていた主人公が、ある日、一人の同級生によって救われ、彼と親友になるのだが、どうやらその親友がだいぶイカれているっぽい、という話。

    話としては嘘っぽいことこの上ないのだが、なかなか読ませる。
    親友の造形は、滅茶苦茶ながらも妙な迫力があって、よかったと思う。

    ただ、物語の吸引力の核の部分は、「親友がなぜ、そこまで主人公に執着するのか」という部分だと思うのだが、これだけで引っ張り続けるのはちょっと無理がある。
    主人公たちの出自の秘密とか、新キャラ登場とか、色々やってはいるものの、無理して広げようとしている感が強く、正直、私は途中で飽きてしまった。

    • 8
ネタバレあり:全ての評価 31 - 40件目/全92件

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