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作品レビュー
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151 - 160件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    現代版・乱歩

    江戸川乱歩という作家は、確かに少年少女向けの探偵小説を書いたし、私も子どもの頃、それで乱歩を知った。
    だが、本質的には、非常に倒錯的で妖艶で淫靡な、「少年少女お断り」的な作品こそが、乱歩の真骨頂だったのだろうと思う。
    そういう乱歩の作品の空気感を、最も強烈に具現化したのは、別の漫画だが、「パノラマ島綺譚」ではないかと思う。

    「パノラマ島綺譚」が、乱歩の作品をそのまま漫画に「再現」したものだとすれば、この「孤島の鬼」は、乱歩の作品を現代的な漫画の文脈の中で「再構築」したものだ、という印象を受けた。

    そのどちらが優れているのかは私にはわからないし、そこに優劣はないのかもしれない。
    ただ、個人的な好みの問題としては、「パノラマ島綺譚」に軍配を上げたくなった。

    • 10
  2. 評価:4.000 4.0

    漫画の緻密さ

    ストーリーが本格的に動き出すまでにやや時間がかかるが、それもこの漫画の計算にきちんと組み込まれている気がした。
    世界観も物語も、実に緻密に組み立てられており、静かだが、非常にスリリングで、サスペンスフルである。
    また、島の描写も、極めて丁寧で美しい。
    「設定ありき」で、作品の全貌が決まらない中で見切り発車し、挙げ句に迷走する、というような漫画が多々ある中、この緻密さは称賛に値する。

    主人公は魅力に乏しい反面、瀬里沢の冷徹な強さは、際立ってカッコいい。

    • 10
  3. 評価:2.000 2.0

    みんなで復讐、って

    申し訳ないが、「クラスみんなで復讐」という設定で、もう冷めてしまった。

    「復讐モノ」はわりに好きである。
    しかし、復讐心というのは、当たり前かもしれないが、本来、極めて個人的な感情である。
    だからこそ、残酷にも苛烈にもなれるのだと思う。
    みんなで痛みや傷を共有することは、復讐心を抑える方向に作用するだろう。
    「いいんだよ、フィクションなんだから」。
    それはそうなのだけれど、人間の感情の核の部分には、フィクションの都合を持ち込んではいけない領域もあると私は思う。

    • 12
  4. 評価:3.000 3.0

    原作に負う

    原作のファンである。

    まずまず楽しく読んだのだが、その魅力はあくまで原作に負うものだし、原作とどちらが魅力的かと問えば、答えは明白だと思う。
    師匠シリーズの魅力は、「話」としての面白さだけではなく、かなりの部分、作者の端正な文体によるものでもあったんだな、と再認識した。

    とはいえ、インターネット上の「書き込み」から始まった師匠シリーズが、とうとう漫画化かいな、と思うと、ちょっとした感慨はある。

    • 11
  5. 評価:4.000 4.0

    感情のリアリティー

    個人的には、絵は全く気にならなかった。
    そもそも絵の上手い・下手を論じられる立場に私はいないが、その漫画に「合う絵・合わない絵」は感じることがある。
    この作品の場合、少なくとも「合わない絵」ではない気がした。

    私があまり読まない種類の漫画だが、結構強烈に引き込まれた。
    ストーリーのリアリティーは別にして、主人公の抱える不安や自己嫌悪や、「ここではない世界」に対する漠然とした切望や、木島に対する微妙な感情や、それを「打算」と言い切る潔さや悲しさは、とてもリアルに感じた。

    岡崎京子の漫画でワニを飼う話があったと思うけど、カメに餌をやる本作の主人公が「岡崎」なのは、オマージュなのかな。

    あと、タイトルが素晴らしい。

    • 10
  6. 評価:3.000 3.0

    サスペンスとしてもギャグとしても

    大真面目にサスペンスをやろうというのではなく、サスペンスと、ギャグと、その際どい中間を狙ったような気がする。
    それが悪いとは言わないし、新しい路線を、というガッツは買うのだが、その挑戦が成功しているとは言いがたい。
    じゃあどうすればよかったのかは、ちょっとわからないのだが。

    焼肉屋と寿司屋が一緒になっている飯屋があるが、私は焼肉が食べたければ焼肉屋に行くし、寿司が食べたければ寿司屋に行く。

    • 11
  7. 評価:5.000 5.0

    理想的な短編

    短いストーリーの中に、多彩な魅力が詰まっている。
    短編のお手本のような、見事な作品だと思う。

    手軽なミステリであり、切ない友情の物語であり、ちょっとしたファンタジーでもある。
    その、ともすれば違和感を与えかねないファンタジーの味つけが、不思議と自然に作品にマッチして、爽やかで優しい色合いを見せている。

    ラストの松田君の表情が素晴らしい。

    • 11
  8. 評価:5.000 5.0

    時代性と普遍性

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    ネット配信を利用した愉快犯による劇場型の犯行、という極めて現代的な舞台装置だが、核のところにあったのは、時代性などとは無縁の、人間の普遍的な強さや美しさみたいなものだった。
    時代に乗っかって始まり、時代に左右されない核心にたどり着く。
    その返し技があまりに綺麗に決まりすぎていて、ちょっとムカつくほど感心した。

    • 12
  9. 評価:4.000 4.0

    キュートでドライで潔い

    私の苦手な女性の殺し屋設定(そんなのいるわけねえじゃん、と思っちゃう)の漫画だが、なかなかどうして、面白かった。

    リアリティー、ない。
    作品の奥行きだとか、深みだとか、そういうことを言いだせば、まあ、正直、ない。
    にも関わらず、スピード感に溢れる美しいアクションと、キュートでドライな殺し屋少女の造形は、実に爽快感と清涼感に溢れていて、いやー、空っぽだけど、とても楽しい時間だった。
    印象としては、何も考えずに見られるスタイリッシュなアクション映画のそれで、「何もないこと」をストレートに楽しめる作品も、やはりいいな、と。
    そういうタイプの作品は、小手先のごまかしがきかない分、絶対的な力量・技量が、如実に作品に表れる。
    その点、お見事である。

    だいたい、タイトルが潔くていいじゃんか。
    大して深いものなんか何もないのに、「何かありそう」なことを標榜する作品が巷に溢れる中、「いや、バイオレンスとアクションしかないっすよ」という堂々たる提示は、賞賛に値する。

    • 9
  10. 評価:3.000 3.0

    読ませるけれど

    タイトルのとおり、様々な母親に「寄生」して渡り歩く少年の話。

    実に気色の悪い話で、生理的なレベルの嫌悪感を喚起する描写も多く、何よりまともな登場人物が一人もいない。
    どういう行動原理に基づいて生きているのか理解に苦しむ人間ばかりで、リアリティーもクソもない。
    しかし、ここまでどいつもこいつもトチ狂っていると、これはもう、ひとつの味と言って差し支えないくらいのレベルに達しているかと思われる。

    また、不思議と読ませる力はあり、何だかんだで一息に読んでしまった。
    何であれ、作品に一定のエネルギーがなければ、こうはならない。

    しかし、面白かったのかと言われると、決してそんなことはない、と言わざるを得ない。
    漫画を商品として考えるならば、まあ、読ませたら勝ちなんだけど。

    • 10
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