5.0
よく練られている
とても美しいです。まず絵が綺麗。イラストとしての絵が綺麗ってだけでなく、漫画として、流れとして、感情を見せる手段として、絵がとっても綺麗です。
主人公エリスの運命はとても苛酷。元の世界に帰りたい、そのためには因果律に従って、「原作小説」の通りに、悪役令嬢として死ななければならないみたい。
そして、この世界に未練も何もない彼女は、自分の命も惜しくはないみたいです。
そんな彼女が、この世界に「未練」を、こだわりを、愛を見出だしてしまう過程がすごく切なくて綺麗だし、原作においても「たった一人、エリスを愛する騎士」、アナキンとの関係がたまらないです。
この「小説」世界においてはヒロインであるヘレナも、私は嫌いとは思えません。
善良過ぎて鼻持ちならない「ヒロイン」だけれど、動かしようのない、自分の立場の中で、必死に生きている女性にしか見えない。
彼女たちを翻弄する男たちの方が、よっぽど酷く思えます。
けれど彼らにもそれぞれ背負うものがあって...、と、読めば読むほど深くて、安易なところがなくて、物語としてすっごくよく出来ているなぁと感じます。
なかなかに重くて、明るい気持ちで読める作品ではありませんが、重厚で美しい世界に酔わせてくれる、素敵な作品だと思います。
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悪女を殺して