5.0
番外編もこっちでしょ!
初っ端から、胸が苦しくなるような展開。他の女の子とイタしているところを見ちゃったんだよ、せっかく旅行の約束をしたのに、他の女の子を優先しちゃったんだよ、弓弦を庇って、花、あんた殴られちゃったんだよ、就職するって言ってたのに、地方の大学の医学部に行くって、一人で決めちゃったんだよ、それなのになぜ、花は弓弦を想い続けることができたのか…刷り込み?おバカ?それとも、全ては愛の成せるわざ?あまりにも花の心が綺麗すぎて、弓弦も大変だったろうな。友達になれば癒されるだろうけれど、恋のライバルとなれば、最悪最強の敵!なんやかやで、ルカに勝ち目はなかった…。
花と再会するまでの日々の中で、弓弦がしてきたことは、決して褒められたものではないし、認められることでもない。ただし、弓弦の両親、親戚たち、継母、昴の両親等、彼の周りに存在した大人たちの、なんと身勝手なことか。その中にあって、もっと酷い犯罪に手を染めたり、自ら死を選んだりしなかったのは、幼少期の母との、そして花とのあたたかい想い出が、心のどこかに残っていたからか。弓弦と花との決定的な違いは、大きな愛で見守ってくれる大人が、側にいてくれたかどうか。花の「与える愛」の源は、やっぱり花父だろうな。
花と過ごす中で、弓弦が辿り着いた答えー「どこに生まれるかなんて 誰も誰にも選べない けどどうやって生きていくかは 全部自分のものだ」彼のような境遇で、この境地に辿り着ける子がどれだけいるのか…大人の責任は重い。そして、弓弦に花がいてくれて、本当に良かった。
大学進学にあたって、二人が一度離れ離れになるラストには賛否両論。けれども、「いってきます」と言って花に微笑んだ弓弦の表情には、希望と信頼と、そして花への愛が見てとれた。もうこの二人は、何があっても大丈夫、そう思わせてくれるラストでした。だから、これはこれでアリかと…。
一つ不満なのは、二人のその後を描いた番外編が、「センチメンタル キス」のほうにくっついていること。紙版は仕方がないにせよ、電子版くらいはこちらにくっつけても、よいんぢゃないですかぁ〜?
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僕に花のメランコリー