機動警察パトレイバー EZY:樋口真嗣参加の経緯は? あふれる“押井守愛” 「ケルベロス」オマージュの裏側
配信日:2026/07/26 21:17
アニメなどが人気の「機動警察パトレイバー」の新作アニメ「機動警察パトレイバー EZY(イズィー)」の第1章にあたる“File1”の振り返り上映会が7月26日、ユナイテッド・シネマ豊洲(東京都江東区)で開催され、監督の出渕裕さん、脚本・シリーズ構成の伊藤和典さん、第3話「ホンモノが1番」の絵コンテを担当した樋口真嗣さんが登場した。樋口さんが参加することになった経緯や制作の裏側を語った。
◇「アーリーデイズ」当時は…
“押井守愛”にあふれる樋口さんは、ニット帽をかぶり、“押犬”がデザインされたTシャツ姿という“押井さんのコスプレ”で登壇。「パトレイバー」のイベントに樋口さんが登場するのは初めてで、出渕さんは「(パトレイバーが始動した)当時、パトレイバーは敵だ!と言っていた」とバラすと、樋口さんは「当時、『トップをねらえ!』を準備していて、同じバンダイビジュアルだった」と“ライバル関係”であったことを明かした。
樋口さんは、初期OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)「アーリーデイズ」から「パトレイバー」を見ていたといい「コストを切り詰めている。レイバー動かないじゃん! 出てこないじゃん!と見ていました。いつ動くのかな?と思ったら、劇場版で動いた! 零式、地獄突きをしていて格好いい! 『劇パト2』になったらまた動かなくなって、動かなかったけど面白かった。押井守さんってすごいんだな!」と評した。
伊藤さんは「動かないんじゃなくて、動かせなかった。『トップ』はちゃんとしたSF。うちはおちゃらけ。ドラマというドラマはない。キャラクターの日常を描いている」、出渕さんは「話数ごとに違う趣向を目指していた」と「アーリーデイズ」の制作当時を振り返った。
◇出渕裕のオファーを受け
樋口さんが参加した第3話は、往年の特撮時代劇をリブートした映画「山津神の帰還」の撮影現場で起きるトラブルが描かれた。樋口さんは、出渕さんの依頼を受けて、新作「EZY」に参加することになったといい、出渕さんは「(第3話は)特撮の現場を描かないといけない。僕らは実写の現場経験はない。ちゃんと描くには、実写の監督でもある樋口さんに頼むのがいい。誇張した世界だけど、シンちゃんのいる現場の雰囲気を加味できたら、嘘にならない。だから依頼しました」と参加の経緯を説明した。
伊藤さんは「脚本家は現場にでないので、『ガメラ』のときの断片的なイメージで脚本を書いた。すごく誇張している。元々、書いているときは、某軍団のイメージだったけど、上がった映像を見たら、むしろ黒澤(明)だと思った」と話した。
第3話は元々、File2の第5話になる予定だったといい、出渕さんは「シンちゃんから『撮影現場の臨場感をだすために、たき火をたいて撮影しているふうにしたい』という話があった。『EZY』は各エピソードに、それぞれ季節感を出していて、3話は別の冬の話だった。5話の予定だった『ホンモノが1番』を3番目に入れないと、冬にはならない。5話と3話を入れ替えた」と裏側を明かした。
樋口さんは、オープニングの絵コンテの一部にも参加しているといい「俺が見たかったポリスロボアクション!」という思いを込めたという。
◇「ケルベロス」オマージュはウケ狙いではない!
File1は、押井さんが監督を務めた「ケルベロス-地獄の番犬」の予告のオマージュも話題になった。絵コンテを担当したのは樋口さんで、押井さんは「予告編承諾」としてクレジットされることになった。
出渕さんは「僕と伊藤さんの本には全く書いていない。(樋口さんから)初稿が上がって、既視感があった。シンちゃんは『これしか思い付かなかったんですよ』と言われ」と話すと、樋口さんは「第3話はデタラメな映画作りをしている。こんなことでは、うまくいかない。自分の中でも苦い経験がありますし、ほろ苦く終わりたかった。音楽も川井憲次さんだし。ウケを狙おうとしたわけではなくて、最初に、思い付いたものなんです」と“押井守愛”を込めた。
出渕さんは、押井さんに“予告編承諾”を取ったといい「『シンちゃんがやりたいならいいよ』と言われた。承諾が一番ぴったりきた。押井さんとシンちゃんの関係が深いことが分かりました」と話した。
伊藤さんは、樋口さんについて「『ウルトラマンパワード』のときはアウェーだったから連帯感ができて、『ガメラ』でやってやろう!となった。ただ、存分にやる予算がなかったので、樋口くんは大変だったと思う。『ガメラ』のときから加減を知らない人」と話すと、出渕裕さんは「僕は『宇宙戦艦ヤマト2199』でやっているけど、『できないよ』といっても動かそうとする」とうなずいた。
樋口さんは第3話の「ルパンジャンプは俺じゃない!」と力説すると、出渕さんは「あれはやりすぎた。筆が滑った」と謝る場面も。伊藤さんは「やりたいことができないなら意味がない。でも、なぜかやりすぎる人ばかり。疲れたよ、俺は……」と冗談めかした。
◇File2はどうなる?
最後に、樋口さんは「僕の尊敬する大先輩と一緒の舞台に立たせていただき、誇らしいことです。願わくば、また呼んでいただければ」とあいさつすると、出渕さんは「また何かあったらお願いします!」と即答。
伊藤さんは「この3人で壇上に立つことになるとは思ってもいなかった。こういう機会を得られたことがうれしい。File2は、僕は一本も書いていない。誰かにバトンを渡したいと思っていたので、それを実現できれば。この先の展開は分かりませんが、これからもよろしくお願いいたします」と語った。
出渕さんは「伊藤さんはFile2で書いていないけど、シナリオ打ちには参加している。関与していないわけではないです」と補足しつつ、File2について「OVA形式で元々作っていて、毎回、違うアプローチをしている。オムニバスみたいになっている。そこも楽しんでいただければ幸いです。File2はどちらかと言えばキャラクタードラマが中心になります。『EZY』は、各話の内容に合わせて演出方針や見せ方も変えている。そこも楽しんでいただければ」と呼びかけた。
「機動警察パトレイバー」は、ゆうきまさみさん、出渕さん、伊藤さん、高田明美さん、押井さんによる伝説のクリエーター集団「HEADGEAR(ヘッドギア)」から生み出されたメディアミックスプロジェクト。1988年に「アーリーデイズ」と呼ばれるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)から始まり、ゆうきさんによるマンガ、テレビアニメ、劇場版アニメ、小説、オーディオドラマ、ゲームなどが展開されてきた。
「EZY」は、労働人口減少が進み、AI技術による自動化が進んだ2030年代の日本が舞台となる。上坂すみれさんがイングラム1号機パイロットの久我十和、戸谷菊之介さんがイングラム1号機指揮担当の天鳥桔平をそれぞれ演じ、小清水亜美さん、小林親弘さん、佐藤せつじさん、松村柚芽さん、林原めぐみさんらが出演する。全3章、全8話構成で、第1章が5月15日に劇場公開された。第2章が8月14日、第3章が2027年3月に劇場公開される。
提供元:MANTANWEB











