解説:「トイ・ストーリー5」ピクサー流の製作手法とは? 人々の共感を呼ぶ傑作が生まれる理由
配信日:2026/07/06 7:00
ディズニー&ピクサーのアニメーション映画「トイ・ストーリー」の最新作「トイ・ストーリー5」(アンドリュー・スタントン監督、ケナ・ハリス共同監督)が7月3日に日本で公開され、初日興行収入4億8445万9420円、動員32万705人を記録。「アナと雪の女王2」(2019年)の初日興収3億2674万円、シリーズの前作「トイ・ストーリー4』(2019年)の初日興収3億2981万円、さらに「スートピア2」(2025年)の初日興収4億1408万円の記録を破り、洋画アニメーション歴代1位、ディズニー、ピクサーのアニメーション映画史上歴代ナンバーワンのオープニング記録を打ち立てた。世界中の人々の心をつかんできた「トイ・ストーリー」シリーズのピクサー流の製作手法について、関係者の言葉から探った。
◇“子育て中のメンバー”の意見が大いに参考になった
「トイ・ストーリー」は、ディズニー&ピクサー初の長編として1作目が1995年に製作され、日本では1996年に公開された。少年アンディのおもちゃが、人間の見ていないところで動き回り、大冒険をするストーリーと、ウッディやバズ・ライトイヤーといったおもちゃたちが生き生きと動くフルCGが話題になり、世界的に大ヒット。1999年(日本では2000年)に第2弾、2010年に第3弾、2019年に第4弾が公開された。
「もし、おもちゃが動いてしゃべることができたら」という発想のもとに生み出された1作目「トイ・ストーリー」が1995年に誕生して以降、シリーズは人間とおもちゃの絆、そしておもちゃたち同士の絆をテーマに、ワクワクする大冒険と感動のストーリーを描いてきた。製作過程では、さまざまなバックグラウンドを持つピクサー社員たちの声が取り入れられ、多様な立場に立つ者の意見が反映されているからこそ、人々の共感を呼ぶ傑作が生まれることを証明している。
共同監督を務めるケナ・ハリスさんは「私やアンドリュー(・スタントン監督)のような世代や考え方の異なるメンバーが何人も集まり、それぞれの批判的な意見も含めて作品に取り入れています」と、若手からベテランまで多様な立場のスタッフが携わり、意見を取り入れて作り上げるという、シリーズならではの製作手法を語っている。
ピクサーでは、製作の過程でスタジオ内で何度も試写を行い、ベテランだけでなく若手からも多くのフィードバックを得ながらブラッシュアップして完成を目指していくという。その試写には、同じピクサーの社員でも異なる年齢や国籍、さまざまな経験やバックグラウンドを持つ人たちが集まり、彼らの意見をふんだんに取り入れて作り上げられるからこそ、子どもから大人まで幅広い世代や世界中の人々が共感できる物語になるのだ。
今作では、おもちゃ遊びが大好きな少女ボニーが、周囲の子どもたちと話が合わず友達づくりに悩み、心配した両親から最先端タブレットが贈られるといった、悩みを抱える子どもの心情や、心配する親の気持ちが丁寧に描かれている。この描写を作り上げるにあたってハリスさんは「製作チームの中で“子育て中のメンバー”から試写を見た後に子どもに関して“実際に抱える悩みや意見”を聞けたのがとても参考になりました。まるで私がカウンセラーになったかのように悩みを聞き取ると、子どもに関して『こんなことに困っている』『あれにも悩んでいる』といった話がたくさん出てきて、『これも映画に反映すべきか』『これは入れた方がいいのか』などと考えました。作品を作る上で、最も本質的な意見をくれたのは、この映画の製作に関わる親たちだったと思います」と語る。
◇ストーリーだけで2年、製作に4年の歳月を費やし完成
スタントン監督も、若手からベテランまで多様な価値観や意見を取り入れて製作するというピクサーならではの手法について、「製作チームとは異なる立場にいて客観的な視点を持った同僚の意見が背中を押してくれるんです。意見を取り入れる過程はまるで食品の買い物をするような感じで、作りながら料理の完成品を模索するようなものです。材料を使ってキッチンでいろいろ試す間には失敗もあります。ですが、ここにもっと材料が必要だとか、これとこれが合うとか、見つけていくのはとても楽しい」とコメント。これらの試行錯誤や紆余(うよ)曲折を経て作り上げられた今作は、ストーリーだけで2年、製作に4年の歳月を費やし、シリーズ最高の物語に仕上がった。
「トイ・ストーリー5」で想像力豊かで内気な少女ボニーは、周囲の子どもたちに取り残されないようにと、おもちゃ遊びが大好きな自分の気持ちにフタをして周りと同じようにタブレットに夢中になっていく。遊びの中で見られたボニーの笑顔が失われていくことに不安を覚えたウッディやバズ、ジェシーたちがボニーのために立ち上がるが、おもちゃたちはボニーの笑顔を取り戻すことができるのか? そして、デジタルが当たり前の現代でおもちゃが子どものためにできる本当の役割とは……。
ピクサーならではの手法と、製作陣の思いが込められた、誰もが共感するであろうストーリーをぜひ劇場で堪能したい。
日本版では、シリーズを通してウッディの声優を俳優の唐沢寿明さんが、バズ・ライトイヤーの声をタレントの所ジョージさんが担当。ジェシーの声を日下由美さん、新キャラの最新タブレットのリリーパッドの声を広瀬アリスさん、スマーティー・パンツの声を「M!LK」の佐野勇斗さん、フォーキーの声を竜星涼さんが担当している。
全米では現地時間6月19日に公開を迎え、3日間の興行収入は約1億6000万ドル(約257億6000万円、1ドル161円換算)を突破。全米映画批評家サイト「Rotten Tomatoes」ではオーディエンススコアが「トイ・ストーリー」シリーズ史上最高となる95%という驚異的な数字を獲得(7月4日午前10時時点)。7月3日までの全世界の興行収入は6億2314万ドル、日本円で1003億2693万円を突破(7月4日付「Box office mojo」調べ)し、その勢いはますます加速している。
提供元:MANTANWEB











