解説:「パトレイバー」“フランス版”制作へ 「EZY」が開いた新たな可能性
配信日:2026/05/31 13:01
アニメなどが人気の「機動警察パトレイバー」の新作の展開が活発化している。約10年ぶりとなるアニメの新作「機動警察パトレイバー EZY(イズィー)」の第1章が5月15日に劇場公開され、ゆうきまさみさんのマンガ版の約32年ぶりの新作が5月18日発売のマンガ誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)25号に掲載されたことも話題を呼んでいる。そうした中、さらに“フランス版”が制作されることが発表された。
◇権利関係が整理された
「パトレイバー」は、ゆうきまさみさん、出渕裕さん、伊藤和典さん、高田明美さん、押井守さんによる伝説のクリエーター集団「HEADGEAR(ヘッドギア)」によって生み出されたメディアミックスプロジェクト。1988年に「アーリーデイズ」と呼ばれるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)から始まり、ゆうきさんによるマンガ、テレビアニメ、劇場版アニメ、小説、オーディオドラマ、ゲーム、実写映画などが展開されてきた。
“フランス版”が発表されたのは、5月26日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で開催された新作アニメ「EZY」第1章のスタッフトークイベント「ぶっちゃんの部屋 パート1」だった。出渕監督とジェンコの代表取締役社長の真木太郎プロデューサーが登場した。
真木さんは初期から「パトレイバー」に関わってきた。東北新社のプロデューサーとして、バンダイのプロデューサーだった鵜之澤伸さんと共に1988~89年に発表された「アーリーデイズ」を手掛けた。1997年に企画プロデュース会社のジェンコを設立。「この世界の片隅に」「千年女優」「PLUTO」などをプロデュースしてきたことでも知られている。
イベントで、出渕さんは新作アニメ「EZY」が制作されることになった経緯を「HEADGEARの権利で不明瞭なところを真木さんが整理してくれて、作れるようになった」と真木さんが立役者であることを明かした。
権利関係が整理されたことを受けて、出渕さんは「『EZY』のほかにも『パトレイバー』を広げることができる。真木さんは、海外でもできないか?と言っているし、『EZY』は基幹としてあって、違う方向性のものが生まれてもいいと思う」と話し、真木さんは「フランス版パトレイバーを作っている」と発表した。突然の“フランス版”の発表に、会場に集まったファンがザワついた。
◇拡張性を秘めた「パトレイバー」
「パトレイバー」は、押井さんが監督を務めた「機動警察パトレイバー the Movie(劇パト1)」や「機動警察パトレイバー 2 the Movie(劇パト2)」が名作としてアニメファン以外にも高い評価を得ているが、「アーリーデイズ」「ON TELEVISION(テレビアニメ版)」「NEW OVA」「WXIII 機動警察パトレイバー」、ゆうきさんのマンガ版などそれぞれに魅力がある。伊藤さんが執筆した「『機動警察パトレイバー』寿司屋の後藤」(文藝春秋)なんて小説も6月25日に発売される。
これまで多数の作品が制作される中で、設定やキャラクターは共通しているが、ストーリーが異なるパラレルワールドとして展開されてきた歴史がある。
「EZY」は、労働人口減少が進み、AI技術による自動化が進んだ2030年代の日本が舞台となる。新たな特車二課のメンバーが主人公となり、これまでの「パトレイバー」のキャラクターも約30年の年齢を重ねて登場する。
真木さんが「『EZY』を作ったときにキャラクターが変わった。ある程度のことを守れば汎用性があると気付いた。発見だと思っている」と話していたように、「パトレイバー」は拡張性を秘めたプロジェクトなのだろう。
「EZY」がヒットすれば、今後もさらなる新作が制作されることも考えられる。出渕さんや真木さんの発言からは「パトレイバー」をさらに拡張していきたいという熱意も感じた。
“フランス版”の具体的な内容は今後の発表を待つことになるが、シリーズのさらなる展開を示す動きとして注目されそうだ。(阿仁間満/MANTANWEB)
提供元:MANTANWEB











