お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件:恋人になった二人の変化 第2期は「天使ではない」真昼を描く 熊野千尋監督インタビュー
配信日:2026/05/06 7:31
人気ライトノベルが原作のテレビアニメ「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」の第2期が4月3日からTOKYO MXほかで放送されている。約3年ぶりとなる新作となる第2期は、熊野千尋さんが監督を務める。第1期で少しずつ距離を縮めた藤宮 周と椎名真昼は、最終回でついに恋人になった。第2期では恋人になってからの日々が描かれる。第2期で何が変わるのか。熊野監督に聞いた。
◇引きで見せる
「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」は、一人暮らしを始めた高校生の藤宮周と天使様と呼ばれる学校一の美少女・椎名真昼によるラブストーリー。二人は、マンションの部屋が偶然隣同士だったことから交流が始まる。テレビアニメ第1期が2023年1~3月に放送された。第1期が人気となり、第2期が制作されることになったが、初参加となった熊野監督は作品の魅力をどう考えているのだろうか。
「見せたいポイントがすごくはっきりしていて、迷いなくできると思いました。最近では、珍しいタイプの作品なのかもしれません。脇道に絶対にそれずに、“矢印”が変わりません。そこが面白いところなんだと考えています」
周は真昼が好きであることがはっきりしていて、複数のヒロインが登場するわけではない。ある種の純愛を描いているところに「珍しい」と感じたのだろう。第1期の最終回で二人は恋人になったが……。
「第2期のキモは、第1期で二人ができなかったことがいっぱいできるところです。二人でいろいろなところに行って、さまざまな景色を見られる。表情も豊かになりますし、簡単に言うと、明るく楽しくなる。一方で、扱う問題も重くなっていき、二人で乗り越えていきます」
恋人になった二人の甘いシーンも描かれることになるが、顔のアップばかりではなく、引きの画も印象的だ。美少女が登場するアニメは“顔”を積極的に見せる演出もあるが、なぜカメラを引いたのだろうか。
「意図的にやっていることで、いろいろ理由があります。寄りばかりだと単調になりますし、引きにすることで、全身の動きが見えてきて、それはそれで可愛いというのも理由です。引きでキャラクターを動かすのは、アニメーション的に楽しいし、映像的にもメリハリがつきます。カメラが二人の間にズケズケ入りすぎない方がいいとも考えていました。第2期は、二人がどの状況で一緒にいるのかも重要になります。屋外のシーンも増えるので、周りにあるものをキャラクターと同様にしっかり見せようとしました」
恋人になったことも関係しているのか、全体的に画面が明るくなった印象もある。
「明るくすることをコンセプトにしていて、色を変えてます。分かりやすいのは、髪の色です。背景の色も全体的に一段階上げています。明るく、ほんわかした印象になったと思います」
二人の絶妙な距離感を表現するには、テンポが大切になる。じれったく、甘く、ドキドキ……と二人の関係を丁寧に表現している。
「無言の間をしっかり見せるようにしています。話すにしても、一度目線を送ってから話したり、二人の間に流れている時間をリアルに見せていくことを大切にしています。この作品のキャラクターは大人びていて、落ち着いています。真昼はまさにそうです。いわゆる中高生のワチャワチャ感はそんなにないので、そこを意識しています。身も蓋もない言い方にはなりますが、甘さ加減については、原作通りにやっていれば甘くなると思っていました。顔と顔を突き合わせている時間が長いですし、相手がいないところでも相手のことを考えている表情を表現して、甘さを出そうとしていました」
◇真昼を神聖視しすぎない
“天使様”とも呼ばれる真昼は、「このライトノベルがすごい!」の女性キャラクター部門で、4年連続1位になるなど“超”が付くほどの人気キャラクターだ。彼女をいかに可愛く描くかも重要になってくるはずだ。
「第2期に関しては、エンディングで象徴的に描いているのですが“天使ではない”ところをしっかり見せようとしました。タイトルを否定しているわけではなく、人間味のある女の子であることも見せようとしています。高嶺の花として描きすぎない、人並みの喜怒哀楽があります。神聖視しすぎずに、血の通った人間であるところを見せようとしています。それと色ですね。血色をよく見えるように色のトーンを上げて、髪の影を減らし、肌の赤みが埋もれないように調整しています。キレイな人形にならないようにしたんです」
第2期では、周の成長も感じられる。
「想定していたことではないんですけど、(周役の)坂泰斗さんの声の感じが変わっていることがすごくよかったんです。自然と大人びていて、肩の力が抜けている感じがいいんです。最初のアフレコで聞いて、そこを生かせるように、表情を付けています。先ほどの話と矛盾してしまうところもありますが、周や真昼は達観していて、リアクションが一般的ではないけど、悩みはやっぱりティーンなんです。そこは、考え甲斐があるところです。テンプレートではできないし、見せ方が大変なところではありました」
熊野監督の言葉からは、丁寧にキャラクターの関係性を描こうとしていることが分かる。
「楽しかったですよ。自分で全話のコンテを書きましたしね。監督を任せていただいたときから、自分でやろうとは思っていました。アクションの多いバトルアニメだと無理ですが、日常のドラマは元々、得意分野でもありますし」
一人で全話のコンテを書いたとは驚きだ。熊野監督は並々ならぬ情熱で作品に向き合った。引きの画が生み出す余白も含めて、第2期は二人の関係性をより繊細に映し出している。(阿仁間満/MANTANWEB)
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