地獄楽:妖しく美しい神仙郷 あり得そうであり得ない世界を表現 戦闘シーンに“意志の重み”を 牧田佳織監督インタビュー
配信日:2026/01/25 8:01
集英社の「少年ジャンプ+(プラス)」で連載された賀来ゆうじさんのマンガが原作のテレビアニメ「地獄楽」の第2期が、テレビ東京系ほかで毎週日曜午後11時45分から放送されている。江戸時代末期を舞台に、仲間の裏切りによって捕らわれの身となった最強の忍・画眉丸が、最愛の妻と再会するため無罪放免をかけて不老不死の仙薬を求め、化け物たちと戦いを繰り広げる姿が描かれる。戦いの舞台となるのが、秘境の島・神仙郷。アニメでは「極楽浄土」「常世の国」とも称される神仙郷が不気味で妖しく、美しく表現され、話題になった。アニメを手がける牧田佳織監督に制作の裏側を聞いた。
◇神仙郷の“作り方” 絶景をモデルに
アニメは、第1期から引き続きMAPPAが手がける。2023年4~7月に放送された第1期では、画眉丸ら死罪人と、山田浅ェ門佐切ら打ち首執行人のバディーが、天仙と呼ばれる島を統べる仙人たちと激闘を繰り広げた。
牧田監督は、第1期では第1話と最終話となった第13話が印象に残っていると語る。
「1話目は世界観を組み立てていく作業に時間がかかりましたし、全体としてどういう作品にしようかと考えながらの制作だったので、特に印象に残っています。第13話に関しては、第2期に向けてのエピソード的な種まきをする必要がありました。士遠と典坐の関係性もそうですし、第2期は画眉丸が戦いの中で記憶をなくしてしまった状態でスタートします。妻と画眉丸の関係性にリセットをかけるという部分で、シナリオの段階から悩んだこともあり、印象深いエピソードになりました」
「地獄楽」の世界観の重要な要素の一つとなっているのが、秘境の島・神仙郷。鮮やかな花が咲き乱れ、蝶が舞い、美しさがありながら、異形の生物が生息する不気味な場所だ。牧田監督が神仙郷を描く上でモデルとしているのは「実在するけどあり得ない場所」だという。
「完全にファンタジーな世界にしてしまうのではなく、実在するけどあり得ない景色、いわゆる“絶景”を参考にしています。神仙郷は、宗教色が強めの場所でもあるので、崖や浜辺に彼岸感がある場所を参考にしています。空の色も現実にあり得ない色にはせず、南の島の空を参考にしながら制作しています」
たしかに、世界の絶景の中には「この世のものとは思えない」と表現されるものも多い。
「『異世界に来たみたい』『こんなところが地球にあったんだ!』と感じる景色を、アニメでも表現したいなと。それを美術さんや色彩さんがかなえてくださっていて、毎回素晴らしいものを上げていただいています」
神仙郷の美しさの中にある違和感も、実際にある景色を基に表現しているという。
「実在する景色でも『なんかちょっと気持ち悪い』と感じることがあると思うのですが、そういうまがまがしさを実際の場所からピックアップすることもあります。私自身、巨大な建造物を怖いと感じてしまうのですが、そういった自分がぞわっとするものをスタッフの方にお伝えして落とし込んでもらったりもしていますね」
第1期の序盤では、島の色味と本土の色味の差別化も意識した。
「第1期では、視聴者の方に神仙郷のビジュアルに期待感を持ってもらえたらという思いもあったので、色の差別化を特に意識しました。本土は時代劇然とした渋めの色で作り、そのギャップとして島の色味はファンタジックな極彩色にしています」
◇団結の第2期 キャラクターに寄り添い、丁寧に
第1期では、画眉丸ら死罪人と、山田浅ェ門佐切ら打ち首執行人のバディー関係が確立され、第2期では天仙という敵に立ち向かっていくことになる。牧田監督らスタッフが第2期のテーマとしたのは「団結」だという。
「天仙という、第1期では曖昧だった敵の姿が見えてくるので、団結もしやすくなりますし、死線を共にすることで信頼感も生まれてきます。また、それぞれのキャラクターの知られざる一面も掘り下げるので、第1期よりもキャラクターにフィーチャーしていく側面が強くなっていくと思います」
よりキャラクターを掘り下げていくからこそ「表情芝居」を大事にしているという。
「原作だけでは読み取れなかった細かいニュアンスを拾ったり、『こう考えている時は、どういう顔をするだろう?』とか、『どこにシワが入った歪み方するだろう?』と自分に当てはめながら試行錯誤して制作しています。また、敵側の天仙も人間味のあるところが描かれて、敵味方関係なく魅力が見えてくるので、キャラクターに寄り添って丁寧に表情を作れるといいなと思っています」
◇「絶対生きて帰る」 “重み”あるアクションシーン
第2期では、バトルシーンも多くなり、「第1期よりパワーアップできたら」と挑んでいるという。バトルシーンに関しては“重み”を意識している。
「重めの剣戟(けんげき)であったり、殴るシーンも重さのあるものにしたいと思っています。それに付随して、アクションをしている時の必死さが表情からも出るといいなと。『絶対殺す』『絶対生き残る』という思いを表情だけではなく、アクションにも乗せたいと考えています。そういう意味での“重さ”もあります。無重力の動きができる天仙と違って、画眉丸たちは人間離れした動きをしていても、あくまで人間です。なので、重みを意識してコンテを描いたり、アクションの作画の皆さんにご相談しつつ制作しています」
「地獄楽」が「人間味がある作品」だからこそ、「『絶対生きて帰る』という強い意志がアクションからも出る。一つ一つが決死の戦いで、全部がボス戦なので」と語る。
重みのあるアクションシーンを作る上で、牧田監督自身も先輩スタッフから学ぶ部分が大きいという。
「第14話(第2期の初回)で先輩の演出さんに手伝ってもらったシーンを見た時に、あえて中割り(原画と原画の間に絵を足すことでキャラクターの動きを滑らかにする)を抜いてタイミングをつけているところがありました。動きが飛ばないか、つい不安になってしまうのですが、ポジションの取り方、タイミングの付け方で外連味(けれんみ)のある芝居として見せられるんだと気付いて、『なるほど、参考にしよう』と勉強になりました」
キャラクターたちの魅力がより掘り下げられ、バトルシーンもパワーアップするという第2期。牧田監督は「画眉丸と妻の行く末を見守ってほしいというのが一番にありますが、それぞれのキャラクターのスローガンみたいなところも感じていただけるクールですので、お気に入りのキャラクターに寄り添って見てもらえたらうれしいです」と見どころを語る。美しい神仙郷で繰り広げられる画眉丸たちの生々しいバトルに注目したい。(しろいぬ/MANTANWEB)
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