ルックバック:「ひゃくえむ。」と共鳴 押山清高監督、岩井澤健治監督が語り合う
配信日:2025/12/26 21:20
「チェンソーマン」などで知られる藤本タツキさんのマンガが原作の劇場版アニメ「ルックバック」のブルーレイディスク&DVDの発売記念イベントが12月26日、池袋HUMAXシネマ(東京都豊島区)で開催された。同作を手掛けた押山清高監督、劇場版アニメ「ひゃくえむ。」を手掛けた岩井澤健治監督が登場し、2作について語り合った。
「ルックバック」は、2024年6月28日に公開され、第48回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞に選ばれるなど数々の賞を受賞したことも話題になった。「ひゃくえむ。」は、「チ。 -地球の運動について-」で知られる魚豊さんのマンガが原作の劇場版アニメで、今年9月19日に公開された。
押山監督は「ルックバック」について「作るのが大変。戦わないといけない。覚悟して向き合った。背中で語らなければいけない作品なので、そこを目指して作りました」と挑んだ。
岩井澤監督は「ひゃくえむ。」に「見てもらう人に楽しんでもらいたい。小中学生などできるだけ若い人に見てもらいたかった。作品をきっかけに、目指しているものの後押しになるような作品になれば」と思いを込めた。
二人の出会いは、2019年に開催された「第6回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」にさかのぼる。押山監督は「SHISHIGARI」、岩井澤監督は「音楽」で同映画祭に参加した。
岩井澤監督は「映画祭の時は、あいさつをした程度でしたが、『SHISHIGARI』を見ていて、すごくよかったので、『ルックバック』は間違いない!と楽しみにしていた」といい「ちょうど『ひゃくえむ。』を制作中で、迷っている時期でした。『ルックバック』を見て、スタジオのスタッフに『ルックバックのような仕上がりにしたい』と話をした。勇気づけられた作品です。目指すべき道を切り開いてくれた」と共鳴するところがあった。
岩井澤監督は「『ルックバック』を見返すと、押山さんにすごく合っている題材だと感じる。押山さんじゃなかったら、こんなに名作になっていないだろうと思う。偉そうな言い方になりますが、ぴったりな題材。押山さんの経験が入っていると思った」と分析し、押山監督は「藤野みたいに努力はしていませんでした。スケッチブックをそんなに買えないので、もう少し丁寧に描いていました。重なる部分と重ならない部分があります。いろいろな方に、ぴったりだったと言ってもらえるのはありがたいです」と語った。
押山監督は「ひゃくえむ。」を見て「『ルックバック』も大変なことをやっているけど、たいしたことなかったと思った」と感じるほど、驚いたシーンもあったといい、岩井澤監督について「普通だったら持続しなくて、音を上げる仕事も平然とやってそう」と話すと、岩井澤監督は「時間を掛けるのは苦じゃないです。『音楽』も7年掛かったけど、10年くらい掛かると思っていた」と明かした。
「ルックバック」は、集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で2021年7月に発表され、初日に250万以上の閲覧数を記録。「このマンガがすごい!2022」のオトコ編の1位に選ばれ、「マンガ大賞2022」にノミネートされたことも話題になった。マンガへのひたむきな思いが二人の少女をつなげるが、全てを打ち砕く出来事が起きる……というストーリー。学生新聞で4コママンガを連載している小学4年生の藤野は、クラスメートから絶賛されていたが、「不登校の同級生・京本の4コマを載せたい」と先生から告げられることになる。
アニメは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「借りぐらしのアリエッティ」「風立ちぬ」などに主要スタッフとして携わってきた押山さんが監督を務め、脚本、キャラクターデザインも担当した。押山さんが代表を務めるスタジオドリアンがアニメを制作した。河合優実さんが藤野、吉田美月喜さんが京本をそれぞれ演じたことも話題になった。2026年1月16日からリバイバル上映される。「劇場アニメ ルックバック展 -押山清高 線の感情」が同日から麻布台ギャラリー(東京都港区)で開催される。
提供元:MANTANWEB











