機動戦士ガンダム サンダーボルト:紆余曲折の連載13年 “画風変更”回想し涙 太田垣康男「私は運がよかった」
配信日:2025/12/20 16:38
太田垣康男さんのマンガ「機動戦士ガンダム サンダーボルト」の完結を記念したファンミーティングが12月20日、LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区)で開催され、太田垣さん、アニメ版監督の松尾衡さん、デザイナーの関善之さん、ライターの平岩真輔さんが登場した。太田垣さんは「疲れました。こんなに長くなるとは思ってなかった。紆余曲折ありました。こんなに周りの人に支えていただいた作品はないです。決して孤独ではありませんでした」と約13年の連載を振り返った。
◇俺ガンダムをやろうとした
「機動戦士ガンダム サンダーボルト」は、「MOONLIGHT MILE」などで知られる太田垣さんのマンガ。一年戦争のサンダーボルト宙域での地球連邦軍とジオン公国の戦い、一年戦争後のジオン残党軍、連邦、南洋同盟の戦いなどが描かれた。アニメ化、ガンプラ化されるなど人気を集めている。「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で2012年に連載をスタートし、今年9月に最終回を迎え、約13年の連載に幕を下ろした。コミックス最終27巻が12月19日に発売された。シリーズ累計部数は600万部以上。
誕生のきっかけは、2011~12年放送のテレビアニメ「機動戦士ガンダムAGE」だった。当時は「MOONLIGHT MILE」を連載していた。
「『ガンダムAGE』というテレビシリーズが始まるので、その応援企画でガンダムマンガを描くことになり、私にも話がきたんです。飛びつきました。ただ、短編ではなく、1、2巻の話を作ってやりたいと言った。『お祭りが終わったら、戻ってくるんですよね?』と編集に言われたのですが、13年たっていました。エピソードを練っている時、別れた奥さんをサポートしないといけない男の話を考えました。ただ、中高年を主人公にしたら逃げだなと思った。せっかくガンダムをやるのなら、若者を主人公にしようとした。『MOONLIGHT MILE』でうなくできなかったライバル関係を正面から描こうとした。できなかったことに改めて挑戦しにょうとしました」
最初は、コミックス2巻分程度で終わらせる予定だったが、大きな反響を受けて、連載が続くことになった。アニメは第1シーズンが2015~16年、第2シーズンが2017年に展開され、ガンプラも発売された。
「アニメ化は最初は正直、複雑な気持ちでした。好き勝手に設定を変えたので、最初はアニメ、模型はないですよと言われていて、それでも構いませんと始まったんです。模型になって、アニメにもなった。喜びを感じていました」
「ここまできたら、全部やりたい! 俺ガンダムをやろうとした」と独自の展開が大きな魅力になった。ブラウ・ブロと合体するパーフェクト・ガンダムについて「ブラウ・ブロはアニメに一話しか出てこない。もうちょっと活躍させたいという思いがありました」と説明。
パーフェクト・ジオングについては「ジオングは宇宙用ですし、脚は付いていません。下部にボリュームがほしかったので、プロペラントタンクを付けました。サイコ・ザクなどほかにもプロペラントタンクを付けまくっていましたし」と話した。
◇自分の人生の中で大切な一作
2018年、腱鞘炎のため、第109話以降の画風を変えた。大きな決断だった。“作画パートナー”やメカデザインを務めた桜水樹さん、彩色を担当したumegrafixさんらに支えられて連載を続けた。
太田垣さんは「19歳でマンガ業界に入って、毎日練習をして、少しずつ描けるようになった。本当に悲しくて、ここで筆を折っていてもおかしくなかった。編集部のご厚意があって続けることができました。。桜さんとumegrafixさんのサポートがあったからできた。私は運がよかった」と涙を流しながら感謝の言葉を述べた。
長い連載を終え「マンガ家になって一番長く続いた連載。自分の人生の中で大切な一作です。いろいろなことに挑戦させていただき自信もつきました。この作品を描けて本当によかった。いろいろな人に出会えたことがうれしかった。いろいろな人に届き、つながれたことが幸せでした。皆さんに感謝しています。超えられるものを描くという大きな目標ができました。こんなに大きな目標ができたこともうれしい。次の作品でも皆さんの心に残る作品を作りたいです」と思いを明かした。
現在は「『MOONLIGHT MILE』を完結させるためにネームを描いています」といい、“オリジナル次回作”が2026年夏に始動することも発表されている。今後も“心に残る作品”を作り続けることに期待したい。
提供元:MANTANWEB











