川島零士&津田健次郎:「不滅のあなたへ」インタビュー 二人きりの収録から4年…「現世編」に衝撃と感慨

配信日:2025/10/18 9:01

「不滅のあなたへ Season3」に出演するフシ役の川島零士さん(左)と観察者役の津田健次郎さん
「不滅のあなたへ Season3」に出演するフシ役の川島零士さん(左)と観察者役の津田健次郎さん

 「聲の形(こえのかたち)」で知られる大今良時さんのマンガが原作のテレビアニメ「不滅のあなたへ」のシーズン3「不滅のあなたへ Season3」が、NHK総合で10月に放送をスタートした。刺激を受けた物の姿に変化できる能力、死んでも再生できる能力を持つ“不滅の存在”フシの物語は、人間を襲い滅ぼそうとする敵対勢力ノッカーとの戦いを経て、現代を舞台にした「現世編」に突入した。2021年4月にスタートしたシーズン1からフシを演じ続ける声優の川島零士さん、フシを見守る観察者役の津田健次郎さんに、作品への思い、シーズン3の見どころを聞いた。

 ◇変わり続けるフシと変わらない観察者 「現世編」にまさか!

 --2022年10月~2023年3月に放送されたシーズン2では、フシたちとノッカーの壮絶な戦いが描かれました。印象に残っているシーンは?

 川島さん フシが溶けた鉄の中に閉じ込められている時に「人はなんで生きることを奪われちゃいけないのか」と問われるシーンで、これからたくさんうれしいことや感じることがあるのに、それを奪われてしまうのが嫌だ、ということを言うシーンが印象的でした。それで観察者が「まるで人間になったかのようだな」と言って、フシが「ああ、そうさ」と返すのですが、僕はここが「不滅のあなたへ」の根幹だなと。僕の中で「生きるってなんだろう」ということへの答えとしてしっくりきて、「それか」と思いました。

 津田さん 僕は、フシがノッカーとの戦いを終えて、眠りにつくところです。絵的なインパクトもなかなかすごいですし、今までずっといろいろな戦いや、出会い、別れがあったのが、あそこで一つ区切りがついて、重くじわっときた覚えがあります。

 --フシはこれまで外見も内面もかなり変化してきました。演じる中で大切にしてることは?

 川島さん シーズン1、2が、フシが自己を確立するまでのエピソードと聞いていたので、逆算して役作りしていました。この時期はこういうものを獲得するというのがコミックスの巻ごとに分かれているので、それを逆算して作っていたなと。

 ーー一方、観察者は不動の存在という印象です。

 津田さん 僕は、基本的にはずっと変わらないので(笑)。物語はいろいろな変遷を遂げますが、観察者はずっと観察者といいますか。

 川島さん 「重力を伴うことを大事にしている」とおっしゃっていましたよね。

 津田さん そうですね。ナレーションも担当しているので、いろいろなことが変わっていく中で、観察者、もしくはナレーションで空気感を一つ作っていく役割というか。ナレーションと比べると、観察者としてフシとやり取りするシーンは、もう少し柔らかいのですが、観察者としての俯瞰した立ち位置でずっと淡々としていて、そこに何の感情もないというイメージでやっています。

 --「現世編」のストーリーの印象は?

 川島さん 「現世編」では、ノッカーが「痛みの肩代わり」を主張するのですが、僕自身、その主張に対して「いいんじゃない」「痛みを肩代わりしてくれることに何か悪いことがあるのかな?」と思っていたんです。そんな一見よさそうに見える甘い誘いに対して、フシがいろいろな人との関わりを経て、自分たちなりの答えを見つけてどう提示していけるのか?と。「前世編」では、フシとしては物理的な攻撃から「守る」だったのですが、現世は心の時代なので、「守る」とは一体どういうことなんだろうと奔走している。演じる中でも、その変化に注意していました。

 津田さん めちゃくちゃ根本的なところなんですけど、まさか現代に来るとは思わなかったので、本当に衝撃的でした。びっくりしました。先生の感性はすごいなと思って。遠い物語だったのが、現代を生きる僕らの物語になった。僕らが生きているこの世の中にフシがいるだと!?みたいな、衝撃と興味深さが格別でした。

 ◇川島零士はエッジが効いている? 作品への情熱

 --収録の様子は?

 川島さん 学校に通うシーンが描かれるので、学生を演じる若いキャストの皆さんがすごく増えたなという印象ですね。シーズン1、2は、僕が一番下の後輩だったのですが、今回はついに後輩ができて!

 津田さん すごいですね。やっぱり長いことやれる作品はそうなるんですね。シーズン1の最初は2人での収録だったので。フシが延々と大変な目に遭って死んだところからスタートだったので、本当に感慨深いですね。しかも、川島君が「そうか、先輩なんだ」と。最初はめっちゃ緊張していましたし。

 川島さん 緊張していました。1回目から胃が痛かったです。

 --津田さんは一番近くで川島さんを見守ってきたような?

 津田さん いやいや(笑)。最初から何の心配もない感じでしたけどね。めちゃめちゃ安定していましたし、フレッシュさもあるし、何の心配もなく、作品を座長として背負っていってください、という感じでした。

 川島さん あざっす!

 --共演してきた中で感じるお互いの魅力は?

 川島さん 当たり前なんですけど、僕が持っている性質と全く違うものを津田さんは持ってらっしゃって。タイプは全然違うのですが、その中に経験と修練されてきたものがあるので、何かを引き出したいと。津田さんが「不滅のあなたへ」の現場にいらっしゃると、ブースの中に入って「久しぶりに聞いてもいいですか?」と見せてもらうんです。津田さんが声優という枠組みを超えて、自分の美しいものを追求されている姿がすてきだなと思うので、勉強させていただいています。

 津田さん 川島君はとてもシャイなので、情熱などを表に出すタイプではなくて、普段からふわふわと、ニコニコとしている。ほかの現場では、まだそんなに一緒になったことがないのですが、「不滅のあなたへ」に関して言えば、ものすごい情熱で、声優人生を懸けてフシという役に挑んでいる。そのスタンスが、シーズン1の最初からずっと変わっていないんです。自分が出ていないシーンでもずっとブースにいましたし、今でもそのスタンスは全然変わらないでしょうし、特に「不滅のあなたへ」は川島君の中で大きい作品の一つになっているのだなと。

 --穏やかな雰囲気をまとわれていても、収録やその行動から熱を感じると。

 津田さん そうですね。本来はエッジの効いている人だと思うので。

 川島さん そうかもしれないです。

 津田さん あまりエッジの効いたところを前面に出す感じではないんですけど、とがったものを持っていらっしゃるなと思っていますし、その芝居に向き合う姿勢に、僕も頑張らなきゃなと思います。

 川島さん ありがとうございます!!

 ◇命を真正面から描く「不滅のあなたへ」 “痛み”の大切さ

 --改めて感じる「不滅のあなたへ」の魅力は?

 津田さん 命に対して真っ正面から取り組む作品って、手塚治虫大先生の「火の鳥」ですとか、宮崎駿大先生のマンガ版「ナウシカ」ですとか、大ベテランになって着手するところじゃないですか。それを先生はこの段階でよく大上段から取り組んだなと、本当にすごいことだと思っています。プラス、そんな大上段から命に取り組んでいる作品を、よくアニメにしようと思ったなと。これに関わる編集さんやアニメスタッフの皆さんは、ものすごく大変な思いをされながら作ってらっしゃるだろうなと思います。ほかのアニメ作品とは違うものとして、立ち位置を築いているのではないかと思います。そういう作品に参加させていただけることもなかなかないので、本当にありがたいなと思っております。

 川島さん 情報量が増えて、見落としがちなものがたくさんあるこの世の中で、それに気付かせてくれる作品だと思います。しかも、深掘りしてくれる。先生がこの作品を通して提示してくださるから、立ち止まって向き合える時間が作れる。しかも、作品を通して対話できるのがすごくうれしいです。ファストな作品じゃない感じがします。

 --作品を通してご自身の考えが変わったことも?

 川島さん そうですね。シーズン3は、ノッカーが「痛みの肩代わり」を主張するという話がありましたが、最初は「いいじゃん」と思っていたところから、結果、僕の中で答えが出たんです。痛みも含めて感じられるからこそ、逆側にある幸せやうれしいことが感じられるのではないかと。表裏一体になっているので、痛みを肩代わりされちゃうと、幸せやうれしいという感情も薄れていってしまう。だから、日常生活でも感じることを大切にしようと思うし、痛み、つらさ、苦しさも前向きに受け取れるようになりました。僕の中で、日々の向き合い方として、すごくすっきりしたんです。

 “心の時代”現代を描く「不滅のあなたへ」の「現世編」。フシたちはどのように新たな試練に立ち向かうのか、注目したい。

提供元:MANTANWEB

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