上田麗奈:劇場版「チェンソーマン レゼ篇」インタビュー 悩み抜いたレゼ像 「ドキドキを教えてもらった」

配信日:2025/10/11 7:01

劇場版「チェンソーマン レゼ篇」でレゼを演じた上田麗奈さん
劇場版「チェンソーマン レゼ篇」でレゼを演じた上田麗奈さん

 藤本タツキさんの人気マンガが原作のテレビアニメ「チェンソーマン」の続編となる劇場版「チェンソーマン レゼ篇」が9月19日に公開された。「レゼ篇」は、2022年10~12月に放送されたテレビシリーズのラストにも登場し、話題になったレゼと主人公・デンジの物語。レゼは、デンジはもちろん、多くのファンを魅了する人気のキャラクターだ。レゼ役の上田麗奈さんは、大きなプレッシャーを抱えてレゼというキャラクターに向き合ったという。上田さんに収録の裏側を聞いた。

 ◇レゼを演じる覚悟 「私にできるんだろうか」と不安も

 「レゼ篇」では、デンジが憧れのマキマとのデートで浮かれている中、雨宿りをしていると、カフェで働く少女レゼと出会うことになる。上田さんは、オーディションの末、レゼを演じることが決まり、「レゼを演じる覚悟のもと、原作を読んだ」という。

 「原作を読んだ時は、本当に切ない気持ちになるお話だなと、強く感じました。私はレゼを演じる覚悟のもと、原作を読んだので、どうしてもレゼに感情移入してしまって。ストーリー全体を通して、構成がすごく美しい。『前半にあったこれが後半につながる』というように、全てが回収されていって、一つのまとまりを持ったお話になっていたので、すごく感動しました。デンジがレゼと触れ合うことで心の変化、迷いが生まれていったり、人間味があるところも見えて、グッときました」

 レゼ役へのプレッシャーも大きかったという。

 「他の皆さんが演じるキャラクターが固まっている中で途中参戦していくことにまず緊張しましたし、『レゼ篇』というのもあって、レゼがちゃんと魅力的に見えないと、説得力がなくなってしまうので、本当にしっかり理解した上で魅力を引き立たせるようなお芝居をしていかないといけない。それが私にできるんだろうか?という不安はすごく強かったです」

 レゼは、マキマに憧れるデンジの前に現れ、デンジを一気に惹きつけることになる。

 「この時ばかりは、マキマさんとレゼでデンジを迷わせないといけないので、マキマさんと同じか、もしかしたらそれ以上に『レゼが可愛いかも』と、デンジにも、見てくれる人にも思ってもらえるくらいの熱量でいかないといけないというので、すごくプレッシャーは大きかったです」

 ◇最初のプランとは違うレゼに 「私が思いつかなかった新しいレゼが生まれた」

 「レゼ篇」の収録について、中園真登副監督は、「上田さんの中で一つ筋が通ったレゼを作り上げてきてくれていたこともあって、こちらからのディレクションとすり合わせる中で悩まれる場面もあったかと思います」と語っている。上田さんは、どのようにレゼと向き合ったのだろうか。

 「収録の前から、前半は企みみたいなものはあるけど、それを見せず純粋無垢に見えるように、というお話は伺っていたので、その辺りは意識していたつもりでした。また『ドキドキさせたい』とも伺っていたので、ドキドキしてもらえるような距離感の近さも意識したつもりだったのですが、そこにプラスして『陽気な感じがほしい』というディレクションを最初にいただいて。もしかするとちょっと影が香ってしまっていたのかもしれません。まずそこの調整がすごく難しかった印象です」

 レゼとデンジが電話ボックスの中で出会うというシチュエーションもあり、「距離的にもすごく近い。そこで『もっと元気に声を出していいですよ』と言っていただいたのですが、出しすぎると『うるさい』という印象になってしまってドキドキどころか、『ちょっと変な子だな。嫌だな』と思われてしまうんじゃないかと、そのさじ加減にすごく悩みながら、ちょっとずつ調整していく感じでした」と、微調整をしていった。

 上田さんは当初、レゼとデンジが夜の学校のプールではしゃぐシーンを「楽しいが一番強い」絶頂と捉えていたが、「あそこくらいのテンションまで最初からいっていいんだな」という感覚だったという。

 「ちょっとずつレゼの中でも変化が出てくるのかなと思って、グラデーションになる予定だったんですけど、最初からすごく常に楽しそうで、コロコロ笑ってという感じになったので、最初に私が考えていたプランとは違うレゼのお芝居になっていたかなと思います。ディレクションをいただいて、私が思いつかなかった新しいレゼが生まれた感じがしたので、悩みながらも挑戦したことで、よりいいものが生まれたように思っています」

 ◇レゼの歌「ジェーンは教会で眠った」収録秘話

 夜の学校シーンでは、レゼを殺しに来る謎の男と対峙し、首を絞めながら歌を歌っている姿も印象的だ。「ジェーンは教会で眠った」というロシア語の歌で、原作の第43話では歌詞のみが記されていた。上田さんは、歌の収録を「あまりディレクションはなかったんですけど、『どのくらい締めてる感を出しますか?』と、打ち合わせた記憶があります」と振り返る。

 「レゼは、締め上げてるから相当な力を使っていると思ったので、力んでる感じをどのくらい意識するかというのを伺ったところ、そこはあんまり気にしすぎずに歌ってほしいということだったので、体のリラックス感はありつつ、力まず歌った記憶があります。歌詞がデートして、お茶してみたいな、ほっこりした感じだったので、それを感じているような。すごく楽しい歌を歌っていて、気持ち的にも『こういうデートいいな』みたいな、楽しいような、諦めのような気持ちでした」

 完成した映像で歌を聞き、気付いたこともあったようで「劇中は歌声だけ聞こえますが、収録ではメロディーを聞きながらだったので、完成品を見た時にリズムを刻んでいる感があるような感じがして。収録では、そういうつもりではなかったんだけど、カウントを取っているみたいにも聞こえて、『こわー』と思って。いろいろな見方ができるシーンだったなと思いました」と語る。

 ◇レゼからボムへ 「心を動かさないように」 “残った”ものも

 魅力的な少女としてデンジの前に現れたレゼだったが、その後、デンジの心臓を奪おうとするボムに変貌する。上田さんは、悩んだ前半に比べ、ボムに変貌してからは「演じやすさ」を感じていたという。

 「前半は『ドキドキさせよう』と純真無垢なレゼとして振る舞っていて、ちょっと嘘くさいくらいに可愛く、同級生の女の子という感じだったのが、後半は『レゼ可愛い』と思ってもらわなくてもいい状況になりました。もうあとは、目的として『戦って心臓を奪う』というのが残っているだけで、ハニートラップを仕掛ける必要がない分、私的にはちょっと力が抜けたというか、『この戦いにただ集中すればいいんだ』と。その内面の違いがあったから、後半は声にも自然とクールな要素が増えたのかなと思います」

 そうした変化を意識しながらも、「デンジくんと戦っている場面は特に『楽しそうな部分が残ったな』と思って」と明かす。

 「完全に別人になりきらない、クール、大人っぽくに振り切らないボムになったのは、やはりレゼの時にデンジくんと会話していたそれが板についちゃったというか。デンジ君といると楽しいとか、デンジ君としゃべっている時のテンポ感とか、ふざけ合った感じはこの温度感だなと。ハマりがいいところが見つかっちゃっているから、ボムとして対峙しても、レゼといた時のようなじゃれ合い感のようなものが生まれた感じがします。純粋にデンジ君と一緒にいると楽しいというのが無意識に漏れちゃったのかもしれないのです。あとは、ボムとして覚悟を決めてもなお、女の子としてのレゼの部分で何か揺らぐものがあったのかなと思っています」

 上田さんが「じゃれ合い」とも表現するデンジとのバトルシーン。ボムが首にあるピンを抜く際に放つ「ボンっ」というセリフも耳に残る不思議な魅力がある。これについて聞くと、「『ボンっ』は何も考えていなくて」と意外な答えが返ってきた。

 「『逃がさないよ~』と見下ろす感じもありましたが、なんだろうな……『働くぞっ』みたいな(笑)。というのも、ボムになった時に、楽しいとかうれしいとか、本当は戦いたくないからちょっと嫌だなとか、そういう感情的な部分をすごくカットしていった記憶があるんです。感情があると、多分一緒に逃げたいとか、やっぱり戦いたくないという思いが生まれてしまうから、出せなかったんだと思うんです。本当は嫌だなと思っているかもしれないけど、『働くぞっ』『やるぞっ』という。基本は心を動かさないように、という感じでした」

 「感情を削ぎ落した結果が一番レゼにとってもラクな形だった」とも感じている。

 「やっぱり心を動かすと、しんどいことばかりやっていると思う。自分の気持ちを引っ込めるのが癖になって人生を生きてきちゃっている分、そっちのほうがいつも通りの自分でラクというか。削ぎ落して、削ぎ落して、『素のレゼはこうなのかな』というものに近付いていくような感覚でした」

 上田さんが役と向き合い、スタッフと共に丁寧に、繊細に作り上げたレゼだからこそ、多くの観客の心を掴んで離さないのだろう。最後に、レゼを演じたことによる発見を聞いた。

 「電話ボックスのシーンで、すごく悩みながらお芝居していたんですけど、私の性格だと、『こんなにグイグイ来られたら引いちゃうかも』と思うような元気さ、明るさでもキュンと来る人もいるんだというのはすごい発見でした。二道のマスター役の小野健一さんが、私が悩んでいるのを見て『あれくらいグイグイ来てくれたほうが裏がないように見えるからときめきやすい』と言ってくれて『そうか』と思って。翻弄したり、誘惑したりする上で『こういうパターンもありなんだな』と引き出しが増えました。スタッフの皆さんが言ってくれた『ドキドキをお客さんに感じてほしい』というのを、私もアフレコの時から感じていたんだなと思います。レゼに『ドキドキ』を教えてもらいました」

提供元:MANTANWEB

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