林原めぐみ×日高のり子:「らんま1/2」インタビュー 新作アニメは「人生のご褒美」 新人だったあの頃

配信日:2025/10/04 7:01

アニメ「らんま1/2」に出演する林原めぐみさん(左)と日高のり子さん
アニメ「らんま1/2」に出演する林原めぐみさん(左)と日高のり子さん

 高橋留美子さんの大ヒットマンガ「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”の第2期が日本テレビで10月4日から毎週土曜深夜0時55分に放送される。「らんま1/2」は、「うる星やつら」「めぞん一刻」などでも知られる高橋さんが1987~96年にマンガ誌「週刊少年サンデー」(小学館)で連載された大人気作。1989~92年にもテレビアニメが放送されており、30数年ぶりのテレビアニメとなった“完全新作的アニメ”の第1期が2024年10~12月に放送された。早乙女乱馬役の山口勝平さん、らんま役の林原めぐみさん、天道あかね役の日髙のり子さんらが続投したことも話題になっている。第2期の放送に向けて、林原さんと日髙さんに30数前の収録を振り返ってもらいつつ、新作について聞いた。

 ◇とにかく楽しかったあの頃の収録

 --30数年ぶりのテレビアニメということで、当時の記憶がよみがえったファンも多いようです。

 日高さん すごくうれしいですよね。

 林原さん 当時を思い出したという声を聞くと、そこに貢献できたことがうれしいですよね。新作アニメが見せる世界は「らんま1/2」だけではなくて、当時のその人の生活も思い出すという素敵な相乗効果ですよね。「らんま1/2」で見る映像はみんな一緒だけど、その人が脳の中で見る映像は何万通りもあると思うんです。リバイバルというものの可能性を感じます。

 --お二人にとって「らんま1/2」という作品はどんな存在になっている?

 林原さん 私は高橋先生の「めぞん一刻」という作品が生まれて初めてのアニメで、まだ養成所に通っていて、看護学生でもありました。その後、「魔神英雄伝ワタル」でヒロインを演じて、「らんま1/2」はその後すぐだったので、まだまだ新人でした。年上ですが山寺宏一さんたちも若手と呼ばれて出てきた時代で、みんな横並びの新人で、ノン子さん(日髙さん)がちょっとだけお姉ちゃんだったんです。「らんま1/2」の時代は、1、2本はメインでレギュラーをやったけど、その後はどうなっていくか分からなかった時期なので、よーいドン!でスタートしたかもしれないけど、まだ何メートルも走っていないぐらいの状態でした。今では笑い話ですが、事務所に届いたお手紙がほぼ誹謗中傷でした。新人でしたからね。何者だ?って声ばかりで。当時はインターネットがなかったからよかったのかもしれませんね。今だったら、さすがに心が折れていたかもしれないけど、同じかな?(笑)

 日高さん それだけ原作ファンの思いがあったんですよね。私も「タッチ」の時にいろいろなお手紙をいただきました。私は「超時空騎団サザンクロス」で声優としてデビューして「タッチ」「忍者戦士飛影」「アニメ三銃士」などにも出演させていただいたのですが、新人として先輩方の中に入って、私が一番下で足を引っ張っているような感じだったんです。「らんま1/2」は、若い世代が力を合わせて作っていて、めぐや勝平が新人でしたし、妹や弟ができたみたいで、引っ張っていかないといけませんでした。当時、20代の私は必死でした。自分のことで精いっぱいで、恵まれた環境をかみ締めたり、味わえたりはできませんでした。でも、楽しかったですよ。アフレコはもちろん、イベントやキャラソンもあって、とにかく楽しかったんです。あの楽しい思い出を、もう一度味わいたいという思いがずっとありました。この年齢になってその楽しみを味わわせていただけることが、何よりも幸せです。本当にありがたいことです。

 林原さん 「人生のご褒美だね」ってみんなで言っているんですよ。

 日高さん 同世代のメンバーがこれだけたくさん一堂に会するなんて、ほかのアニメではなかなかないですし。

 林原さん 笑ってしまうんですけど、当時を知らない子が「『名探偵コナン』の声優が『らんま1/2』にも出ているんだね」と言っていて(笑)。

 日髙さん そうそう(笑)。めぐもそうだけど、「らんま1/2」のメンバーは結構「コナン」に出ているから、「らんま1/2」の同窓会みたいになっていたんだよね。羨ましいな~と思っていたら、2012年から出演させていただけて、自分の中で満足したところもあったんです。また「らんま1/2」でみんなに会えるなんて思っていなかったですし。

 ◇新作で解き放たれた!

 --日髙さんから見た当時の林原さんの印象は?

 日髙さん 自分が信じるものがしっかりあって、自分の表現をしっかりやるという使命感みたいなものを感じていました。いっぱいいっぱいだったとは思うんです。でも、肝の据わった新人のように見えていました。集中していましたよね。私は新人の時、キョロキョロして周りを見すぎちゃっていたのですが。

 林原さん だから、新人の面倒を見ていただけていたんですよね。

 日高さん 隣に私と似たタイプの勝平がいて、オドオド、キョロキョロしているから私と何度も目が合うんです。めぐは度胸があったけど、勝平のことが心配で見ていました。でも、めぐに改めて聞いてみると「バクバクだった」と言うので、話してみないと分からないものですよね。

 林原さん 私自身、第1話の時から、演出をずっと受けていて、男らしく、なんだけど女になって、声はできるだけ可愛らしく、でもりりしくと言われ……。どういうお芝居をしたらいいのか分からなくなり、少し声を潰して、男の子っぽくしたら「そうではない」と言われるし、それに応えるボールを持っていなかったんです。「もっと勝平君から盗んで」と言われ、穴が空くように勝平のことを見ていました。

 日高さん 二人で一人のキャラクターを演じていましたからね。

 林原さん 勝平がテストと本番で違うお芝居をすると「なんで?」と聞いたり、追い詰めていたかもしれません(笑)。お互いぶつかり合って、何カ月かしたら、勝平の乱馬が私の中に音や体系として入った状態になりました。新作は第1話からその状態で始められたので、自由だ!と演じられました。お互いに根底では意識しあっているけど、過集中しないでもセリフが入ってくるようになりました。だから解き放たれた感じですね。

 日高さん 昔は、勝平もめぐも新人で、素のままでしたしね。私は10代でデビューして、何となく客席にお客様がいる感覚が身についていて、イベントでも私は優等生的に、こうあるべきだというものがあったけど、勝平とめぐは素のままでしたから。二人が少し羨ましいところもありました。イベントの前に、めぐの髪を結ってあげたことがあったのですが、めぐがその髪を下にして寝ちゃったり(笑)。

 林原さん あれは本当に失礼でしたよね。深く反省しております。大人になっていろいろ学びました(笑)。

 日高さん その感覚が私の中では新鮮だったんです。この二人がどんどん可愛く見えてきちゃって。面白いし、大好きでした。今は立派な大人になって、私なんかよりもしっかりしています。ただ、そんな中でも少し昔に通じる隙みたいなものを見つけた時、最高に幸せになります。

 林原さん 隙だらけなんですよ。できることとできないことの差が激しいんです。それを分かってくれる人が仲良くしてくれています(笑)。

 日高さん 昔は携帯電話もメールもなかったから、プライベートで話をしたい時は家に電話を掛けていましたし、そうやって関係を育んできたので、ある意味濃密だったんじゃないかな。

 --新作の第2期の放送が始まります。

 日高さん 第1期がありましたし、エンジンが温まってから迎えた第2期だったと思います。収録を重ねるごとに、昔の感覚を思い出し、昔の演技をなぞるわけではないのですが、ピュアな高校生を演じやすくなっていました。

 林原さん そうですね。最近、激しい役をやっていないわけではないですけど、らんまは壁に当たるし、水に落ちるし、ギャーギャー言いながら走るので、テンションマックスな役は久しぶりでした。声が出るのか?という物理的なことよりも、らんまを見下ろすようなテンションじゃないと、この子は引っ張り上げられないものだから、そこにいけるかな?とも思っていました。でも、第1話でパンダを見たらイライラして、なびきちゃんの声を聞いたらザラッとして、あかねの声にズキュンしちゃって……と自分がこうしなければと思い描いていたことが、秒で吹っ飛んでしまいました。説明しづらいのですが、久しぶりに集まって、酒飲んだら、学生時代の話で盛り上がって、日頃思い出しもしていなかった情景や感情がよみがえってくるような感覚でしょうか。絵の力、声の力、自分の過去の経験が全部マッシュされて、声帯を通してバズーカとして出てくるようなすごい体験でした。

 「らんま1/2」は伝説的な作品だ。令和によみがえった新作は、さらにパワーアップした声優陣の演技も大きな魅力になっている。林原さんや日髙さんら豪華声優陣の演技をぜひ堪能してほしい。

※日高のり子さんの「高」は「はしごだか」。

提供元:MANTANWEB

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