キャッツ・アイ:40年ぶりアニメも話題 名作誕生秘話 レオタードのつもりではなかった!? 原作者・北条司インタビュー

配信日:2025/09/28 7:01

「キャッツ・アイ」の完全新作アニメのビジュアル(c)北条司/コアミックス
「キャッツ・アイ」の完全新作アニメのビジュアル(c)北条司/コアミックス

 1980年代を中心に人気を集めた北条司さんのマンガ「キャッツ・アイ」の完全新作アニメが、ディズニープラスで9月26日から独占配信されている。同作は、「シティーハンター」でも知られる北条さんの連載デビュー作で、1983~85年にもテレビアニメが放送されており、約40年ぶりに再びシリーズアニメ化されることになった。原作者の北条さんに連載当時を振り返ってもらった。

 ◇仲間とのバカ話から生まれた

 「キャッツ・アイ」は1981~84年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気マンガ。喫茶キャッツアイのオーナーである美人三姉妹の瞳、泪、愛が、怪盗キャッツアイとしてクールに夜を駆け、世間を騒がす……というストーリー。華麗なアクションや刑事とのスリリングな恋が描かれた。

 名作が生まれたきっかけを聞いてみると「仲間たちとのバカ話から出てきたんです」と明かす。

 「大学の卒業制作が終わって、みんな飲もうぜ!とアパートに集まっている時に出たバカ話からなんです。夫婦の話で、夫婦の奥さんが泥棒で旦那さんが刑事。 夜の秘め事の時に旦那から情報を聞き出す。そんな下世話な話だったんです。そこからマンガにできそうだと思って、夫婦じゃなくて恋人同士にして、三姉妹と段階的に考えが発展していきました。ただ、躊躇なく3人にしようとしました。“3”というのは一番バランスがいい。チームを組むにしろ、 2対2だとケンカ別れしてしまうし、5人だと多すぎる」

 怪盗キャッツアイの衣装のレオタードもインパクトが大きかった。今でもパロディーの元ネタになるなど「キャッツ・アイ」と言えばレオタードという印象も強いのだが……。

 「一言もレオタードと言ったことないんです。単純にフィットしたスーツというイメージで描いているだけなんですけど、編集部がレオタードと言ったんですよ。愛の衣装は襟がついているじゃないですか。レオタードに襟はないですし。みんなが言うからレオタードっぽくなっていったんです」

 連載当時は「着地点を決めていたわけではなかった」という。

 「着地点を決めても『あと10回で連載終わりです』と言われることもあるかもしれないじゃないですか。だから、結婚して終わり、世界が滅びて終わりなどは設定には入れない。単純に今の状況が永遠に続いてもおかしくないようにしていました。そんなに深く考えたことはないけど、俊夫と瞳の関係が読者は面白かったみたいで、事件そのものを大げさにする必要はなかった。担当に『少年誌だから熱い設定を考えてくれ』と言われ、熱いとは?と考え、無理矢理絞り出したのが父親の絵を取り戻すことでした」

 ◇常に時間に追われていた

 「キン肉マン」「Dr.スランプ」「キャプテン翼」「ウイングマン」「北斗の拳」「DRAGON BALL(ドラゴンボール)」など1980年代の「週刊少年ジャンプ」は数々の人気作が連載されていた。週刊連載ということもあり、「過酷でしたね」と振り返る。

 「皆さんはアイデアや物語が……と言いますが、一番大変だったのは体調なんです。徹夜は当たり前で、それで風邪を引いたりしたら、終わりだし、それも許してはくれない。ずっと体調が悪かったです。20代の頃の体調と今を比べると今の方がよっぽど元気ですからね。ずっとぼーっとしてました。肉体労働ですよ。頭脳はそんなに使ってません。思い浮かばないと言っている暇もないので、無理矢理描いていました。納得しようがしまいが思いついたことをやっていくしかない。何とか描けた……と達成感までいかなくて、うまくいったと思って描いた試しはないですね。こんなのでいいのか?と常に思いながら時間に追われていました」

 北条さんは「キャッツ・アイ」のヒットで人気マンガ家になった。連載終了後、1985年には「シティハンター」をスタートする。

 「『キャッツ・アイ』は読み切りだけで終わってしまうと思っていたので、連載するということ自体が寝耳に水でした。僕の人生を180度変えた作品ではあります。それまでマンガ家になることに実感がなくて、福岡で短編でもコツコツ発表していければいいんじゃないかと思っていました。いきなり東京に引っ張り出され、 毎週締め切りに追われ、訳がわからないうちに生活が変わってしまった。それが『シティーハンター』まで続きました」

 約40年ぶりに再びシリーズアニメ化されることについて「驚きですよね」と話す。

 「40年もたつんですよ。もうすぐ半世紀たとうとしているのに、再びアニメ化される驚きと、今の世の中に受け入れられるのか?という不安もありますし、スタッフの度胸がすごいなと思います。40年なので、昔の自分のアルバムを見ているような恥ずかしさがあるんです。現代風にしたらどうですか?とも言ったのですが、あの雰囲気をそのままやりたいという意向でした。だから、余計恥ずかしかったです。設定でケータイが出てくるなどいろいろ変わってはいるのですが、全体的な雰囲気、話の流れもそのままで、やっぱり恥ずかしさが先に立つんですよね。青いなあと思いますけどね。だって、40年前の写真を見るのも嫌でしょ? 学校での行動、自分でしたこととかしゃべったこととか、記憶に残っていたら恥ずかしいじゃないですか」

 歌手のAdoさんがオープニングテーマ「MAGIC」を歌い、エンディングテーマは杏里さんが歌った歌「CAT’S EYE」をカバーすることも話題になっている。小松未可子さんが美人三姉妹の次女の来生瞳、小清水亜美さんが長女の来生泪、花守ゆみりさんが三女の来生愛をそれぞれ演じる。

 「音楽も違うので雰囲気も変わっていますが『キャッツ・アイ』のアニメだ!と感じました。主題歌もAdoさんの力ってすごいなとは思っています。絵も頑張っているし、ワクワクするオープニングです。でも、本編が始まると恥ずかしいです」

 令和の時代によみがえった「キャッツ・アイ」は当時の雰囲気を残しながら、新しいアニメになっているようだ。

提供元:MANTANWEB

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