ペリリュー -楽園のゲルニカ-:主人公・田丸役は板垣李光人 “相棒”役に中村倫也 終戦80年に劇場版アニメ化
配信日:2025/08/05 6:00

太平洋戦争の激戦の地、ペリリュー島を生きた若者たちを描いた武田一義さんのマンガが原作の劇場版アニメ「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」で、俳優の板垣李光人さんが心優しいマンガ家志望の主人公・田丸均の声優を務めることが分かった。中村倫也さんが田丸の頼れる相棒・吉敷佳助を演じることも発表された。同作は、終戦80年を迎える2025年12月5日に劇場版アニメとして公開される。
田丸と吉敷が描かれたティザービジュアル、特報が公開された。特報は、「お母さん、お元気ですか? ぼくは死んだ仲間の雄姿を伝える功績係をしています」という田丸のセリフから始まり、銃撃戦の音が鳴り響く映像となっている。田丸の「過酷ですが、きっと日本に帰ります」、吉敷の「生き残ろうぜ、田丸!」というセリフも流れる。
板垣さんは、アフレコ前に実際に物語の舞台となったパラオ・ペリリュー島を訪れ、島の各地に点在する戦跡を巡った。板垣さんは「終戦80年という節目の年にこの作品に携わり、田丸均という役に命を吹き込むことができる運命には、非常に大きな意味と責任を感じています。田丸は、遺族に向けて戦場での仲間の最期を記す『功績係』を担っています。自分もいつ死ぬかわからない状況の中、ついさっきまで言葉を交わしていた仲間の最期をつづる残酷さ。そしてそんな残酷な現実を時には、愛する人を待つ家族のために美しく仕立てなければならない。そんな田丸なりの、激しくも繊細な葛藤や感情を大切に描いていきたいです」とコメント。
「この作品に携わるにあたって、舞台となったペリリュー島にも伺いました。そこには教科書やテレビ、ネットからは感じることのできない、まさしくここで確かに苛烈な戦いが繰り広げられており、たくさんの方々がさまざまな思いと共に命を落とされたのだと、強く実感しました。その中には、自分とも歳が近い20代の若者たちもたくさんいたはずです。彼らの青春や人生に思いをはせると、とても他人事とは思えません。80年前も、2025年の今も、そしてこれからも。命の尊さは平等でありその尊厳は普遍的であると、そしてそれを我々は自分たちで大切にしていかなければならないのだと、この作品を見て少しでも感じていただけたらうれしいです」と語っている。
中村さんは「太平洋戦争後のさまざまな場所で、終戦を知らず、潜伏を続けていた日本兵がいたことを僕は知っていました。しかし原作に触れて、こんなにも生々しくその日々を感じたことはありませんでした。またこれまでの人生で出会ってきた作品の中で、こんなにも『生きてくれ』と強く願った登場人物はいませんでした。知ることから始まる、ということを、僕は知っています。そして学びは、それを肌で感じられた時により深く生まれます。終戦80年。当時を伝えられる人も減ってきている中で、この作品を通して多くの方がペリリュー島の日々を感じてもらうことはとても意義のあることだと思います。戦争という混乱の先に今生きている僕らが感じるべきことは何なのか。ぜひ劇場で、歴史の1日1日を体感してください」とコメントを寄せている。
同作は、1万人の日本兵が送り込まれ、生き残ったのはたった34人といわれる太平洋戦争の激戦の地、ペリリュー島を舞台に、マンガ家志望の兵士・田丸の視点で、戦場を生きる若者の姿が描かれた。マンガ誌「ヤングアニマル」(白泉社)で2016~21年に連載され、2017年に第46回日本漫画家協会賞で優秀賞に選ばれた。スピンオフ「ペリリュー外伝」も連載された。
アニメは、「魔都精兵のスレイブ」などの久慈悟郎さんが監督を務め、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」などのシンエイ動画と、「ドッグシグナル」などの冨岳が制作する。原作者の武田さんと西村ジュンジさんが脚本を手掛ける。
◇スタッフ(敬称略)
監督:久慈悟郎▽脚本:西村ジュンジ、武田一義▽キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治▽プロップデザイン:岩畑剛一、鈴木典孝▽メカニックデザイン:神菊薫▽美術設定:中島美佳、猿谷勝己(スタジオMAO)▽コンセプトボード:益城貴昌、竹田悠介(Bamboo)▽美術監督:岩谷邦子、加藤浩、坂上裕文(ととにゃん)▽色彩設計:渡辺亜紀、長谷川一美(スタジオ・トイズ)▽撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)▽3DCG監督:中野哲也(GEMBA)、高橋慎一郎(STUDIOカチューシャ)▽編集:小島俊彦(岡安プロモーション)▽考証:鈴木貴昭▽音響監督:横田知加子▽音響制作:HALF H・P STUDIO▽音楽:川井憲次▽制作:シンエイ動画×冨嶽
提供元:MANTANWEB