石田彰:「鬼滅の刃」 猗窩座の圧倒的強さを表現するために 「力業」「思い切りやるしかない」
配信日:2025/07/30 19:31

吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の新作劇場版アニメ「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が7月18日に公開された。「無限城編」は、竈門炭治郎ら鬼殺隊と、鬼舞辻無惨ら鬼たちとの最終決戦が描かれる。第一章では、炭治郎と水柱の冨岡義勇が、鬼の中でもトップクラスの強さを誇る上弦の参の猗窩座と対峙(たいじ)することになる。猗窩座を演じる声優の石田彰さんに収録の裏側、第一章への思いを聞いた。
◇猗窩座と同じく童磨が苦手?
「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊へ入隊する……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された。コミックスの全世界累計部数は2億2000万部以上。テレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」が2019年4~9月に放送され、2020年10月公開の劇場版「無限列車編」は国内来場者数が2897万人を突破し、国内歴代興行収入1位となる約404億円を記録した。「遊郭編」が2021年12月~2022年2月、「刀鍛冶の里編」が2023年4~6月、「柱稽古編」が2024年5~6月に放送された。「無限城編」は三部作。
猗窩座は、炭治郎たちが初めて相対した上弦の鬼で、鬼殺隊にとっては「無限列車編」で炎柱・煉獄杏寿郎を倒した敵でもある。石田さんは、どのような思いで第一章の収録に臨んだのだろうか。
「前回の劇場版もそうでしたが、猗窩座はすごく強い敵という立場で登場します。本作のような戦闘モノで敵が強いということは本当に必須条件になると思うので、見ている人に『猗窩座って強いんだ』ということに疑いを持たれないようにしっかりと表現しなくてはという気構えもあり、臨みました。これまでテレビシリーズへの登場も何回か挟んでいますし、前回の劇場版に比べたら緊張度は少し和らいでいました」
第一章では、炭治郎と義勇対猗窩座のほか、蟲柱の胡蝶しのぶ対上弦の弐の童磨の戦いが描かれる。石田さんは「それぞれの戦いのスタイルが異なるので、すみ分けができているといいますか。隊士と鬼の対決ではあっても、同じようなものが続くわけではないというのはすごく見応えがありました」と語る。
しのぶ対童磨については「童磨のいやらしさが際立っていましたよね」と語る。「刀鍛冶の里編」第一話では、童磨の物言いに猗窩座が怒りをあらわにするシーンも描かれたが、「あの時から『なんか苦手だな、このキャラクター』と個人的にも思っていて。でも猗窩座もあんまり好きなタイプじゃないだろうなと思いながら。(第一章では)そういう童磨のキャラクターが全開で、まあ憎らしい、というのが際立っていて」と感じたという。
◇強さを全面に出す猗窩座 勢い、強さを声に乗せる
第一章では、猗窩座と炭治郎、義勇が激しい戦いを繰り広げる。石田さんはバトルシーンについて「彼の持ち味が生かされているような戦い方だったなと思います」と語る。
「前回の劇場版がほぼ1対1だったのに比べると、数字だけ見るとずるいじゃないかと思うんですけど、そんなことも全然気にならないくらい猗窩座が強いなと。猗窩座については『気の持ちようで勝っている』ということではなくて、圧倒的なフィジカルの強さで完全に上からいけるところが彼の持ち味であり、それが活かされているような戦い方だったなと思います。本当に頂点の戦いならではのスピード感なので、収録の時に画面を見ても目が追いつかなかったです」
バトルシーンの収録について、義勇役の櫻井孝宏さんは「猗窩座はひたすら力を追い求めていて、その果てに手に入れた強さを持っている。その強さを石田さんが絶妙に表現されているんです」「収録の時は、これは勝てるのか?と思いました」とも語っている。石田さんはどのように猗窩座の圧倒的強さを表現しているのだろうか。
「ここをこうしたら強く感じられるというレシピがあればうれしいんですけど、もう力業ですよね。思い切りやるしかないやと」
そうした思いがありつつも、石田さんは猗窩座を「強いところを自分の自信として全面に押し出すようなパターンを与えられているキャラ」として強さを表現したという。逆にあえて淡々としていることで強さがにじみ出るようなキャラクターもいるが、石田さんは「いや、そういうキャラは置鮎(龍太郎)くん(上弦の壱・黒死牟役)がやっているので」と説明してくれた。
「この作品のカラーになっているのかもしれないですけど、何かの技を繰り出す時の叫びを、強者ほど割と抑えめのパターンでやることが多いような気がするんです。型名を言う時には割と抑えて、強い技を繰り出すというパターンが見受けられる。猗窩座に関しては、そういうことをする場面もありますけど、繰り出している技が体術ということもあり、勢いや強さを声に乗っける。それが個性につながるキャラクターだと理解しています」
さまざまな人気作で強敵を演じてきた石田さんが、全面に強さを押し出し表現した猗窩座。スクリーンでほとばしる猗窩座の強さに圧倒されるはずだ。
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となる。 ※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記となる。 ※煉獄杏寿郎の「煉」は「火+東」が正しい表記となる。
提供元:MANTANWEB