芦田愛菜:細田守監督「果てしなきスカーレット」で主人公声優 復讐に燃える中世の王女に 旅を共にする看護師役に岡田将生
配信日:2025/07/04 5:00

俳優の芦田愛菜さんが、細田守監督の約4年ぶりとなる新作劇場版アニメ「果てしなきスカーレット」(11月21日公開)で主人公の中世の王女・スカーレットの声優を務めることが明らかになった。スカーレットは、父親を目の前で殺されたことから復讐(ふくしゅう)に取りつかれていく狂気を常にはらんだ役どころで、芦田さんは子供時代と19歳のスカーレットを演じる。俳優の岡田将生さんが、“死者の国”でスカーレットと共に旅をする心優しい現代の日本人看護師・聖(ひじり)の声優を務めることも発表された。芦田さん、岡田さんが細田監督の作品に参加するのは初めてで、映画「星の子」(2020年)以来、約5年ぶりの共演となる。
芦田さんは「スカーレットは、中世の王女で私と同世代の19歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。監督から『現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい』と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス1世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて“これだ!”と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体に馴染む感覚がありました」と収録を振り返った。
「スカーレットは、復讐に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、いとおしく、真っすぐ駆けていく姿は、見てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。混沌(こんとん)とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います」と語っている。
岡田さんは「長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。いろいろなアニメを見させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐に燃えるスカーレットの鞘(さや)のような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか……感じ取っていただけたらうれしいです」とコメント。
細田監督作品に初参加することについては「細田監督の作品をいつも楽しみにしていましたが、自分がその内側に入れてもらえたことはうれしくもあり、不思議な感覚です。正直、まったく内容を知らないまま、映画館で見たかった……と思ってしまう“細田作品ファンな自分”もいます。いちファンとして作品が完成するのを楽しみにしています。皆さんもぜひ、楽しみにお待ちください」と呼びかけた。
細田監督は芦田さんについて「スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。すさまじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。復讐に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依(ひょうい)しています。彼女の可愛らしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身もだえするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころの一つです」と絶賛している。
岡田さんについては「岡田さんは、演技がうまくて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。“聖ってこういう人かもな”と、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。聖は、命に関して真摯(しんし)に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったり噛み合っている、と強く思わせられました」と話している。
今作は、細田監督作品初の試みとなるプレスコアリング(プレスコ)という手法で制作された。声を先に収録し、その声に対してアニメーションを制作していく手法で、芦田さんと岡田さんは約1年前にプレスコし、今回改めてシーンにあわせてアフレコをした。プレスコは別々の収録だったが、アフレコでは芦田さんと岡田さんが一緒に収録することになった。芦田さんは「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています」と語り、岡田さんは「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています」と話している。
聖に支えられながら剣を構えるスカーレットが描かれたポスタービジュアルも公開された。
最新作のテーマは「復讐」で、細田監督が原作、脚本を手掛ける。父を殺され、復讐に失敗したスカーレットは、“死者の国”で再び宿敵に復讐を果たそうとする……というストーリー。“死者の国”は、宿敵に復讐を果たし、“見果てぬ場所”にたどりつかなければ虚無となり存在が消えてしまうという場所で、スカーレットは果てしない復讐の旅をすることになる。日本での公開に続き、米国で12月12日に公開される。
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