遠藤綾:「呪術廻戦」インタビュー 五条、夏油、硝子「3人が一緒にいられた時間が尊い」 「懐玉・玉折」の魅力は制服?
配信日:2025/05/25 9:31

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された芥見下々(あくたみ・げげ)さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」の第2期「懐玉・玉折」の総集編となる「劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折」が5月30日に公開される。「懐玉・玉折」は、2023年7月から放送された全5話のエピソードで、五条悟、夏油傑、家入硝子らの呪術高専時代の“もう戻れない青い春”が描かれた。家入硝子役の遠藤綾さんに収録の裏側や、五条、夏油、硝子の3人の魅力を聞いた。
◇今見ても苦しい、うれしい 実は夏油の“お友達”がお気に入り
遠藤さんは、昨年8月に開催されたイベント「じゅじゅフェス 2024」で、観客と共に劇場版総集編の制作を知ったという。
「会場のお客さんと一緒に知ったのがすごくうれしかった記憶があります。テレビシリーズで放送したものを劇場で見られるのも、もちろんうれしいですし、放送から時間がたって、私も皆さんも改めてどう感じるのかな?という気持ちがありました」
改めて「懐玉・玉折」を見返したという遠藤さんは「3人の若かりし頃、まだまだ経験の浅い3人が見られたのはうれしかったんですけど、今回改めて見て、同じところでうれしかったし、同じところで苦しかったなという。同じ感情をもう1回味わうことになりました」と語る。
「苦しかったシーン」を聞くと、「理子ちゃんです」と即答。過酷な運命を持つ少女・天内理子の悲しい最期にショックを受けたという。
「あのシーンは、私は出てなかったんですけど、伏黒甚爾め……という。本当にショックというか。夏油の顔もだんだん変わっていって。生い立ちはどうあれ、やっぱり元気はつらつとした若い女の子の未来はキラキラしていてほしいなって。理子ちゃんとはキャラクターとしての関わりはなかったんですけど、五条、夏油、理子ちゃん、黒井の沖縄のシーンも楽しく見ていたので、本当に友達をなくしたような感じになりました」
「うれしかったシーン」は、「学生をしている3人」で、五条、夏油、硝子らの日常を描いたオープニングムービーも好きだといい、「オープニングムービーは、本編では描かれていないところも補ってもらえたというか。そういう下校時間があって、あんなふうに横並びで歩いていたりもしたんだろうなというのを見せてもらってうれしかったです」と語る。
遠藤さんは、夏油が所持する呪霊もお気に入りで、「夏油の“お友達”たちがすごく好きですね。(沖縄に行く)飛行機にくっついて守っている龍みたいな呪霊とか。個人的に夏油のお友達役も演じているからかもしれないですけど。陀艮(だごん)の可愛い時(呪胎)をやっているので」と、“ほっこり”ポイントも明かした。
◇硝子の魅力 「あの2人と一緒にいられる変わり者」
遠藤さんは、高専時代の硝子を演じる上で、「すごくたくさんしゃべっていたわけではないので、その一つ一つでちゃんと『若い時の硝子だ』と分かるようにしたいという気持ちがあった」と振り返る。収録では、「明るめの硝子」を用意していったが、「大人の硝子の成分を残した感じのディレクションにしていただいた」という。
「収録では、私の前に五条と夏油のアフレコをしていて、声が聞こえてきたのですが、『あ、これくらい若くやっているんだ』と思って。その後に私もブースに入って元気に硝子を演じたら『もうちょっと気だるい感じを残しましょう』と言っていただきました。今思うと、大人の硝子につながっていくような感じで作ってもらったなという印象がありますね。確かに、あまり元気いっぱいにやってしまうと、大人の硝子を見た時に『一体何があったんだろう……』となってしまう。何かはあったんですけど、『夏油傑並の何かがあったんじゃないか』と思われてしまうので、結果、すごくまとまってよかったかなと思いました」
遠藤さんは、五条と夏油を親しみを込めて「クズ共」と呼ぶ硝子の魅力を「なんだかんだで、あの2人と一緒にいられるような変わり者なところ」と感じているという。
「硝子は謎が多くて、五条や夏油とはまた違って、私生活が見えないというか。描かれていないので、想像するしかないところはあるんですけど、2人が語る硝子から、普段も彼女にしか分からない言い回しで2人に対応しているんだろうなというのが見て取れる。想定外のことはしなさそうだけど、あの2人と一緒にいられるような変わり者なんだろうなとは思うんですよね。よく一緒にいられますよね(笑)。多分誰といても動じなさそうな肝の据わったところがあるから、2人も適当につるんでいられるんだろうなと思います。彼女みたいな感じでいたいなという気もしますしね」
◇任務中の3人も見てみたかった 夏油との別れのシーンに込めたもの
五条、夏油、硝子が3人でいる姿は、もう“戻れない”からこその輝きがあり、はかなくもある。遠藤さんは、この3人の関係性をどう捉えているのだろう。
「チームとして一緒に任務に当たっているので、役割みたいなものはそれぞれがちゃんと持っている。五条と夏油の2人にしかできないこともあるし、硝子にしかできないこともあるので、それは2人も尊重してくれていたんじゃないかなとは思います。なので、任務中の3人というのもちょっと見てみたかったなという気はしますね。どれくらいケンカしていたのかとか、どれくらい意見が合わなかったのかとか。なんだかんだ3人で一緒にいるのも、居心地がよかったのかなとは思います。3人の多くは語らない良さみたいなのもあって、すてきな関係性だなって。その関係性は崩れてしまうけど、だからこそ3人が一緒にいられた時間は尊いなって」
「懐玉・玉折」の終盤では、夏油が事件を起こし、五条、硝子と決別することになる。新宿にいた硝子の前に夏油が現れるシーンについて「本当に日常みたいな感じで演じようとしました」と語る。
「硝子も事情は知っているけど、普通に接しているし、いつもああいう感じで普通にしゃべっているのかなというのが想像できました。2人の関係性もなんとなく見えるし、好きなシーンではありますね。でも、本当は普通の会話をして終わりたかったなという気はします。硝子としては、あれが本当のお別れになってしまうので。それまでも3人は、別れは来るだろうと思って過ごしてきたとは思うんですけど、ああいう形でバラバラになっちゃうのは、なんだか嫌だなと思います。大人になっても引きずりそうですし」
遠藤さんに改めて「懐玉・玉折」の魅力を聞くと、「何と言ってもみんなの制服姿が見られることだと思います」という答えが返ってきた。
「キャラクターによって制服が違うじゃないですか。硝子は結構ミニ丈なんだなとか。キャラクターがお着替えする楽しみもあったかなと。夏油の髪形も、きゅっとまとめている感じが好きだったんですよね。髪を下ろすと、ちょっと闇深くて。硝子も高専時代はボブなんだ!と思って。その後に髪を伸ばしたんだな、切る暇がなかったんだなという感じもして。まだ経験の浅い彼ら彼女らが見られるのはやっぱり楽しみなポイントかなと思います」
劇場版では、映画館で過ごす五条、夏油、硝子を描く新規ミニアニメ「劇場版総集編じゅじゅさんぽ」も収録される。今回のために新録したといい、「3人で収録できてうれしかったです」と笑顔で語る。“もう戻れない青い春”を描く「懐玉・玉折」。遠藤さんは「私自身、無茶できる、汗をかく、みたいなすごく単純な時間は大事だったんだなと感じます。自分の人生を振り返ってみて、青春ってどうだったかしら?と思いながら見ていただいてもいいかなと思います」と語っていた。
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