漫画賞総ナメ!『ゴールデンカムイ』変幻自在の魅力とは?
更新日:2016/06/20 10:00
『マンガ大賞2016』大賞受賞!
『このマンガがすごい!2016』(宝島社)オトコ編第2位!
そして『手塚治虫文化賞』の「マンガ大賞」ノミネート!
…破竹の勢いで2016年の漫画賞を総ナメにしている話題の作品、知っていますか?
それが「ゴールデンカムイ」 (野田サトル/集英社) !
読者に「この漫画の魅力は何?」と質問したら、きっとその答えは十人十色。
バトルあり!ギャグあり!グルメあり!歴史とのクロスオーバーあり!…と、これでもかというくらいの要素が盛り込まれているからです。
こんなサービス精神旺盛な漫画がつまらないはずがない!
ということで、今回は『ゴールデンカムイ』の魅力を、タイトルの頭文字「ゴ」「オ(ー)」「ル」「デ」「ン」「カ」「ム」「イ」を使って標語風に紹介します。
…少し無理矢理でもそこはご愛嬌ということで。
「ゴ」: 極悪人から金塊を奪え!
何と言っても魅力的なのは「物語の設定」です。
時は明治後期。日露戦争を生き抜き『不死身の杉本』と呼ばれた元軍人の杉元佐一は、戦死した親友の妻の病を治すために、ゴールドラッシュに沸いた北海道で一攫千金を目指していました。
●杉本佐一
ある日杉本は、
- ①アイヌの人々を殺して金塊を奪った男が、死刑囚として網走(あばしり)監獄に収監されていること
- ②その男が獄外の仲間に金塊のありかを知らせるため、同房の死刑囚たちの体に暗号の入れ墨を彫ったこと
- ③入れ墨を彫られた囚人たちは脱獄して各地にちらばっていること
- ④囚人たちの入れ墨は全員でひとつの暗号になっていること
を知り、金塊を見つけるべく脱獄囚たちを探すことを決意。
ところがその矢先、森の中でヒグマに襲われてしまいます!
で…でかいっ!!!
筆者も北海道にある「のぼりべつクマ牧場」でヒグマを見たことがあるのですが、大きさがハンパない…。しかもすごい獣臭…。山の中で遭遇したらと想像しただけでもう…(ブルブル)。
「食われる…」と杉本が死を感じたその瞬間!ヒグマに一本の矢が突き刺さる!
杉本を助けたのは、アイヌの少女・アシリパでした。
●アイヌの少女:アシリパ
しかもアシリパの父親は、金塊のために殺されたアイヌの1人だったのです…。
杉本は治療費を手に入れるため、アシリパは父親のかたきを討つために二人は行動を共にします。
行く手には、同じく金塊を狙うライバルたち、美しくも厳しい北海道の自然が立ちはだかる。二人の運命やいかに!?
「オ(ー)」: “オソマ=う○こ”がおいしい!?
食事(料理)シーンも話題のこの作品。
登場する料理は北海道ならでは。どれもこれも美味しそうなんですわ!
まずは、アシリパさんが振る舞うアイヌ伝統の「チタタプ」から。
「チタタプ」とは動物を刃物で叩いてひき肉にする料理のこと。
きゃ~っ♪可愛いリスさん。
…でもコレ、食べますから。刃物で粉々にしますから。
皮が…内臓が…あわわ…。アシリパさん、たくましいぜ…。
でも身の回りのものを食するのは、人間本来の自然な姿。現代社会は誰かがさばいてパックしてくれたお肉をスーパーで買えるなんて、感謝しなくちゃダメですね(しみじみ)。
本来「チタタプ」は生で食べる料理ですが、シサム(和人)の杉本が食べやすいように「オハウ(汁物)」にしてくれました。
完成~!!ほわ~、美味しそう~!!
ん?アシリパさんが「ヒンナヒンナ」と言いながら食べてる…。
「ヒンナ」とは食事に感謝する言葉で、アイヌの人々は食べながらつぶやくとのこと。
この漫画を読むと、美味しいものを食べたときに心の中で「ヒンナ」と言う癖がつきますよ(笑)
他にもこんな料理が登場!
●エゾハナカジカ(魚)のキナオハウ(野菜の汁物)
●カワウソの頭の丸ごと煮
●鮭のルイペ(凍らせたもの)
●シャチの竜田揚げ
あるとき杉本は、汁物に「味噌」を入れてみることを提案。
アシリパさんは「杉本それ…オソマじゃないか」と拒否します。「オソマ」とはアイヌ語で「う○こ」のこと(アシリパさんは味噌を食べたことがなかったみたいです)。…まあ、確かに見た目はアレですけどね…。
果たして、アシリパさんがオソマ…いや、味噌を食べてくれる日は来るのか!?乞うご期待!
「ル」: ルール無用!迫りくるライバルたち!
金塊を狙うライバルたちも超個性的!面構えをとくとご覧あれ。
●脱獄囚の一人:土方歳三
戊辰戦争で死んだとされていた新撰組副長が生きていた!?
しかも剣の腕は訛っちゃいないぜ!渋い、渋すぎる!
●大日本帝国陸軍・第七師団:鶴見中尉
日露戦争の勝利に貢献した「北鎮(ほくちん)部隊」の情報将校。
頭蓋骨と前頭葉の一部を損傷しているせいか、言動がエキセントリックなんです…。
もう目が…ヤバいよぉ…怖いよぉ!(泣)
●第七師団の狙撃手:尾形百之助
元々は鶴見中尉と行動を共にしていたスゴ腕狙撃手。ある時から鶴見中尉を裏切り、別行動をとっています。
この人、次の行動が読めないのでとっても不気味…。
ここでは紹介しきれませんが、他にもたくさんの個性派キャラが登場します。
なぜこの男たちは金塊を狙うのか!?それは読んでのお楽しみ。