擬音語が斬新すぎる漫画!「バッテラーッ」って何!?
更新日:2016/05/30 10:00
漫画には欠かすことの出来ない擬音語・擬態語・擬声語。これらを総称する「オノマトペ」なんて言葉も、よく聞くのではないでしょうか。
例えば、みんな大好き、「賭博黙示録カイジ」 (福本伸行/フクモトプロ) の「ざわ…ざわ…」や「ジョジョの奇妙な冒険 第1部~PART1 ファントムブラッド~」 (荒木飛呂彦/集英社) シリーズの「ドドドドドド」などは、革命的ともいえる擬音の傑作。
そこで今回は、新旧やジャンルを問わず、色んな意味で斬新な擬音をピックアップしてみました。
漫画にとって、ストーリーや画力が重要視されるのは至極当然ですが、声・物音・気分・情景をよりエモーショナルに表現する擬音使いのセンスも、実はとっても大切なのです。
擬音でより一層深みを増す、クセ者揃いのファイターたち
現在、間違いなく格闘漫画界No.1の擬音センスを誇る「グラップラー刃牙」 (板垣恵介/週刊少年チャンピオン・秋田書店) 。
なにせ主人公の名が擬音そのものなのだから、それも納得です。
「ガガッ」「カシュッ」「ザキッ」「ゴキッ」など、激しいバトルをより一層過激にする擬音のバリエーションを多数持ちつつ、絶妙なタイミングで無駄撃ちは決してしない見事な技はまさに擬音語の達人。
続編も絶好調でロングランヒットを更新し続けるこの作品より、今回は地下闘技場で開催された最大トーナメント編から、個性溢れるキャラクターのファイトスタイルをよりエモーショナルに表現した擬音を抜粋してみました。
■三崎健吾 vs ジャック・ハンマー
「チカ チカ チカ チカ チカ」
少林寺拳法の使い手である三崎健吾は怪物ジャック・ハンマーに対して先手必勝、1秒間に12連発とされる飛燕の連撃を打ち込む。
この攻撃を表現する「チカ チカ チカ チカ チカ」という擬音は格闘漫画での打撃音としては非常に珍しいもの。イメージとしては、1秒間に12連発という尋常ではない速度を、点滅するフラッシュライトのごとく表現しているのではないだろうか?
しかし、スピードはずば抜けているが、この音からすると破壊力の程は・・・。
ちなみに、これに対してジャックが振りかざす拳は「バオッ」「ボヒュッ」「ボフュッ」など、かすめただけでも明らかに危険な様を凄まじい風圧系の擬音で強調している。
■渋川剛気 vs ジャック・ハンマー
「ぞぶッ」
合気柔術の達人、渋川剛気を容赦なく襲うジャック・ハンマーのバイティング(噛みつき)は、ヤシの実をいとも簡単に噛みちぎるほど強烈。
こちらは、ついにその腕をジャックが捕らえた衝撃的な場面。
例えばここで「がぶッ」では軽すぎて、ハンバーガーにかぶりつく子供のよう。通常の格闘技では明らかに反則とされるこのえげつない異常な行為には「ぞぶッ」という何とも不気味な擬音がピタリとハマる。
■渋川剛気 vs ジャック・ハンマー
「座ッ」
ジャック・ハンマーの十八番であるバイティングによって窮地に陥った渋川先生。そこで達人が選んだのは、大胆にも「正座」という構えだった。
堂々としたその姿は近代武道の最高峰と呼ぶに相応しく、添える擬音も「ザッ」ではなく「座ッ」とすることで一層重みが増します。
名詞を擬音としてダイレクトに使ってしまう「それそのまんま系擬音」
超ネガティブワールド全開の学園コメディー「さよなら絶望先生」 (久米田康治/講談社) 。
アクションあるいはバトル系漫画に見られるド派手でパワフルな擬音と比較すると実に控えめ。その独特の間や作品の真骨頂である言葉遊びの枠を越えた悪ふざけを、さり気なく引き立てているように感じる。
「どよんど」や「ニヤマリ」など、ファンにはお馴染みの個性的な擬音が目立つなか、名詞を擬音にしてそのまんま使うという手法に注目したい。
「めるめるめる」
その名の通り、普段はおとなしく徹底的に無口な生徒、音無芽留(おとなしめる)。
唯一のコミュニケーション手段は“メールでの会話”だが、彼女がメールをする際の擬音は「めるめるめる」。ガラケーの「ピッピッピッ」でもなくスマホの「カッカッカッ」でもない、メールという言葉そのまま「めるめるめる」だ。
実際にこんな音が出ることは絶対にあり得ないが、ひと目でその行為とわかるうえ、なんだかとっても楽しそうな雰囲気まで伝わってくる。手紙を書くときなんかの「かきかきかき」に近い感覚かもしれない。
「めっしゅ」
ちなみに「それそのまんま系擬音」は「めるめるめる」の他にも、たまーに使われる。 例えばこれは絶望先生こと糸色望の髪がメッシュにされてしまった場面。
これぞ王道ギャグ漫画! ぎゅうぎゅうに詰め込まれた無数の下品な擬音たち
子どものための正統派ギャグ漫画、「浦鉄」こと「浦安鉄筋家族」 (浜岡賢次/週刊少年チャンピオン・秋田書店) 。
ウ○コ・貧乏・素っ裸……小学生を刺激しまくる、ありとあらゆる下品なネタを彩るかのごとく、無数の擬音語が所狭しと詰め込まれている。
初期の「浦鉄」は特に擬音がてんこ盛りで、全ページ全コマに何かしら必ず入っているのではないかというほど。すべてを掘り起こすにはあまりにも膨大な数なので、ごく一部ですがコミックス前半の名場面(?)から、サイコーに下品な擬音をどうぞ。
「ダァァァァァ きゅるるる ドボボ チリチリ ボォォォォ ずぴゅ~ メリメリメリ」
毎度登場するたびに大量の排泄物をまき散らしていく最高に迷惑な人気キャラ、国会議員。こちらは擬音とともにつめ込まれた爆発寸前イメージ。この後は当然、大沢木家のトイレが大量の排泄物で破壊された。
セリフは一切なし。すべて擬音のみという特殊なエピソードもありました。
「ばっきゃーん」
実際、滅多に使わないであろう擬音は滅多に起こらない出来事に使うのが定石。なぜこうなったかは本編をご覧ください。
「さもぉ~」
「ぶぴぃ~ がじーん(カルホ~ン)」
「どむど~ん」
小鉄の姉、大沢木桜のボーイフレンド、花丸木の連チャンボケ。
「さもぉ~」「がじーん」「どむど~ん」など辞書に載ることはまずない、素晴らしい擬音のオンパレード。
料理とリンクした、クスッと笑えるほっこり系レア擬音
「クッキングパパ」 (うえやまとち/講談社) 。1985年のスタートから、現在(2016年4月時点)も連載中という説明不要の長寿作品。
料理漫画の擬音といえば、「グツグツ」「ホクホク」「ジュージュー」などをイメージする。もちろん本作でもこういった擬音は頻繁に使われているわけだが、稀に「?」な擬音も登場し、思わず笑ってしまうことも。
ここでは、この作品のハイライトともいえる料理完成の場面で使われた、ちょっぴり珍しい擬音を抽出してみました。
「どすこいっ」
ちゃんこではなく、カレーです。
「ポテリ~ン」
スイートポテトプリン、略して…。
「つめーたい」
「つめたーい」ではなく「つめーたい」。
「バッテラーッ」
料理名をそのまんま擬音化。
「ポクポク」
クリ・イモ・煮物……確かに「ホクホク」より「ポクポク」か。
ある調べによると、日本で使われるオノマトペは他国と比べて、その数が圧倒的に多いそうです。
今回ピックアップしただけでも、これだけバリエーションがあるのだから、当然といえば当然かもしれませんね。
普段は流しがちなコミックの擬音語ですが、これからは少し気にして読むことで楽しみ方の幅が広がるのではないでしょうか?
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作者
T山N行
埼玉県K市在住のどん底未婚中年男性です。普段は深夜アルバイトを中心に某メンズファッション誌や某カルチャー系ウェブサイトでライター業もしています。雑誌編集経験だけは無駄に長くて、これまで二度ほど編集長もやりましたが追い出されました。2015年に『VOiD』という中年向けメンズ誌を立ち上げまして、現在スポンサーを探しています。漫画と海外ドラマが好きです。記事タグ
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