深夜の飯テロ注意! ラーメン漫画ならではの「味の表現」
更新日:2017/02/03 10:00
いろんな味の表現が楽しめる「料理漫画」。その中でも今回はラーメンをピックアップ!
私も仕事でたまに漫画を描くこともありますが、他の漫画家さんがどのように「味」を表現しているか? ということはあんまり気にしたことがありませんでした。
せっかくなので今回は、どうやってラーメンを食べずとも伝えるのかを見ていこうかと思います!
空気のように生活の一部にある、故郷の味「一楽」(「NARUTO―ナルト―」)
「NARUTO―ナルト―」 (岸本斉史 スコット/集英社) の中に出てくる「一楽」。ラーメンというよりは、ラーメンを食べながら気を許した相手と雑談ができる場所…としての印象が強い。少年のころから大人になるまで、先生や仲間と来たりしていて、その場所の良さとラーメンの旨さを感じさせてくれる。
一楽のラーメンは、美味しさというよりはもうすでに身に沁みついている味で、旅から帰るとまず食べたくなる…いわゆる「ソウルフード」と呼ばれるものではないでしょうか。
作者がラーメン好きなだけあって、ラーメンがメインの漫画ではないのに効果的に登場させることで、一楽の印象を強く持たせてくれています。
思い出話や相談事など、気の置けない人とそんな話をしているシーンがよく登場します。ナルトたちにとって、一楽はそれだけ落ち着いて食べられる場所なのでしょう。
人生の味がするラーメン…染みるねえ。(「深夜食堂」)
表紙からして、お店の雰囲気を感じさせますね。「深夜食堂」 (安倍夜郎/小学館) はタイトル通り、深夜の食堂が舞台の漫画。立ち寄る人々の人生が透けて見えるような、渋めの作品です。
こちらの漫画は、1話ごとに一品の料理が登場します。頼んだメニューの雰囲気と、頼んだ人間の日常が重なって見える内容。そのシンクロ率はかなりのもの!
今日はキャバクラ嬢のために、店主が即席ラーメンを作ってくれます。なんともお手軽な感じがしますが、男に貢いで幸の薄そうな彼女と、質素な即席ラーメンが、とても似たような雰囲気。
さらにその隣でも、同じく即席ラーメンを頼む、常連の占い師。ポイントごとにラーメンが出てきて、同じインスタントのはずなのに出てくるシーンごとで、まったく別の印象を感じさせてくれるのが面白い。
即席ラーメンに、サイドメニューで冷えたごはん。
小さいころ食べたというところから、客が子供のころどんな生活をしていたかが垣間見れる。
ほろ苦くて懐かしい思い出…というスパイスが利いたラーメン。渋い!
味を味わうというよりは、雰囲気や思い出を味わう…という感じでしょうか。非常に懐かしい感じを思い出させてくれます。
激ユル!(笑)猫好きなら許せる? 四コマラーメン漫画
まともに語りすぎたので、今度はユルいやつを。
「猫ラーメン」 (そにしけんじ/マッグガーデン) もう表紙からして、見たらわかると思います。ええ。ラーメンよりは猫が面白いという漫画です。ラーメンは三歩下がって後ろからついて歩いているような漫画。(笑)
ゆるい! ゆるすぎる! いいのかこんなのここに入れて! だって「ラーメン」って書いてあるし! …ということで、心の中の審議の結果、入れました。(笑)
ラーメンの制作のこだわり、味、衛生上の問題とか…真面目なことは一切視線の先にはない! つまりスルーだ。
じゃあ何を見たらいいのか? それはラーメン屋の店主の猫と客のやり取りを見るべし。あと雇われ猫。ゆるすぎる!
とまあ、そんな感じなのですが、たまにはこんなユルイ漫画もよいと思うのです。4コマ漫画なので、どこから読んでもOK。時々癒しが欲しい…といったとき、こんな漫画が息抜きになると思います。
ラーメンでいうと、食べてる最中に時々飲みたくなる「水」とか「冷えたお茶」みたいな役割。
しょっぱなからラーメンの作り方が間違っている。猫舌だから冷ますとか! 猫店主だから仕方ないの!? でも客は人間だよ!?
一応ラーメンネタだらけなものの、どれ一つとしてラーメンの本質とか語ってない。そこがまた特異点という味を醸し出しているのかもしれません。箸休めとしてはなかなか面白い漫画だと思います。
一話ごとに二度味わえる、音無しラーメン
箸休めは終わらせて、ここからまた真面目にラーメンを味わってみましょうか。
「しあわせゴハン」 (魚乃目三太/集英社) こちら、セリフが一切ない漫画。パラパラと流し読みして終わりかと思えばそうではない。1ページごとに言葉で表さない表現を読んで味わえます。
こちらも「深夜食堂」と同じように、一話ごとに一品出てきます。しかしこちらは、人生を絡めるというよりは、その一品がいかに「うまい」のか、人よりも食べ物がメインで表現されています。なので見ていると、その一品のおいしさを思い起こしてしまい、読者が食べたくなるという、とても食欲をそそられる作品です。
それを強調させるのが、漫画内には「一切擬音もセリフも出てこない」というところ。そうすることで、キャラクターが主体にならず、一品として出てくる食べ物が主役になれるという仕組み。一話ごとに出てくる一品が「どのように旨いのか?」「いかに旨いのか」を、全ページにわたり、表現しているのです。
そしてさらに面白いのが、終わりの部分にちょっとしたキャラクターのプロフィールなどが記載されている事。このページを読むことで、そのキャラクターの素性が少しだけわかり、またキャラクターが食べていたシーンを思い出してしまい、「二度目を味わう」ことになります。
一度目の味わいで、ラーメンがいかにうまいかを味わい、二度目の味わいで、キャラクターの主観で、どんな味わい方をしたのかを味わえる。噛めば噛むほど味わいが出てくる、スルメのような漫画です。
さーて、ラーメンがやってきた。あーん…と口を開けた…。
…と?
おおお、豪快だ!一気にすすったー!!!!!!
2ページぶち抜きで「うめええええええええええええ!!!!!!!」
きたわー!! こりゃ、マジ旨に違いないわー!
無音でも伝わってくる「ラーメンがうまい!」。見ていると「あるある」とか「うまいんだよなー」と共感ができます。ついついラーメンを食べたときの快感を思い出してしまう一品です!
いかがでしたでしょうか?
いろんな漫画のラーメンの味わい方を見てきましたが、まだまだラーメンの表現はこんなものじゃないと思います。
世の中にはいろんなラーメンの出てくる漫画があると思います。ぜひぜひ、いろんなラーメンの味を「味わって」いただけたらと思います!
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作者
まいか とぽち
フリーライター。ジャンル問わず、気に入ると力尽きるまで暴走する。特に怪談とアメコミとBL漫画の話題になると暴走機関車と化す。最近は、アルパカを飼いたいと思っている。記事タグ
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