5.0
この作者さんに出会うために生まれた
全話読みました。
もうもう!興奮でレビューを書く手が震えます。
十代で腐の病にかかってから二十数年、ああ、今わかった。私は、この作者さんのこの漫画に出会うために、この世に生まれ、腐になったのだ、と。そして、この人生に一片の悔い無し。
長くなるけど、全力でレビューさせて頂きます!
・第一部
リョウチローとカルタカの出会い編です。無料第一話を読んで「あー、このノリとこのテンポ、自分好みの漫画だわ」と直感、すぐに課金。
結果大正解でした。
(仮面をつけたカルタカと出会うシーンと理事長のキャラから、佐々木倫子の名作「動物のお医者さん」をふっと思い出しました。懐かし~)
私が好きなのは、カルが女子学生に囲まれてるのをリョウが見てるシーン。
リョウは穏やかに「カルは日本に慣れていないから」と言って女子学生がカルを食事に誘うのを断るんです。表情も穏やかです。で、その後、回想シーンで、実はリョウは女子学生たちに嫉妬してて、かなりのイライラ顔して見てたんだって様子のコマが入るんです。
ここ、ほんとに上手い。時間をずらしてキャラの心情を表現してぐぐーっと読者に印象付ける。
これ簡単に出来ない技ですよ。時間ずらしたり回想シーン入れたりすると読者が混乱しちゃうから大変なんです(多分)。それをサラっとやっちゃうエンゾウさん、素敵すぎ。
そして車中のキスシーン、本当に綺麗。エロよりキスシーンが多いんですが、それがどれもロマンチックでキュンキュン来るんです。
もちろん!エロもいい。肉体がぶつかり合う感じが良いです!
リョウが自分の恋愛感情に気が付いて「どうしよう」と思うシーンも、カルが村のために結婚して子供を持たなきゃならない運命と知ったリョウの表情も切なくて。そこから空港の別れのシーンは今までの伏線を感動的に回収・・・からのギャグ満載の再会。この緩急の付け方、見事。
・第二部
リョウがカルの故郷へ行きますが、ここから、作品のテーマがより深くなって行きます。
いわば、オリエンタリズム(=他国家、他民族へ異国情緒を求めることが人種差別につながる、みたいな考え)を飛び越えてゆく物語なんです。BL漫画の枠超えちゃってるよー!すごい!
ただ、テーマを表現するのにかなり苦心されたようで、説明的セリフが多くなっちゃいます。でも感動しました。ああ、字数が足りないよ!もー!!とにかく素晴らしい作品でした!!
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