【ネタバレあり】刻待アパートメントのレビューと感想

テーマがそうだからか、他の小川先生の作品に出てくるような時々ガチャガチャした展開はなく、落ち着いた、切なくなるお話です。最初と最後がちゃんと繋がっているところに救いがありました。

3.11

無料の1～2話を読みました。
これは東日本大震災でしょうか？
読んでいて胸がザワつき心が締め付けられました。
まだ若い2人のお互いの気持ちが伝わり涙が...。
悲しい結末でしたが瀬名くんが片思いの彼女と一緒にいられて良かった。

こんなふうに津波で亡くなった人、大切な人を目の前で亡くした人...当時の悲惨な映像と作品が重なり、気がつけば早くも明日が3.11から11年目です。
偶然巡り合わせたこの作品を大切に読みたいと思います。

こんな処が

この世から旅立つ時、一旦このアパートにみんなこのように集まるんだろうかと、考えさせられました。
愛しいものを亡くしたとき、あのアパートにいたのなら、その間にどうにかしてこちらへ引き戻すことはできなかったのかと、その時の事を思い出し知らずに涙が溢れていました。

泣いた

帰る人と、いってしまう人色々な人が集まる場所の話です。せつない。最初の主人公が最終話でまた登場します。今いきるために、いってしまった人のために自分がどう生きるのか。考えさせられます。白くて大切なもの。磨くのは時間はかかるけど、汚れるのは一瞬。それをどうやって自分が持って生きていくかが大事。ってやりとりが心に残りました。

面白かったです

小川先生作品全て追いかけてます。
この作品はハートウォームですが、もしかして打ち切られた？オチが無いですよね？

短編なのがもったいない！

短編集です。
一話ずつは短いお話ですが、それぞれの主人公の人生感などが描写されており生きること、死ぬことに深く考えさせられる作品です。
ほっこりする話、泣いたお話色々です。
ぜひ続編を希望するくらいの完成度の高い作品でした。

だから小川さんの作品が好き

きみはペットをはじめ、小川さんの作品は全部読んできました。
生きることの綺麗ではない部分も描きながら、笑いとユーモアと、ぐっとくる言葉選び、魅力的な登場人物で、どの作品も気持ちの良い読後感があり、だから小川さんの作品が好きです。

こちらの短編集はいつもの作風から笑いを除いた、淡々とした繊細な描写が印象的でした。
少しベビーな題材もありますが、救いがあるので最後まで読み切れます。

完結してしまっているのですが、虹子さんとアルバ公爵がどうなったのか、とても気になります。
続編が読みたいような、この読後感をとっておきたいような、不思議な気持ちです。