さよならハルメギド

あらすじ

「1999年にみんな死んじゃえばいいのに。」時は1989年。UFOや終末思想などオカルトを信じる主人公・将太は、母子寮で母と暮らす普通の小学三年生。両親の離婚は自分のせいと思い込む将太は、父と母の関係がもとに戻って欲しいと強く願っていた。そこに母親と同じ大学だったと話す青年が現れたことでその願いは“危機”へと変わる。将太は「家族」という小さな世界を守れるのか!?

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みんなのレビュー

  1. 評価:4.000 4.0

    世界の終わり

    世界の終わり、というと大袈裟だけれど、子どもの頃の私たちの世界は、小規模なレベルで言えば、しょっちゅう「終わって」いたのではなかろうか。
    大好きな友達と喧嘩をしたとき、親に強く否定されたとき、大切なゲームのセーブデータが消えたとき、それこそ世界が終わるほど傷ついたものだ。
    そういう「あの頃」の感覚を、時代特有の終末感と重ね合わせて、上手に表現した漫画だと思った。

    この漫画にあるように、私たちの「あの頃」には、小さな世界を傷つけようとする怪獣も(人によっては、たぶん恐怖の大王も)いた。
    私たちはそれに対抗する術を持たず、かといって、タイミングよく現れるヒーローもいなかった。
    そのやるせなさと、無力感。
    それもまた、この作品ではとても明瞭に描かれていた。
    胸が痛くなるくらいに。

    私たちの小さな世界は何度も壊れ、壊され、それでも私たちは、粉々になった世界の欠片を何とか拾い集めて縫い合わせて、大人になってゆく。
    それは目を背けたくなるくらい切なくて、あり得ないくらい尊いことだと私は思う。

    それだけに、ラストは残念だ。
    色んな解釈はあるのだろうが、私は、何か投げ出したような印象を受けてしまった。

    by roka
    • 9
  2. 評価:5.000 5.0

    タイトルで損してる

    それが何だかもったいないです。せっかくオリジナリティ溢れるいいストーリーなのに。
    子供の主人公、若いお母さん、そのどちらにも共感でき感情移入できて楽しいです。主人公は子供らしく純粋だし、お母さんはかわいくて胸も大きくてまだ女として枯れてません。
    そんな母子がそれぞれ恋愛に悩み、成長していく流れは決してダラダラしていなくて読みやすいです。

    • 7
  3. 評価:4.000 4.0

    悲しくも印象的なラスト

    ネタバレ レビューを表示する

    終末的なタイトルですが、内容は淡々とした日常のストーリーから始まります。

    序盤は小学生のゆっくりとした成長の物語から始まります。
    しかし、中盤から物語は加速し、小学3年生という「子供だけど、ぼんやり大人の事情も想像できる」という目線を通して「大人の愛憎劇」が描かれていきます。

    人間が直視したくない、負の面をこれでもかと突きつけてくるスリリングな展開に引き込まれていき・・・

    そして、衝撃のラスト。


    鬱マンガではありますが、主人公の立場ではどうすることも出来なかったのも事実。
    そういう意味では「ただ悲しい話」だと思います。
    ラストの女の子も、ななこちゃんなのか、白田さんなのか、含みをもたせる内容になっており、
    読んだ人なりの解釈が成り立つ内容が何とも言えない読後感を生んでいます。

    決してハッピーエンドではありませんが、この凄まじくも悲しい印象的なラストは一読の価値ありだと思います。
    オススメ。

    • 5
  4. 評価:4.000 4.0

    解釈がわかれるラスト

    ネタバレ レビューを表示する

    衝撃のラスト、
    将太の前で飛び降りた女の子は白田さんなのか
    ななこちゃんなのか…
    意図的にどちらともとれるように描いていると思うので読み手の解釈に委ねているのかなと思いました。

    髪型は白田さんだし彼女の家の前に現れた。
    白田?と呼びかけて否定しなかった(だが肯定もしてない)
    しかし話し方や表情なんかはななこちゃんっぽいような。
    ななこちゃんは母親に少しでも自分を見てほしくて兄のように振る舞っていたので
    自分ではない誰かのように振る舞うという点で重なる点はある。
    体を売っているようだが経済面でその必要がありそうなのはななこちゃんか?
    しかし白田さんも親との不和があるのでどこかで道をそれてしまったのか…
    成長しただろ?と胸を触らせますが
    将太は白田さんとななこちゃんの両方の胸を触ったことがある。
    やはり意図的にどちらか断定できない描き方をしている。

    〈この日をずっと待ってた気がする
    恐怖の大王はお前だったんだ〉
    〈両親もいて 家もあって
    誰もオレを殺そうとしてない〉

    この日待ち望んでいたのは99年7の月にまた会う約束を持ちかけたななこちゃんでは?
    両親もいて家もあるは(将太もだが)白田さんにあてはまる要素
    誰もオレを殺そうとしてないは
    かつて父親に殺されそうになった将太に当てはまる要素

    幼い頃に家庭の不和に悩み、それによってつながった子どもたち、
    世界がメツボーしてしまえばいいのにと願った3人。

    しかし将太だけが一緒にいた地から離れ、
    どうやら新しい家庭のなかでそれなり幸せに暮らしていて、世界のメツボーを望んだのももはや思い出のひとつになってしまっている。

    恐らく白田さんとななこちゃんはそこから抜け出せなかったのだろう。

    思い出にとらわれ、ささやかな希望として胸にあった世界のメツボー、
    でも将太は未来を見据えて生きている。

    自分を取り残して幸せになっている将太へ見せつける思いや
    希望を喪失し、明るい未来も見いだせない絶望感。
    子ども時代を終わらせる…というような象徴的なラストだったかなと思った。

    読後なんだかズシンとくる作品だった。

    • 2
  5. 評価:3.000 3.0

    子供目線で見た大人の恋愛は

    ネタバレ レビューを表示する

    きづきあきら+サトウナンキ作品が面白くて好きなので、こちらの無料分も拝読。他の方のコメントを読むとどうやら終わりは救いがない悲惨な結末のようなので、ここで読むのをやめるけど、1つだけ。大人の愛憎劇を子供の目を通して見ると、こんなに正義と悪が逆転してみえるのかというのは斬新でとても面白かったです。

    • 0

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