4.0
登場人物3人がそれぞれ、心に影を持つ。
自分は初めて読んだ作者さん(久喜わかめ先生)だったんですが、試し読みの第一印象は“絵が下手…?”でした。スミマセン(土下座)!
しかし、読み進めると気にならなくなり(むしろマルの犬バージョンとか、めっちゃ可愛く見えてくるww)、ついつい最後まで一気読み。
人物造形が深い…というか、主人公の美容師・コタ(攻め。表紙上)も、拾われた「デカい犬」ことマル(受け。表紙下)も、そしてマルと同棲していた太一も、それぞれ心に影のある、一癖も二癖もある面々で。
なので、サクッと読めるライトな作品がお好きな方には、あまり向かないと思うのでご注意を。
個人的には、きれい事でない過去の傷や痛みを引き摺ってる人間って、嫌いではなく。
この作品は、甘さとほろ苦さが半々なように思えるんですよ。(その匙加減が、面白い)
1話当たりが長く(100コマ以上の回も)、エロが全体的にあるのもオススメですww
※以下、ネタバレ含みます。ご注意ください。
雨が苦手(トラウマ)な美容師・コタ(攻め。表紙上)は、酔って行き倒れていた大型ワンコのようなマル(受け。表紙下)を拾ってしまい…。
コタもマルもゲイなので、肉体関係になるのが早い早い(笑)。
そのままマルが居候になったのは、コタもマルも孤独を抱えていたから、なんですが…。
マルはネグレクトを受けて育ったのか「愛情」を知らず、居場所をくれる=愛情だと信じた男たちに捨てられるのを繰り返す中で、どんどん堕ちて感情も鈍磨していく。
そんな時に拾ってくれた太一には好きな男(ノンケの友人)がいて、同棲しても傷を舐め合うような関係で。
本気で太一を好きになり耐えきれず、家を出たマルを拾ったのが、コタ。
マルと比べると、コタは後悔や苦悩を引き摺ってるけれど、愛されて育った感がもの凄くあって。(だから、マルを追いかけられたんだと思う!)
太一は、幸せそうなマルに嫉妬して声をかけた癖に、中途半端に関わるな…とコタに言ったり、お前何してくれてんねん(怒)!なんだが、マルにとって一番の理解者だったのか…と思える終わり方に救われた感じ。(楓さんの無自覚人たらしっぷり~笑)
ハピエンで愛情と余韻を深く感じたが、この作品は人によって何度も何度も読み返したくなるか、一度でいいと分かれそうだと思った。(自分は読み返したくなる派だが…)
星は5寄りの4で。
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