4.0
待望のアンソロ続編化
薫の普段と夜のギャップがいいです。
普段の薫はどこか取り澄ましたところがあって情欲に溺れるようなタイプには見えないのですが、胸の内では奈々子への強い執着や劣情を幼い頃から変わらずに秘めています。
そのため、ひとたび夜になれば躊躇いなくその情欲を奈々子に晒すのですが、一方でどうすれば彼女を自分のものに出来るのか冷静に駆け引き出来る打算的な一面もあります。
そんなヤンデレ味のあるところがたまらなくいいです。
結ばれてからのドロッドロな愛欲とかも、かなりドキドキします。
奈々子との爛れた関係を持つようになってからは、その強い独占欲を取り繕うつもりもさらさらなく、親戚が奈々子の実家に集まる場面でという一番バレたらあかん場面で二人の情事を親戚の直樹に見せつけるという、危なげな執着ぶりを発揮して牽制します。
もはやここまで来ると、薫にとっての怖いものは奈々子が離れていくこと以外に無いのかな…と思えるくらいの激しい妄執ぶりを感じます。
まだ奈々子の薫への気持ちがはっきり見えないので、13歳差従兄弟同士という危なげでかなり際どい関係性を彼女がどこまで受け入れられるのかが物語の鍵かなと思います。
直樹が見ている前で…っていうのは個人的にはあんまり受け付けませんでしたが、別の完結作の「保護者失格」の作者さんだからこそ今後の展開も安心して読むことが出来ます。
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