みんなのレビューと感想「爬虫類ちゃんは懐かない」(ネタバレ非表示)

爬虫類ちゃんは懐かない
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  1. 評価:3.000 3.0

    爬虫類の必然性

    ある日突然、飼っているヒョウモントカゲモドキが半擬人化した男の話。

    はっきり言って面白かった。
    ぐいぐい読まされたし、ラストはちょっと感動すらしてしまった。
    でも、ふと我に返って、思った。
    これって、爬虫類である必要、あったんだろうか、と。

    500近いレビューを書いてきて初めてこのことに触れるが、私は爬虫類を2匹飼っている。
    そして、彼らを溺愛している。
    爬虫類飼育者の読者の立場からものを言うと、本作における爬虫類に対する考察や洞察というのは、はっきり言って全然物足りない、というか、ないに等しい。
    かといって、爬虫類をまるで知らない人にとっては、わかりにくい、という感想になるだろう。
    そうすると結局、どっちつかずの中途半端なところに落ち着いてしまっている、という印象を持った。

    また、ヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキやニホンヤモリといった、それぞれの爬虫類の特徴が、キャラクターメイキングにはそれほど生かされていないことも気になった。
    それゆえ、先に述べた「爬虫類である必要あるか?」という感想になる。
    別にこれが、犬や猫、ウサギやハムスター、あるいは昆虫であっても、ほとんど変わらない作品になったのではないか、という気がしてしまう。

    爬虫類という、ある程度マニアックな(時代的に、これからはそうでもなくなっていく気はするのだが)生物を扱いながら、作品自体はそれほどマニアックな方向に振り切れていない、という思い切りの悪さみたいなものは、終始、違和感として付きまとった。
    他作品と比較するのはフェアではないかもしれないが、私に多大な影響を与えた「秘密のレプタイルズ」と比べると、爬虫類に対する造詣の深さも、偏執的と言っていいほどの愛着も、まるで勝負にならない。

    爬虫類に対して愛情のない作者ではないと思う。
    しかし、作品からその発露をあまり感じられなかったのは、残念と言う他にない。

    この漫画を読み終えた後で、私は飼っている爬虫類に向かって「君たちもそう思うかい?」と尋ねてみたが、彼らは私のことをちらりと見ることさえしなかった。
    何しろ、爬虫類は、なつかないので。

    by roka
    • 7
全ての内容:★★★☆☆ 1 - 1件目/全1件

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