2.0
許されない改変
「タイトルがネタバレじゃん」と思ったのだが、原作のルポがあると知り、それならまあ、その点は仕方ないか、と思った。
冒頭は「保護者サイド」の視点から描かれ、その後、同じエピソードが「教師サイド」の視点から描かれる。
両者は全く別の内容であって、このあたりは、漫画ならではの演出で、なかなか面白いと感じた。
実際の事件について、ちょっと気になって調べてみたが、とんでもない話で、親の異常性、学校および教育委員会のことなかれ主義とその脆弱性、浅薄なマスコミの無責任など、様々な問題を孕んだ事件であった。
この事件を教師サイドに立って取材したルポの存在自体は貴重であるし、その漫画化を否定するつもりもない。
しかし、原作がフィクションではなくルポルタージュである以上、原作の改変は絶対にまずい。
まず、主人公の教師の年齢が全く違う。
現実では46歳とのことだが、漫画ではかなり若く描写されている。
おそらく漫画の主人公としての見栄えを考慮してなのだろうが、それはやっちゃいけない。
フィクションなら何でもありとは言わないが、どういったってノンフィクションは、事実に対して一定の責任を負わざるを得ない。
この改変があった時点で、私はこの漫画の全てを信用できなくなった。
仮に原作のルポが真摯な取材に基づいて書かれているのだとしても、この漫画がそれを忠実に再現しているのかどうかは、甚だ疑わしい。
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