【ネタバレあり】[小説]暴君皇帝の純愛のレビューと感想

恋人の生まれ変わりを探し続けているヒーローと、生まれ変わったヒロインのラブストーリーです。最初は生まれ変わりって受け入れられないけど、どんどんヒーローのことを好きになっていきます。ヒロインの気持ちを尊重してくれるヒーローが素敵です。

ティナとフローラ

フローラを探がす皇帝、ティナのなかに忘れられない思い出が。自分を見て欲しいが受け入れてあげたい、矛盾する思いがティナを悩ませる。
すんなりと読みやすい作品でした。時間を置いて又、読みたいですね(^^)

個人的に

このお話を読むと、他の作品との繋がりも分かってより楽しめます。
ただ、個人的には『生まれかわり』というのがあまり好きではないのでなかなか入り込めなかったです。

ヒロインは芯のあるしっかりしたヒロインなので好感が持てますが、ヒーローがあまりにヒロインの前世に固執しすぎている感が。もちろん今のヒロインに対しての愛情もたっぷりあるのでしょうが、せめてヒロインがヒーローを庇って刺された場面では前世の名前ではなく今の名前を呼んで欲しかったかなぁ、と。
個人的には、サブキャラのギレン将軍の方が19年間生きてきたヒロイン自身を想ってくれてるんじゃないかと思ってしまいました。

よかった…

前世と現世の転生のお話でしたが、
約束していた相手がずっと探し求めてくれてたというのが、胸が苦しくなる位キュンとしました。

本当に純愛

敗戦国の姫君からの一転。溺愛され、皇妃として、臣下の信頼も勝ち取っていく。
波乱ありのサクセスストーリーですが、艶かしさ、溺愛感もたっぷり。芯の通った姫さまも好印象。

最初、惚れた女性の生まれ変わりとして、何の疑念も迷いもなく、愛を一直線に捧げる皇帝に違和感があったのですが、皇帝が憎めないキャラすぎる。
恋する男は可愛いらしい。大人の余裕もあり、うまく姫君の気持ちも組んでくれますし、おあずけをくらった皇帝や我慢できなかった皇帝など、大人男性のギャップ萌え満載です。

ヴァジレウスシリーズのひとつで、作品毎の色が違って面白いです。属国の姫君等が9歳から出仕する由縁がわかったり、国土拡大の歴史に思いを馳せたりと、違ったところでも楽しめます。

星を減らしたのは、やはり、生まれ変わりではなく、現世のアイデンティティに惹かれて好きになってほしかったため。

ブレない

作者様の作品にある暴君皇子の執愛より前の時代のお話です。
同じ世界設定ですが、直接的な話のつながりはありませんでした。

過去の想い人にそっくりで生まれ変わりだ、と言われたヒロインからしたら失礼すぎる出会いですが、ヒロインに対して、最初から最後までブレない愛情を注ぐヒーローの姿が凄いです。
純粋で一途な愛情はある意味偏執的ですが、仄暗く感じることもなくとても前向きでした。
そして珍しく年齢差が結構あります。
そのためなのか、性格なのか、感情からヒロインを傷つけることもせず、ヒロインの意思をきちんと尊重する姿がなんだか新鮮でした。
ヒロインも素直でしっかりしているため、ヒーローとすれ違うことなく優しい関係を築いていました。

生まれ変わりの部分は、人により好みが分かれるかもですが、全体的にドラマチックな雰囲気でよかったです。