2.0
前作よりやや伝わりづらい
一人で交換日記をし続けているという、作者さんワールド全開の第2作目です。
前作が、いちおうレズ風俗へ行くまでのレポだったのに対し、今作は、日記がネタゆえに内容が良くも悪くも作者さんの采配次第のためか、論理の飛躍や、ちょっと読んだだけでは理解不能な感情が頻発します。その辺りも含めて、精神疾患なのだということもわかりますので、ああ、そういうふうに考えるのか、と、新鮮だったりもします。
お金と自立、それに親の存在は、どんな人であれ個人差はあれ人生にとって大きな問題だし、おそらく作者さんのみならず、誰もが一生関わらずにはいられない問題だと思います。それを、実家暮らしか一人暮らしか、仕送りか自活か、という二元論でざっくりとしていながらも、思い込みで妬んだり憧れたりするのは、やはり偏りがあるなとも思いました。仕送りを受けつつバイトしてる子もたくさんいるし、その辺のバランスは人それぞれだと思うのですが、仕送りをありがたく受け入れて一人暮らしできる精神を羨みつつ、それならいっそ、他人の金を自由に使うことでウサを晴らすようにウィークリーマンションを借りて飲み会やパーティーに出ては、これじゃない感だけ残る、とか。短絡的な部分が強いことは否めないのかなと。
漫画としてはそれで構わないと思いますが、やはり専門家による、適切な治療が必要なレベルではあると思います。自力で格闘するから辛いんです。答えだと思ったはずのことが、すぐにひっくり返って、支離滅裂で自暴自棄になる。作者さんはそれを漫画というツールによって客観視できるつもりなのかもしれませんが、いっそ漫画を足がかりに、適切な助けを求めてほしいなと思います。
蛇足ですが、その辺りのメンタルに関しても観察出来るような方が担当されてるといいな、と思います。ちょっとしんどそうだからそろそろ病院行きなさい、とか。ただ、ネタになりそうだから一人で交換日記してた話描いてみたら?では、収拾がつかないことも懸念されます。
漫画を介して共感や理解が広まるという点では、単なるエッセイにとどまらず、意味のある作品化だと思います。ただ、漫画だからこそ理解や共感ができるのであって、自分の身近な家族や、職場、バイト先に彼女がいたら、果たして理解や共感ができるのか、それとも作中の人たちのように困ったり無視したりせざるを得ないのか…とても悩ましいです。
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