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1 - 10件目/全15件

  1. 評価:5.000 5.0

    生きる理由を得た最強戦士のラブストーリー

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    無料で1話ずつ読んでたけど途中から課金して一気読みです。
    設定もエピソードもあざといぐらい切なさが詰め込んであって胸がキリキリしっぱなし。さらに19話ぐらいから最後までは展開が緊迫し息苦しいほど。

    この世界をつくった作者に拍手喝さい!
    白兵戦含め戦闘が描かれるので暴力的な描写が苦手な方はご注意を。

    新型人類イキガミ(国により呼び名は違う)が生物兵器として国家防衛の最前線で戦うことで世界平和が保たれている近未来。

    イキガミは空を飛び貨物船を持ち上げるほどのパワーを持ち、ナイフも銃も地対空ミサイルですらかすり傷ひとつ負わせられないのに、抗生物質や解熱剤など普通の薬がまったく効かず輸血もできない。傷ついたり病気になったりしたら、ただひとり適合するドナーである人間の唾液や血などの体液や臓器移植でしか治せない。

    最強のイキガミと言われる鬼道慧(さとる)とそのドナーということが分かった吉野優希(ゆうき)が主人公。

    鬼道は10歳で家族と別れセンターで戦闘訓練だけをして育った。家族とは疎遠で友達もいない。守りたいと思える人もいない。

    吉野は突然のドナー認定に戸惑い、鬼道の横暴さにも驚くが、イキガミという存在、鬼道の生い立ちの過酷さを知り、ドナーの役割とともに鬼道の存在を丸ごと受け入れていく。

    吉野が鬼道を愛おしく思い精神的にも寄り添う過程や、鬼道が吉野の温かさに触れかけがえのない存在として大切に思うようになる過程が、納得感のあるエピソードで描かれる。
    吉野が10年後の未来の自分への手紙を読みあげ、それを受けて鬼道が書いた手紙を吉野が読むシーンには涙が止まらない。

    鬼道を守りたいと言ってくれた吉野。
    お帰り、ただいまと言い合うんだよと教えてくれた吉野。
    怪我をするなと気遣ってくれる吉野。
    好きという感情をわからせてくれた吉野。

    吉野の名前「優しい希み」は正にそのとおりで、悲しい存在という自覚すらなかった鬼道のドナーが愛情深い吉野でよかった。
    鬼道の胸に明かりが灯って本当によかった。

    鬼道がはじめは感情のない狼、食欲だけのゴリラ(「オレ バナナ スキ」には吹いたw)だったのに、最後は待てもできる大型ワンコになるのが可愛らしい(笑)

    最後、空で流星群を見るふたりにジーン。
    ずっと想いあって笑いあって幸せでいられますように。

    • 7
  2. 評価:5.000 5.0

    ゆっくり進む優しくて温かいラブストーリー

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    恋ヶ窪に住む平凡なサラリーマン杜拓人(もり たくと)と隣人の晴海冠(はるみ かん)のハッピーエンドのラブストーリー。
    本当にいい話だなぁと読み返すたびにしみじみ思います。心があったかーくなるので、疲れたときや寒い日などに特にオススメです!

    拓人はやりたいことも夢も特になく、さえない毎日を過ごしている。ある日ヤケ酒を呑んでアパートの階段下で寝てしまったのを晴海に助けられてから、誘われてときどき部屋で一緒に晩ご飯を食べるようになる。

    いつもラフな格好で通勤もしてなさそうな晴海を怪しく思っていたが、会社を辞めて漫画家を目指し、半年は投稿作を書き、残りの半年で生活費を稼いでいると知る。不安定な生活だけど好きなことをしている晴海がまぶしく見える。

    少し近づいたふたりだが、作品を描き上げた晴海はアパートを引き払い、連絡先を交わさないまま分かれてしまう。半年後、デビューが決まった晴海が戻ってきて…というのが4話まで。

    まずはここまで読んでみて、気に入ったら全話どうぞ!
    5~8話でようやくキスの先まで進み、9話がインターバル、10~12話で一緒に住むことを決めて引っ越し、13話が同棲後のちょっとしたけんかと仲直り、14話は引っ越し当日の夜と拓人のひそかな誓いの話。
    ハラハラドロドロな展開ではないので、区切りごとにゆっくり読み進めるのもアリです。


    晴海が、拓人は小さな優しさをいくつもくれると独白するシーンがあるけど、それは拓人も感じていて、これ、一方通行だとツラいけど、ふたりはちゃんと双方向。
    ほんとステキな関係で、お似合いだなと思います。

    アパートの階段下に転がっていて拓人がいつも起こしてあげるサボテンは、拓人自身であり、晴海でもあり、読んでいる私でもあり、あなたでもあって。
    自分の小ささにめげるし、確かにちっぽけな存在なんだけど、きっと誰かが見ているよ、花は咲くよという作者からのエールがこもっていて、勇気が出ます。

    たったひとりでも大切な人の存在は大きな力になるし、平凡な日常がとても愛おしくなるよ、という作者らしいメッセージも大好きです。

    本作が好みでまだ「おはようとおやすみとそのあとに」が未読ならぜひ!
    開人&伊介がお互いを大切にしながらそれぞれの夢に向かう日々を描く名作です。

    • 4
  3. 評価:5.000 5.0

    作者の入門編としてオススメ!

    ネタバレ レビューを表示する

    主人公の男子高校生木ノ下くんがとにかく可愛い!
    素直で天真爛漫で、でも人の気持ちを思いやれる強さと優しさと賢さを持っている。
    青木先生の妹友香に働きかけて一緒にカレーを作ってあげるところ、それを自分の手柄にしないところ、写真を貼りだした犯人を一度は先生だと思ったけど先生はそんなことはしないと考え直せるところ、告白して困らせたときちんと謝れるところなどなど、もう本当にいい子。大好きだー!
    そりゃ先生も好きになっちゃうわ。

    彼氏役をしてもらっているうちに本当に好きになってしまう、というのはよくあるパターンかもしれないですが、キャラクターの魅力や気持ちが動いていく様子を、エピソードを積み重ねて丁寧に描写していくことでとても説得力が出ていて、この作品独自の魅力になっていると思います。

    友だちやお母さんとのやりとりも、信頼関係が伺えてとってもいい。

    さらっとするっとした、細い線の独特なタッチで、ちょっと受け口な顔も気になるかもしれないですが、たくさんの人にぜひこの作品をきっかけに温かく優しい秋平ワールドにハマって欲しいなーと思います!

    • 1
  4. 評価:5.000 5.0

    大好きな相手を信じて大切にするっていいな

    ネタバレ レビューを表示する

    芸能界モノだけど、ライバルとバチバチしたり、意地悪プロデューサーにいじめられたり、マネージャーにジャマされてすれ違ったりというヒリヒリした展開はなく。
    素直で純粋なアイドル柿ピーと、大人で真面目で優しいアナウンサー久米田さんが、お互いと仕事をどう大切にしていくかが、作者らしいほんわかした絵で描かれます。周囲もみんな優しくてほっこり。

    26歳のトップアイドル柿ピーこと柿崎透は、デビュー10年目の新しい取り組みとして情報番組の総司会を務めることに。進行役の局アナ久米田宏は、初対面こそ苦手だったが、一緒に遊びに行ったり家飲みしたりと交流を深めていく。
    自然とお互い好きになって付き合うようになるが、半年後、番組リニューアルと久米田の海外赴任が重なってしまう。

    柿ピーが、今度の恋こそ大切にしたい、でも仕事と恋愛とどちらかを選ばないといけないのか、自分はどうなりたいのかと悩む様子が、過去にいろいろ諦めてきたシーンも出てきて、切ない。

    その不安を乗り越えて遠距離恋愛を決意し、久米田はNYへ。

    ここまでは柿ピー目線で、このあと8-12話は赴任~その半年後の一時帰国を久米田の目線で。
    柿ピーに会えなくてホームシックになったり、焼き餅を焼いたり、付き合っていることを誰にも言えなくて悶々としたり。でも周囲に迷惑をかけたり相手をなじったりとかはしない。自分の中で折り合いをつける。

    そんな大人な久米田が、柿ピーを独占したい、人目がないところでデートしたい、この可愛い恋人を自慢したいと勇気を出して我が儘を言って地元に連れて行く。
    チャリを二人乗りしてデートしているのがとっても微笑ましい。
    控え室でキスをしていたのを見られて「しーっ」って言うシーンにもニヤニヤします。

    そして最終話13話。
    久米田がNY赴任から帰国して最初の仕事に柿ピーがゲスト共演することに。
    この「くめさんぽ」収録の様子がキュンキュンするったらー!
    離れていた一年間、柿ピーも寂しかった、でも健気に隠していたんだねぇと胸がぎゅーっとなる。

    これからもいろいろあるだろうけどこのふたりなら乗り越えてってくれるよねーと温かい気持ちになります。

    なお「風花、つもりつもる」11-12話「ラブミーベイベー」の主人公椎名くんは家族ぐるみで柿ピーファンで、柿ピー似のエビくんに恋しちゃう可愛い短編。そちらもぜひ。

    • 0
  5. 評価:5.000 5.0

    一緒に空を飛びたかった黒い鳥と白い鳥

    ネタバレ レビューを表示する

    架空の鳥人を描く中華風ファンタジー「鴆(ジェン)」シリーズ第二弾。
    前作のフェイとツァイホンペアも大活躍です!

    有毒な植物を好んで食べ、その毒が色となって羽根に表れる鳥人ジェン。身内に持つ毒の強さ、その表れである美しい色の羽根を持つことがジェンの誇りであり、観賞用の鳥として高額で取引される価値でもある。

    ところが、ジーイエは色が混ざって真っ黒い羽根になってしまい、リウシンは色が出ずに羽根が白いまま。異端のふたり(二羽)はジェンの仲間内では普通じゃないと敬遠され、商人たちにも価値がないと持て余される。
    虐げられてきたふたりは出会ったときからお互いの存在に助けられ、運命の番ができるまでずっと一緒にいようと約束する。

    前作の主人公であるツァイホンがこの世で一番美しいと言われた虹色の羽根を捨て毒を抜き白くなったのをきっかけに、白い羽根は潔白の印として尊重されるようになった。
    リウシンはジーイエとともに買い取ってくれることを条件に新しい主人に仕え、その指示にそって毒を抜き名実ともに白い羽根になって人が会えるジェンとして有名になっていく。

    ジーイエは、ジェンの誇りを捨て、自分に対してもすっかり態度が変わったリウシンの真意がわからずに悩む。そしてある日唐突に自由の身だと屋敷を追い出されてしまう…。

    前作同様、大切な人(鳥?)の願いを命がけでも叶えたいという気持ちが引き起こす切ないストーリーです。
    リウシンのジーイエへの態度がだいぶひどいので、ジーイエがかわいそうで、幼い頃はジーイエに助けられてたのにお前なんなんだよーと思うのですが、事情がわかったあとは健気すぎると泣けます。

    小さいジーイエとリウシンが絆を深めていく様子は可愛らしいし、なにより気持ちが通じ合ったあと、リウシンがジーイエに向けるラブラブ光線がたまらん!
    ご飯を受け渡したり、服を着せ合ったり、羽根の手入れをしてあげたり、リウシンの大きな羽根で囲ってくっついてお昼寝とか、ジーイエと仲のいいツァイホンにツンケンしたり、でも番と呼ばれて喜んだりとか、もうもう愛情だだ漏れでごちそうさまって感じです!

    もちろんフェイとツァイホンペアも仲良しでうれしい。
    みんな幸せになってよかったよかった。

    これからもいろいろなジェンのストーリーを見たいし、この二作のペアたちが幸せに暮らしている様子を知りたいなぁと思います。

    • 2
  6. 評価:5.000 5.0

    仲良しなふたりが見つける未来への一歩

    ネタバレ レビューを表示する

    団地で育った幼なじみの藤沢夏喜と小平忍。
    前作「青春エンドロール113」でつきあうようになったふたりのイチャイチャと、夢中になれるモノがなかった夏喜が、映画研究会の仲間とともに映画制作を手伝う経験を経てやりたいことを見つけるストーリー。

    映画監督野火止多聞(のびどめたもん、通称ノビ多)は、同じ団地に一時期住んでいた同級生。
    ノビ多や映画制作関係者との交流で新しい世界を知りワクワクする夏喜。
    夏喜を好ましく思い、夏喜と忍の関係がメチャクチャうらやましくてでも素直になれないノビ多。
    わざとイヤなことを言って夏喜の反応を楽しむノビ多を快く思っていない忍。
    三者三様の気持ちが周囲との交流も含めて丁寧に描かれる。

    ノビ多が夏喜に好意を持つ裏付けに、夏喜の素直でオープンで優しい様子がたっぷり表現されます。
    これは惹かれちゃうよなーと思いつつ、忍はこういう夏喜に守られ救われてきたんだろうな、そりゃ大好きになるわと納得。

    一方忍の魅力もバッチリと。
    夏喜を傷つけるノビ多に怒ったり、団地ロケで力仕事を手伝う様子は頼もしいし、仕事終わりにひとまとめにした髪型で蝶ネクタイをほどき、シャツの胸をはだけて夏喜と電話しているのはすごく色っぽい!

    夏喜が映画上映イベントを企画し推進することで、自分は作品は作り出せないけど、それをたくさんの人に知ってもらうことはできると気付くのがすごくいい。
    なりたい職業で人気の野球選手やケーキ屋さんとかは誰もがなれるわけではない。でもその周辺に、自分の能力を活かして貢献する仕事は実はたくさんあるんだよなー。

    前作では忍→夏喜の思いが大きすぎてちょっと可哀想だったけど、今作は夏喜の忍への気持ちがモリモリ。
     忍を守りたい
     忍との関係を大事にしたい
     他人からの肯定も否定もいらない
     死ぬまで秘密にしておこうと思った
    と言う夏喜を
     死ぬまで一緒にいてくれるの?
    と抱きしめる忍。
    よかったねー忍!

    エロも、本能寄りだった前作から成長し、お互いを愛しく大切だと思っているのがわかってステキです。
    「おはおや」の開人&伊介もふたりで生きていく約束をした仲だけど、同様にこのふたりもずっと一緒でラブラブなんだろうなーとほっこりします。

    夏喜も忍も今後の進路が見えてくるところで終わるので、次作は新しい環境で悩みながらがんばる仲良しなふたりが見たいなー!

    • 3
  7. 評価:5.000 5.0

    こんな風に好きになりたい&なって欲しい!

    ネタバレ レビューを表示する

    作者の作品はどれも大好きですが、なかでも一番これが好き。

    お金を貸した親友が音信不通になってしまった小松冬馬。なじみのバーでヤケ酒で紛らわした帰り道に通りがかった公園で失恋から酒をあおる南原歩(なんばらあゆむ)に出会う。
    意気投合したふたりは付き合うことに。

    ドキドキの初デート
    忙しくて会えないときにお互いを思う気持ち
    ようやく会えて一緒に過ごす時間の大切さ
    病気の看病で過ごす静かな時間
    などなど、素直に気持ちを表現する小松と照れながらもその愛情を受け入れていく歩が重ねる日々が丁寧に描かれます。

    小松が歩に
     世界で一番やさしい場所になりたい
    と言い、それを聞いた歩が、後に
     安心して好かれていいし、好きでいていいんだな(と思った)
    というやりとりが表すように、ウソやごまかし、駆け引きや探り合いなんて一切なくて、邪魔するような脇役も出てこなくて、ただただお互いに真摯に向き合い、かけがえのない存在だと伝えあう様子が描かれます。

    もう、なんだろねー。この温かく優しい世界!
    好きだから一緒にいると嬉しい
    好きだから会えないとさみしい
    好きだから相手を喜ばせたい
    というピュアな気持ちが、作者の柔らかいタッチの絵柄にピタッと合ってます。

    最終話最後の雪の朝の様子とか、こんな風に誰かを大切にし、それをちゃんと受け止められることは、なんて素晴らしく貴重で幸せなんだー!!と床をゴロゴロ転がってしまいます。
    誰かを好きになること、素直に気持ちを伝えることっていいよねー、人生そんなに悪いもんでもないよねーとポジティブになれるっていうか。
    人生賛歌な作品です。

    ふたりのその後は「恋人アソート」で垣間見えます。
    小松が、歩かわいさにオスの顔を見せて暴走している様子が意外ww

    また、いろいろ歩に助言をしてくれる同僚の大島が、大学生の時にパートナーの安藤と出会いくっつく様子が「きみに注ぐ」で見られます
    本作では落ち着いてしまってひょうひょうとしている大島が実は…という作品。こちらもぜひ!

    • 0
  8. 評価:5.000 5.0

    読み終わったらすぐに再読して答え合わせ!

    ネタバレ レビューを表示する

    相手を思う健気な恋心、軽妙な会話、練られた構成と、作者らしいすれ違い&勘違い&思い込み&早とちりが爆発した傑作です!
    今作は特に読者も騙されるミスリードが効いていて、最後まで読んで誤解がきれいに解けるともう一度最初に戻って「あーこれってこういう意味だったのか!これは勘違いするわー!」と膝をたたきながら答え合わせをしたくなります。

    高校の同級生・部活(男バド)で部長だった木宮広也(きのみやひろや)とマネージャーだった長岸友貴(ながぎしゆうき)。
    真面目だが言葉が足らず誤解されがちな広也と、そんな不器用な広也を理解し一番近い存在としてフォローしていた友貴は、周囲から長年連れ添った夫婦のようだと言われるほどで、社会人になってからも親しい友だちとして付き合っていた。ただ友貴は当時から十数年も一途に広也を好きで、事情を知る共通の友人陽一(男バド副部長)&都(女バドマネ)夫婦に苦しい恋心をぶちまけて発散する日々だった。

    ある日いつものように陽一と呑んでくだを巻いていたはずなのに、朝起きたら広也が裸で土下座をして「間違えた」と謝っている。どうやら勢いでヤッてしまったらしいがまったく記憶がない友貴。なかったことにして今まで通りの関係を続けようと決意するが、広也はこれまで以上に頻繁に連絡をくれて会うようになり、真意が読めず混乱し…。

    箸や箸袋、プラスプーンでちくちく手を刺すとかおしぼりを投げるとか、グチグチ悩む友貴がいちいち可愛いし、ひたすら友貴に寄り添う陽一くん&バッサバサ切ってズバズバ言う都ちゃん夫婦の助演賞っぷりがブラボー!!

    描き下ろし「友人の思うことは」は友貴の健気さに陽一と一緒に泣くとともに、陽一ほんとにいいヤツとしみじみ思います。主人公ふたりにとって陽一がいてくれてよかった。そんな陽一が都ちゃんとお互いに信頼して幸せそうに暮らしている風なのもステキです。

    騙したり駆け引きしたりとかはなく、純粋に相手を好きなんだなー頑張れー!と素直に応援したくなる愛すべき主人公たちと、コメディタッチのなかにマイノリティの切なさがにじむ絶妙な塩梅の、安心して読めるハッピーエンドでほんと大好き。
    驚いたときやあきれたときの作者特有のまさに目が点な表情もたっぷり楽しめ、付き合った後を描く健気ゆえの斜め上の悩みっぷりが描かれる恒例の後書きも最高です!

    • 5
  9. 評価:5.000 5.0

    「性格クズ~」と本作で作者にドはまり!

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    会話、モノローグの言葉のチョイスにうなります。ストーリー構成もよく練られ、割と重めのエピソードでもテンポの良さやクスッと笑えるギャグに包んで絶妙に深刻にしすぎないところとか、ほんとセンスがハンパない。
    「性格クズ~」が好きならぜひ。そしてこれが好きなら「性格クズ~」もぜひ!
    2021/01/12時点で「13話まで配信中」ですが区切りはついているのでご安心を。

    中前朝陽(なかまえあさひ)、25歳、地方公務員。
    ゲイだしひとりで一生を送るだろうと思っていたが、親友の結婚や異動してできた暇な時間に孤独を感じてしまい、真剣な恋ができればと出会い系を利用する。

    そこで会った四津海汰久(よつみたく)からホテルでの写真(バスローブは着てるけど素数を数えてるだけw)をネタにふたつの要求を突きつけられる。
    ひとつめが「思い出せ」、もうひとつが「約束を守って結婚しろ」。

    どうやら汰久は昔近所に住んでいた天才児で、13年前、朝陽が中学生、汰久が小学生のときに一時期勉強を教えてもらってて、婚約もしたらしい…?!
    でも朝陽はその頃の記憶が曖昧で、汰久のこともふたりの間に何があったのかも思い出せない。

    大金持ちっぽいけどなんで?
    仕事はなに?
    なんで俺の個人情報に異常に詳しいの?
    13年前になにがあったの?
    13年も経っていきなり結婚しろとか言いだした理由は?
    などの謎がだんだんと明らかになっていきます。

    ふたりとも
     身動きもできないほどの悲しさに襲われて立ち竦んで
     救われたいと願った
    という経験があって、そのときにお互いの存在に助けられていたんだというのがわかると、このふたりが悲しさを乗り越えて、そして再会して(=汰久が朝陽に会いに来て)よかった~と心底思います。

    「ダークマター」のエピソードが泣ける。
     そんなものでお前の本質も価値も損なわれはしない
     他人が知り得ないお前だけの96%を誇って守ればいいんだ
    性的指向に限らず、マイノリティであることや他人と違うことに悩み傷ついているすべての人に伝えたい言葉。
    勇気が出ます。

    朝陽の親友鉢岡くんがいいヤツで、朝陽との会話にほっこりします。
    これも汰久のお蔭!ありがとう汰久!

    続編熱望!
    13話終了時点では付き合うまでですが、この後関係を深めるなかでなんらか行き違い、それをどう歩み寄り解決するかというふたりがぜひ見たい!!

    • 0
  10. 評価:5.000 5.0

    切ない、ツラい、苦しい。でも最後は…!

    ネタバレ レビューを表示する

    全30話はなかなか勇気がいると思いますが、1話もダレることなく一気読み確実です。終盤に暴力シーンもあるので苦手な方はご注意を。ストーリー重視の方なら思い切って全話購入で大丈夫!

    アメリカから東京の中学に転校してきた和真とクラスメイトになった蓮。
    ある事件をきっかけに離ればなれになってしまった二人の10年に及ぶ純愛です。

    偶然和真が蓮のいる会社に新入社員として入社することで10年ぶりに再会し、ようやく出会えて喜ぶ和真に対して、蓮はそっけない態度。

    パワハラ上司から助けてくれたり、忙しい中でもランチを共にしてくれたりと距離は縮まるのに、事件には一切触れない蓮にいぶかしく思いながらも、和真は一緒にいられる時間が楽しく、少しずつ近づけばいいと考えている。
    、、、という7-8話あたりまでが「起」。

    「承」となる9話あたりから事件やその後の経緯が読者に明かされ出します。ここで1回目の号泣タイム。
    事件の最中に和真に謝る蓮の気持ち、一方蓮を思って泣く和真(でも蓮はそれを誤解してしまう)、意識不明で病床に横たわる和真に蓮が話しかけ、また東京で会おうと誓うシーン、電話ボックスで和真の無事を知り蓮が泣き崩れるシーン…。
    再会後、蓮が和真にセフレになろうと言った気持ちを思うと、もうツラくてツラくて。
    しかもストーリー上では蓮は和真には話さない。ひとりでその事件を背負い続けるんですよ。
    けなげすぎてもう。

    和真が10年間ずっと自分を探していたことを知った蓮が、秘密を抱えたまま和真に寄り添い、ふたりに蜜月が訪れるもののそれは一瞬。
    社内の大事件に巻き込まれるとともに、和真の母親と再会してしまったことをきっかけに蓮が姿を消します。

    この20話あたりからの「転」から「結」までは手が止まりません。涙もノンストップなので大きなタオルの準備を。

    すべてを知った和真が蓮を抱きしめて告白するシーンは、もうねー、ようやく蓮の気持ちが報われた、二人の気持ちがつながったと大号泣です。

    最終話で新しい道に踏み出す二人。
    和真が本当に蓮のことを大切に思っていることがわかって、しみじみ泣けます。

    読み終わって、過去と現在、蓮と和真の独白が絶妙に交錯しながら、少しずつ謎が明らかになっていく構成、演出の妙にため息。
    絵もキレイで、特にお互いがお互いに知られないように見つめる表情が大好きです!

    • 17
全ての内容:★★★★★ 1 - 10件目/全15件