白石頼さんの投稿一覧

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作品レビュー
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1 - 10件目/全19件

  1. 評価:4.000 4.0

    現実感はない、でも現実には多そう。

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    いきなり最終回のネタバレから書いてしまいますが、主人公夫婦は離婚しません。離婚してもいいですか?というタイトルではあるものの。

    主人公は日常的に旦那から受けるモラハラと、周りに弱音を吐けない、弱い自分を見せたくない、悟られたくないという性格から自律神経失調症になります。
    通い始めた心療内科の先生との診察の中でさえデモデモダッテが止まらず、先生から【まずは自立するために仕事をすること】を提案され、始めた介護のパート先でつまずきながらも職場に沢山いるシングルマザー、離婚経験者の話を聞いて経済的自立を目指し資格取得と正社員登用を果たします。
    途中までは現状に不満を持ち続けながら結局現状に甘んじているだけの専業主婦にイライラしていましたが、物語終盤ではゆっくりですが一歩ずつ前進していく主人公が見られてよかったです。

    旦那からいつもヘラヘラしていると見下されていた主人公の性格も、幼少期の両親の構図を間近で見ていて父に萎縮していた経験からだったというバックボーンも生々しく、また自分の気質を作った原因である父に【あんたのせいだ!!】と声を上げられたこと、
    不倫ではなかったにせよ少なからずときめきを感じながら家で一切しなかった皿洗いをシングルマザーとなっていた同級生の家に上がり込み手伝っている旦那に【あんたなんかいらない!!離婚だよ!!】と言えたこと、
    これは主人公が自分という殻を破れた瞬間だと思います。グッと来ました。


    ラストまで読んで、結局愛はなくても離婚しないという決断に至ったこの夫婦を見て、正直【え、それでいいの?】というモヤモヤはとてもあります。

    ですが現実にいる夫婦の中で、譲歩の先にある妥協や諦めに至りそれでも離婚しないという決断をした夫婦は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。離婚するのだって気力体力使いますし。子供がいたら尚更ですし。

    夫婦の悩みなんて恥ずかしくて外に打ち明けられないからと、大なり小なり仮面夫婦を演じているケースはとても多く感じます。
    そういった、なかなか光の当たらない部分に思いっきり焦点を当てたこの作品はゾッとしたりハッとしたりの連続でした。

    辛辣なレビューも多数見かける作品ではあるものの、実際人は不完全だし、弱いし、性格悪い部分もありますよ。
    そういう人間なので、私は好きな作品です。

    • 186
  2. 評価:1.000 1.0

    星ひとつだってもったいない駄作

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    久しぶりに駄作という表現しか思いつかなかった作品です。

    信頼してたいい夫な旦那の不倫発覚

    完全勝利(?)するべく母に泣きつき探偵費用150万円を出してもらい、母に探偵社のリストアップまでさせる(なんか、母目線でこの子は凄い行動力…みたいに感心してる描写があるが、読者目線だと結婚してるのに夫婦の問題を実母にまで背負わせて最低の親不孝者だな、しかもいつまでもスネカジリな娘…という印象)

    探偵に証拠を押さえてもらうより先に、酔っぱらってヤケクソになり旦那にお前の不倫を把握してるとバラす(探偵に頼む描写が完全に無駄)

    旦那と不倫相手それぞれに二度としない、今度やったら慰謝料払うと念書を書かせる(そもそもこの念書も金額が3000万円とか法外な金額で、民事では当然無効なもの。主人公なのか作者なのかわかりませんが頭の弱さと勢いのみで生きているということだけがわかるお粗末なもの)

    主人公、夫を許し再構築しよう…

    という流れです。本編最後まで読む価値はありません。
    この作者さん、【夫の扶養から抜け出したい】を拝読していても感じたのですが、

    被害者な自分かわいそう!!
    こんなにいい人間な私を傷つける夫を許さない!!
    みんな、見て!ほら私頑張ってます!傷ついてもこんなに頑張ってます!!!

    という自己憐憫と承認欲求の塊な話しか描けないんですかね。
    他の方が書いてらっしゃるレビューを見て、自分の感じたことと同じような思いでいらっしゃる方が多く少し安心しました(笑)。
    めちゃコミックに声を大にしてお伝えしたいのですが、こんな作品、ピックアップしないでください。

    • 148
  3. 評価:2.000 2.0

    いちいちリアリティに欠ける

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    リアリティに欠けるの一言です。
    いや、これまでの話の中で前半はすれ違う夫婦の温度差やその中で生まれる不安、焦燥、猜疑心、登場人物一人ひとりの感情の機微がむしろとてつもなくリアルで引き込まれたのですが、、、
    蓋を開ければ完全な悪役が1人いただけだった、となり、私の中では一気にテンションが下がった感が否めません。

    いつのまにか旦那さんも被害者面してますが、いや確かにある意味では被害者なんでしょうけど、それを差し引いても前半戦でどれだけ文を傷つけて不安にさせたか…夫婦2人の再生?もしくはお互いがそれぞれの道を模索するストーリーなのかと思って読み進めてきましたが、なんか、うーん…個人的にはこういうことじゃないんだよなぁ…という感じ(笑)。

    • 43
  4. 評価:5.000 5.0

    愛があふれてる

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    登場人物の誰一人として悪い人が出てこない。本当に優しい物語です。
    うだつの上がらない漫画家、狩野進と隣室に越してきたちっちゃな男の子、コタロー。
    同じアパートに住む他の住人もはじめはお互いがお互いを知らない、お隣さん同士なのに顔を見たこともない状態でしたが、コタローの存在が軸になり自然と交流が生まれ【みんながコタローの保護者】状態に。

    甘えることを知らないまま生きて来ざるを得なかったため、ちっちゃくてもアパートのどの大人よりもある意味大人で、それでいて瞬間的に年相応の子どもであるコタローと大人達の交流に毎話笑いあり、涙ありでした。

    皆んながみんな、どこかに負い目を感じていたり心に傷を負っていたりしながら【一人暮らし】をしているわけですが、いつしか気づけばひとうの大きな家族のような、お互い大切であったかい存在になっていく様はとてもとても優しくて、狩野はじめあのアパートに住む大人達にとってもコタローにとってもかけがえのない家族を持てたんだと胸が熱くなりました。

    素晴らしい作品をありがとうございます。

    • 9
  5. 評価:4.000 4.0

    ほっこり、でもしっかり。

    絵柄のポップさと4コマで淡々と進む構成のシンプルさに侮ってはいけません。組織で働く人間にとってついつい忘れがちで、でもとても大事なエッセンスをぎゅっと詰め込んだ作品でした。

    登場人物全員に満遍なくフォーカスもされ、広告社としての組織図を垣間見られたのもさることながら、しっかりベースの作られた人物像なので感情移入もすんなりできました。
    さらに、みんなそれぞれ欠点もあるけれどいい人なのでみんなを応援したくなるんです。結局は【人】なんですよね。

    これからもたまに読み返したくなる素敵な作品でした。

    • 7
  6. 評価:5.000 5.0

    すごい作品

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    話の流れというよりも、日常会話のやりとりや一人ひとりの感情の機微などがとても細やかで、まるでそこに生きているように感じます。だからこそ読んでいて純の涙にこちらもウッ…となったり、真山さんと一緒になってソワソワしたり、落ち込んだり、怒ったり…刺さる瞬間が本当に沢山ある…すごい作品です。
    そして純には心から【愛を誓います!】と言える人と幸せになってもらいたいなぁ。

    • 6
  7. 評価:2.000 2.0

    サイコ女な美月がマジで怖い

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    タイトルで言い切ってしまった感じもしますが(笑)。

    いえ、メインはいちこ&おとや夫婦なのです。その2人もひと癖ふた癖あって、なんか、この夫婦の価値観て難しいなぁ、こういう考えが市民権を得ることは難しいんだろうなぁとか思います。
    【家の中では恋愛しない、風紀が乱れるから】とか。
    え、じゃ結婚に至るまで恋愛してないの、風紀乱れてないの、ていうかなんでそんなルールを夫に押し付けておいて今更欲情してんの、と、、、

    いちこちゃんやおとやさんは尊敬できる部分も沢山あるものの、なんだか私は人としてあんまり好きになれませんでした。

    そして美月さん。
    結婚しても、子どもがいても、自分がいちばんなひと。
    わかります、わかりますよ。
    「〇〇さんの奥様」でも「〇〇くんのママ」でもなく、ひとりの女性として存在したいんですよね。求められたい、認められたいんですよね。

    でも、して欲しいことばっかりで、自分最優先じゃないと駄目で、この人何の努力もしてないなと思ってしまいました。
    努力はしてるんでしょうが、なんとも的外れというか…挙げ句刃傷沙汰。
    むしろ下手だろうがヌルヌルする液体使ってでも頑張ってくれてる旦那さんめっちゃいい人やん。涙

    タイトルで言い切ったつもりが、ダラダラと書いてしまいました。

    • 6
  8. 評価:4.000 4.0

    好き嫌いは分かれそうだけど、私は好き。

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    独特な絵柄や特徴あるナレーションの台詞回しなど、確かにややクセの強い作風ではあるかもしれません。
    ですが、現代を悩みながら生きる少年少女から大人まで、すべての人の心にガツンと「生きるとは?」「しっかりと生を生きているか?」と問いかけてくれる、重厚な小説のような作品です。
    私は何度も読み返してはセイやトモ、名もない登場人物たちに想いを馳せています。流し読みではもったいないですよ!しっかりと時間を取って向き合うべき作品だと思います。

    • 2
  9. 評価:5.000 5.0

    ミステリと侮るなかれ

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    久能整くんの台詞、現代を生きる人達にはハッとさせられる言葉の連続です。
    それでいて決して高慢だとか説教くさいというものでもなく、整くんの口調と一緒でとても静かに染み込んでくるような感覚。
    その言葉の重さは自己啓発本と勘違いしてくるほど、なのに、事件が起きて、解決して、(これはやっぱりミステリじゃん!と思うほどミステリー)それだけでなくヒューマンドラマであって、泣かせてくれて…
    たったひとつの作品で登場人物もそれほど多くないのにこんなにも心を動かされる作品は初めてです。


    コマ割りの中時折出てくる黒バックの犯人の名前、
    話の終わりに出てくる台詞かるた、

    どんな意味があるんだろう…ひとつひとつ丁寧に集めながら続きを待ち望んでいます。

    • 1
  10. 評価:3.000 3.0

    静かに侵食する狂気

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    押見修造先生はご自身が吃音を持ってらっしゃることも相まって、どの作品でも登場人物の目や表情で【語る】【表現】されるのが凄いです。

    血の轍も、はじめは母親の静かな狂気に恐怖しながら読んでいたのですが、読み進めていくうちに母をここまで狂わせた背景のさりげない描写がまた秀逸と気づきました。

    従兄弟に母親がしたこと、我が子にしてきたこと、これからしようとしていること、それらは全て人の道に背くことですが、それを責めて母親を断罪することよりも、この機能不全家族が再生できるのか、とても気になります。
    突き落とされ重傷を負ってしまった従兄弟の男の子も回復できますように。

    • 1
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