3.0
静かに侵食する狂気
押見修造先生はご自身が吃音を持ってらっしゃることも相まって、どの作品でも登場人物の目や表情で【語る】【表現】されるのが凄いです。
血の轍も、はじめは母親の静かな狂気に恐怖しながら読んでいたのですが、読み進めていくうちに母をここまで狂わせた背景のさりげない描写がまた秀逸と気づきました。
従兄弟に母親がしたこと、我が子にしてきたこと、これからしようとしていること、それらは全て人の道に背くことですが、それを責めて母親を断罪することよりも、この機能不全家族が再生できるのか、とても気になります。
突き落とされ重傷を負ってしまった従兄弟の男の子も回復できますように。
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血の轍