5.0
貴重な作品。後世に伝えるべきお話。
以前、生き残った元兵隊の方がペリリュー戦は「瓶の中に二匹のサソリを入れて蓋をして、互いに闘わせた」と例えられていたのをテレビで見たのを記憶しています。それだけ日米両軍共、凄惨極まる戦争だったのだなと思いました。
おそらく、圧倒的な戦力で攻めて来たアメリカ軍も南方の小さな島を落とすのに、こんなに時間と犠牲が掛かるとは当初は思ってなかったのではと思います。それは逆に、そこにおられた日本兵の方々が、選択肢の限られた厳しい条件の中でも、日本を守る為に必死になって戦った証なのではと思いました。
いつも戦争関連のテレビ番組を見て思う事があります。それは「玉砕」という、たった二文字の漢字だけれども、実際には、その背後には、沢山の方々の尊い命が散華したのだと思います。
以前、長野県にある戦没画学生の絵を収めた「無言館」という所に行った事がありました。そこには、戦争で亡くなった画学生が描いた絵が沢山展示されておりました。展示用のガラスケースの中には、海外の戦地から実際に送られて来た葉書が展示されていて、やはり絵心のある方の習性というのでしょうか、日本にいる家族を気遣う文の横に、戦地で見た珍しい風景を描かれていたのが印象に残りました。
今回読んでいる漫画「ペリリュー」にも、主人公の男性が戦地で絵を描いていて、その場面が無言館で見た、あの葉書の事を思い出すきっかけになりました。
戦争は、敵味方関係なく沢山の命を短時間で消耗してしまう恐ろしい現象だと思います。未来に生きるはずだった、素晴らしい才能や可能性を消してしまう。だから、この国では、もう戦争が起こって欲しくないといつも思っています。
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ペリリュー ─楽園のゲルニカ─