5.0
ヒロイン花ちゃんが健気で可愛い!
10年間、大好きな幼なじみと離れることを余儀なくされた、高校生の花と弓弦の、成長物語です。
高校生になって2人は運命的に再会しますが、離れていた10年間の環境の中で、弓弦は不良との喧嘩と暴力の毎日を送るようになっていました。
しかし、花の素直でまっすぐで一生懸命な行動のせいで、少しずつ彼は暴力から離れていきます。
その一途さに、ついつい花ちゃんに感情移入して読んでしまい、もう胸が痛くてしかたがなかったです。また、一度読み終わってからもう一度読み直してみると、実は弓弦も最初から花が大好きだったことがよくわかります。自分はルカとの関係をきっぱりと切ることができないけれど、花に男の子が寄ってくるだけで機嫌が悪くなったり、その事で花を傷つけるような、ひどい事を言ったりしています。誰かを「くん」づけで呼ぶだけで「どういう関係だよ?」と、勘ぐったりします。花に対する独占欲は相当なものです。
概ね同年代の悪い人は登場しません。昴もルカも弓弦も、酷いのは親です。そこを乗り越えて彼らが精神的に強くなっていく姿は素晴らしいです。
それでも私は、ルカだけは好きになれませんでした。最初はさばさば系のイケメン美少女かと思ったのですが、自己愛が強すぎて、花を平気で傷つける。まわりの人を思いやったり、気遣ったりできない。どんなに綺麗な子でも、それでは幸せになれないでしょうね。いつも弓弦に助けを求める。どんな時にでもルカを最優先して彼が飛んで来てくれることを知っていて、頼る。これは彼に対する愛情と言うよりも、花が言っているように依存でしかないです。
花は天然系で、ちょっとアホっぽくも見えますが、自分の考えをしっかり持っていて、誰かを守るためには、危険そうな時にでもそれをはっきりと言える強さを持っています。また物事を正しく見極める洞察力も持っています。もちろん、ぶりっ子でもないです。ぶりっ子が身を挺して誰かを守ることは、できないですから。いつも相手の気持ちを考えています。花の弓弦への思いは、一貫して包み込むような愛です。はらはらドキドキの熱愛ストーリーですが、時々、ぷっと笑えるシーンもあります。
46話で出てくる花と同じ柄の服を着た犬と、その飼い主は、「I Love You Baby」のコタロウと智でしょうか?
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僕に花のメランコリー