4.0
誰もいないところで読むべし!
こ、こちら、おひとり様でこっそりと読むことを推奨いたします!
、、、なぜなら、とにかく吹き出してしまったり、ニヤニヤする表情を堪えきれず、あられもない姿を公開してしまうこと間違いなしだから(笑)
表紙のイラストとタイトルだけですと、むしろお堅い雰囲気すら醸し出していますが、ひとたびページを開くと、それはもう!ヒーローである王子様の、夢と希望と妄想と欲望に満ち満ちた心の声がダダ漏れしながら、お話は進んで参ります。
ヒーローの気持ちが今ひとつわからなくてモヤモヤさせられる心配はありません。モヤモヤするのは、ヒロインだけ。
とはいえ、お値段もお安くはないお話だからでしょうか、ヒーローの男の妄想と、欲望を右手で森に放つ行為の数々をうやむやにしたり伏せたりしていないからといって、ただのブッ飛び妄想ラブコメというだけでもございませんでした。
たしかに、ヒーローのど直球な欲望に押され気味にお話は進んで参りますが、ヒロインもヒーローも、それぞれが幼い頃から抱える影なる部分を癒し、補えあえる存在であることも自覚しながら愛情を育んでいくので、大変微笑ましく読み進めさせていただきました。
ヒーローは、もともとは身のこなしも気品高いセクシーな素敵王子という設定でありながら、ヒロインに出会ってからというもの、思春期真っ盛りのごときスケベ王子に見事に転身。ただし、それはヒロインに対してだけというところが、一見ド変態ながらも、愛すべき可愛げのある王子様に思えます。
ヒーローは、オオカミに変身したり人間姿になったり大忙し(笑)
ヒロインは、男女の機微に関しては鈍感さ炸裂ながら、そんな所はスケベヒーローだけが悶えるだけで、実は美しい上に、強く優しく、女性たちからも憧れられるほどのチャーミングで好感度抜群な本来の持ち味を発揮して、どんどん周囲と良好な関係を築いてゆきます。
そんなヒロインの姿に、もっと自分を見て欲しくてちょっと面白くないヒーロー。しかも、ヒロインにベタ甘にモフモフされて鼻の下を伸ばしまくっている美しきオオカミさんが、実は自分であることを明かせず、ドツボにはまるヒーローは、このお話の見どころでしょうね。
ヒーローがオオカミになれるだけあって、ファンタジーなのですが、そこ以外では、魔物と戦うシーンもございます。
愛すべきスケベヒーローが楽しめる、良いお出会いでございました。
- 3
オオカミ殿下と氷の姫君【SS付】【イラスト付】