4.0
朝にはまだわからない部分があるだろう。
私も母が死に際に兄に「平等に育てられなかった」と言っていたと言う言葉を単なるパフォーマンスにしか思えなかった。義姉や親戚は感動してたようだが。
もし本当に私に悪いと思っているなら直接言うはずだ。
あの人はいつも自分がよくみられることしかなかった。
母の思惑は他者から「私はいい母でしょ?」と思われたいだけだ。
私の命に関わる場面であの人は無責任に逃げた。そのことは絶対に私の中から消えない傷だ。しかも3回も。
あの人は私に取って親じゃなかった。
そもそも兄が勝手に私に伝えてきただけで母が私に伝えてと言ったわけでもない。
兄は母を庇い、母は兄を溺愛しまもってきた。
その姿を見るだけで私は傷つくことをあの2人はわかってない。
兄が母を庇って言う言葉なんか私にはストレスでしかない。
でもそれを他人はわからない。むしろ私が冷たい人間だと思われるだけ。
他人なんて表面しか見えないのだ。
朝には母の本質が見えていたのだろう。
その葛藤は他者には理解不能だ。
まして問いたい本人がいなくなってしまったのだから、その気持ちは一生解放や昇華することはないのかもしれない。
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違国日記
054話
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