5.0
いじめの何が悪いのかが誰にもわかってない
この漫画は、いじめに対する親、学校、第三者たちのリアルで無責任であたかも「やってやった」とでも言いたげな反応がよく描かれている良作だと思います。
私は自分がいじめにあっていました。
小学生まで仲が良かった人達が、中学になって急に私をいじめ出し、やがてそれは先輩方にも広まり、名前も知らない同じ制服の子にひどい言葉を浴びせられるようになりました。
事の発端は、たった一人の女子の私に対する小さな嫉妬でした。
愛ちゃんと小春ちゃん、最初は当事者同士の話でも、それは広がって「この子はいじめて良いんだ」という共通認識になり、全体がその空気で満たされる事で小春ちゃんは追い詰められたのだと思います。
それなのに、問題が明るみになった時に責められるのは愛ちゃんだけで、誰もそのきっかけや周りの反応や、どうしていじめがその場限りでなく持続するに至ったのかに着目しない。加害者が誰かという事しか話題にしない。
いじめの問題は、一回で終わらないことです。一日で終わらないこと。そして一人と一人の問題では絶対にないこと。
「うちの子は悪くない」「こいつが犯人」という考え方がなくならない限り、いじめなんてなくなるわけがありません。
大人になった今の私なら、「加害者をどうして欲しいか」と聞かれたら、「学校ごと全部燃やしてくれ」と答えます。でも子供にそんな考えは浮かばないし、小春ちゃんのように「自分がどうすればこんな事にならなかったのか」としか思えません。
意地悪したい、気に食わないと思うこと自体は誰しもあることなのに、どうして寄ってたかって、長い間それを続けたのか。
そこに着目し、皆が当事者意識を持ち、改善される世の中になってもらいたいものですね。
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娘がいじめをしていました