5.0
月に祈る が切ない
3作目の月に祈るが、とても切ないです。
主人公映見を、中学時代の塾の先輩千早が見守りながら進んで行くストーリー。
通常この作家さんなら千早と映見が最後結ばれる形になると思うのに、今回は違う結末に。
どうしてだろうと読み進めていくと、最後に答えが出てきます。
最初に読んだ時も衝撃でしたが、何回も一コマ一コマ丁寧に読み返していくうちに、切なさがどんどん溢れて、涙が止まらなくなりました。
千早が公園で声をかけることが出来ず、明るいところまでただ後ろを付いて行った、というのは、自分の境遇や映見を想う気持ちは決して語らず、映見が幸せな結婚を迎えるまで、ただ見守り続ける、という意味に繋がるんだと思いました。
最後に千早自身もトンネルを抜けて明るい場所に出たことで、映見だけでなく千早も今までの過去から抜け出し、新たな明るい未来に進んで行くと信じたい。
隣で支えてくれる彼女と一緒に幸せになってほしいと、心から思いました。
最後の方は一コマ一コマ、絵だけで見せる描写も、とても切なく心に響き、良かったです。
この作家さんで、ここまで心を揺さぶられる話に出会えるとは思ってなかったので、この作品に出会えて本当に良かったと思いました。
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