5.0
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社会の陰の風景が鮮明に描かれる
軽度知的障害のある女の子、みいちゃん。
彼女が社会のなかでどんな目に遭って、どう生きてきたのか。
そもそも彼女はどのように生まれ、育てられたのか。
出会った人間たちは、どんなふうに彼女に接したのか。
登場人物ひとりひとりの描かれ方があまりにもリアルで、綺麗事なしの生々しさで、
今この瞬間にも、すべての登場人物がこの世の中に居るんだろうと確信する。
きっと、読者の誰もが自分に似通った、自らを投影するキャラクターを見つけられることだろうと思う。
山田さんやココロ、小中の先生たちの対応…手を貸すけど助けきらないさじ加減。きれいごとではなく、これが現実だよな、と何度も胸がキュッとなる。
デリヘルボーイの「悪いことしてるのはわかってて気にはかけるが、見逃す」感じもあまりにもリアル。
みいちゃんは、すでにこの世にいない。
結末が決まっているからこそ、すべての出来事の凄みが増している気がする。
作者の事前取材が相当丁寧でないとこのような作品は書けないだろう。
続きが楽しみ。
余談だけれど、映画「あんのこと」を観た時に近い感情で、読み進めている。
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みいちゃんと山田さん