5.0
読み応えが凄い
現時点の最新話(035(第16話(2))まで一気に読んでしまいました。
(なので、ネタバレばかりの感想です)
王太子一派が主人公であるアンドリムによって引きずり落とされていく、罠や策略の毒々しさが爽快なほどです。
その落とし方も、ただ追い落とすのではなく、様々な手法で味方に引き入れていく過程がまた凄い。
ナーシャの姉弟が、アンドリムやジュリエッタを直接的に害したわけではないのに巻き込まれて悲惨な目に遭う描写は、あまりにも可哀想で、率直に言って後味が酷く悪いのですが、
同時に、ヨルガが完全にアンドリムに堕ちて戻れない過程の丁寧な描写が痛快でもありました。
こうなるしかなかったよね、という納得感があり、結果的に決して不快ではないのが、話の流れとして素晴らしいです。
まさに「堕ちた」と表現するしかなく後戻りできないヨルガが、後に完全にアンドリム側に立って、アンドリムの望みに沿おうとしているのが良いですね。
そもそも娘を贄巫女にされたアンドリムが、贄巫女を放棄したナーシャの親に「娘が贄巫女を降りたからには金を返せ」と要求するのは客観的に見ても筋が通っていますし、金を工面できずに子供たちを売ったのはナーシャの親の問題ですし。
(とはいえ、サーカスの姉たちのシーンは何度読んでも薄目になってしまいます(笑)親と姉妹がカスだったばかりに…と思うと流石に可哀想で…)
似た「堕ち方」をしたのがリュトラで、真っ当な倫理観を捨ててマラキアだけが大切と決めたシーンがとても良いです。
子供たちが悲惨な地獄を味わうと知りながら、「守りたいのはマラキアだけ」というモノローグ。素晴らしい描写でした。
メリアも計略の果てに薬漬けになり汚らしい男と密通する羽目になる悲惨な末路が哀れではありますが、ジュリエッタを贄巫女に落とした首謀者の一人なので報いを受けるのは当然ですね。
しかしこうなると、ナーシャたちの両親は?というのが気になる所です。
裕福でもないのに子供を5人も作り、金のために娘を売り渡し、その金をあっという間に使い込み、残った娘と息子をも売ったやべー連中なので、何らかの罰が下ってほしいです。
そして、元凶のナーシャはどうなるのでしょう?
例の魔獣に孕まされた?という可能性がありますが…果たしてどうなるのか。続きが早く読みたいです。
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毒を喰らわば皿まで