5.0
私は「あんた・あいつ」は気になりません
敵対する魔法名家の侯爵家に嫁いだヒロインが、侯爵とうまくいかず自暴自棄になった挙げ句、不可解な襲撃に遭って命を落とすのですが、結婚直前の時点に時間が巻き戻り、今度は侯爵との関係等、諸々を修正して「正しい」人生を歩んでいく話です。ヒロインは侯爵を「あんた・あいつ・こいつ」呼びしており、これに対する不快感を述べたレビューが非常に多いのですが、私個人としては作者が「気が強く、若干ガサツな主人公」にしたかったんだなと思う程度で、全く気になりません (ヒロインはまだ10代ですので微笑ましいとすら思います)。侯爵もヒロインをしばしば「お前」と呼んでいますので、お互い様です。そもそもタイトルに「あんた」が入っていますので、途中から礼儀正しい呼び方に変わると、タイトルと内容が合わなくなりそうです。
あらすじからは「ありふれた設定」に感じられるかもしれませんし、他の作品の設定との類似を指摘するレビューもありますが、作者のストーリー展開力は極めて高いのではないかと感じています。魔法による魔獣との戦闘だけでなく、侍女・従者・執事・町民・薬師・王子・貴族等、様々な立場の人物が絡んだ実に多種多彩なエピソードが散りばめられており、ストーリーがだれることが全くありません。それでいて、作品の根幹となる謎に関して、大きな流れの中で少しずつかつ着実に全体のストーリーが進行していきます。本レビュー執筆時点での最新話 (73話) まで一気に読んでしまいました。絵もフルカラーでとても綺麗ですし、私にとっては相当に気に入っている作品です。
これだけレビューと話コメントが「あんた・あいつ・こいつ」呼びへの批判で溢れているにも関わらず、本レビュー執筆時点での「みんなの評価」が 3.8 もあり、これはこの作品が実際非常に優れていることを示しているものと考えます。ぜひこの調子で最後までストーリーをしっかりと完結していただくことを期待しています。
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あんた私のことを好きだったの?