クリーブだって、クラレンスがとても強いことはわかってる。でも心配なのは理屈じゃないのだ、クラレンスよ。
貴女が公爵様の無事を願って駆けつけたい気持ちそのままに、クリーブもクラレンスを大切に思って、もう危ない所へは行って欲しくないのだ。
15年間、いつ帰るとも知れない姉の無事を祈り続けるのは、クラレンスが経験してきた苦痛や苦悩に、負けず劣らずの困難だったと思うのだけど、もう一度強いるのは、あまりにも残酷というものだ。
かたや、父とも思う公爵のため、逸る気持ちを抱えて救出に向かいたい気持ちも理解出来る。
1人前になるまで支援してくれた公爵と、15年ずっと帰りを待ってくれていたクリーブ、クラレンスは公爵の元へ駆けつけることを選んだが、どうするのが良かったのだろう…。
まぁ、早々に皇帝に代替わりしてもらっておくのが最良であったのは確かだ。今からでも遅くはない、公爵救出のついでに、そちらも対処してしまえば良いと思う。
そして、クリーブに甘えっぱなしだった分、今度こそ姉弟水入らずの平和な生活を送ってほしい。
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実は彼らは彼女だけを覚えていました
052話
第52話