5.0
質の高い物語
丁寧に登場人物の心情が描かれています。
アイラは以前の記憶を持ったまま、感情的に経験的にはそこからの連続性で行動していくのだけれど、葛藤や成長があり、目が離せません。読者は以前のアイラの事も断片的に知ることができ、いろいろ考察できるのがまた興味深いです。以前の経験が彼女の性格の深みになって、さらにフリードとの関係で成長していくのが、ゆっくりだけれど穏やかに見ていられます。
フリードは、自分が見た目で判断(いい意味だけど)されてしまうことがトラウマだったけれど、入れ替わった後のアイラは自分に素っ気なく、そこから関係を再構築していきます。彼自身の成長が読者には丁寧に伝わってきて、目が離せません。元々素直な人でイライラしますけど応援したくなります。
周囲の人たちもそれぞれ抱える思いがあります。割り切った善悪の対立物語ではなく、ミステリー要素もあって、単純ではないことも読み応えにつながっています。
最後まで楽しみに読んでいきたい作品。しかし、展開はゆっくりなのでまどろっこしく感じる人には無理かもしれません。
絵柄は独特。美男子?という時もあるので説得力がほしかったけれど、あまり気にしないようにしています。
貴族の人間模様を描く文学作品を読んでいるような感覚。
じっくり読みたい人にお勧め。
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顔は好みですが離婚してください