4.0
手放しで褒める,とまではいかないが,,,
結論から言うと,面白いか面白くないかで言ったら,初見の感想だと「?」で,2回目以降は話も頭に入ってきて,こんなことを言っては身も蓋もないが星4と言ったくらい.まず,面白いと言って問題はないと思う.
コンセプトは他の方々も再三言っているとおりにダークなドラえもんといった感じで,多作品だと浅野にいお氏のデデデデデストラクションなどと似た雰囲気だと感じた.こちらの方がよりテーマが一つに絞られていて好印象だが,かなり線が多く影も多いためやや読みにくいと感じる人もいるかもしれない.
色々と書いたが私が言いたいのは,この作品が執筆された目的は,読者にこの作品を咀嚼,評価させ,それを通じて作中でも提示されている現代社会の諸テーマに考えを向けさせることであるだろうということだ.その意味ではこのレビューを書いている今現在の私はまんまと作者の術中にはまっているのかもしれない.
もし作者の作品設計思想が前述したようなものであったのなら,この作品は良作と言って過言ないだろう.
以下気になったところ.不愉快な方は読み飛ばしてください.
・一読して話の筋が分かりにくい(絵が全体的に複雑で見やすい,とは言いにくいこと.話のそもそものコンセプトがループ物である以上ある程度の複雑さは許容するしかないが,それにしてもどの時点に戻っているのかがやや分かりにくく感じる.)
・終盤の展開がややご都合主義に感じた,が,しかしだからと言って私が具体的にどんな結末がいいのかを提示できるわけでもないため,どうと言うこともできない
・こんなことを書いてもしょうがないかもしれないが,できれば上下巻ではなく3巻か4巻構成にして分かりやすく書いていたらもっと読んでくれる方も増えたのではないかな,とも思う.
ただ,わざわざ最後までこの長文を読んでくれた方の中にもし未読の方がいれば,私はこの作品を読んで損にはならないものであると言いたい.
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タコピーの原罪