5.0
夫婦なのに絶妙な緊張感
リフタンは言わずもがな、マクシーも相手のことが大好きなのに、相手からの愛を失うことを恐れてどこか緊張感のある関係なので目が離せない。
誰が見ても溺愛していることが分かるのに、いつかこの寵愛が無くなるのでは…とマクシーが考えているのは、リフタンがマクシーを愛している理由を知らないからだ。長い間を城の中に閉じ込められ虐げられながら過ごしたマクシーからしてみれば、吃音でまともな教育を受けられなかった自分を溺愛するリフタンからの愛は、根拠がなく何かの拍子に消えてしまうのでは…と考えてしまうのもわかる。だが読者からしてみれば「どう考えてもリフタンはマクシーにゾッコンで一生手放さないだろ…」となるのだが、肝心の「リフタンがなぜマクシーを愛しているのか」をたまに挟まれる伏線のような描写でしか察することができないため、マクシーと同じように緊張感を持った状態で読み進めることができる。
恐らく第一部がマクシーの視点で描かれており、リフタン側の考え方がマクシーの視点からでしか読み取れないためなのだが、原作小説ではリフタン側の心理描写がされているらしいので読んでみたい。
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オークの樹の下